第6話 さみしいあなたが笑えるように

 元に戻ることはない、そう言いきった女神。目が覚めたススムは保健室のベッドに戻っていた。


「ススムくん大丈夫?急に倒れて」



 保健室の先生が覗き込む。


「お昼休みだけど、ご飯食べられそう?」


「いらないです、先生?」


「なあに?」


「また教科書見せてださい」


「いいわよ」



 そうして魔王と勇者の話を聞く。ススムも先生に自分の話をした。

 ガラガラ

 戸が開いて、マモルが泳いでやってきた。


「なんだ、元気じゃん」


「まだ熱があるのよ」


「歴史?お前嫌いだったろ?」


「なあマモル、俺はこの世界とは別のところからきたんだ」


「先生、こいつどうしちゃったの?」


「マモルくん、ちゃんと聞いてあげて」


 ガラガラ

 また戸が開いて先輩が猫のようにしなやかに入ってくる。


「ススムが体調不良と聞いてな、今日は部活休んでいいぞ」


「先輩、ちょうどよかった。俺らの部活はなんですか?」


「新聞部だ」


「俺、異世界転生しました。いやワープかも。女神のせいで。あいつ、さみしいやつなんです。思いどおりにいかないから世界は面白いのに」


「なるほど、スクープだな!」


「え!?信じるの?」


「流石先輩、もしかしたらまた女神が会ってくれるかも。マモル、お前は俺に世界を教えてくれ」


「ちょっとなにいってんだかわかんねえ」


「こうなる前の俺のこととか。ここから抜け出すにはまずここのこと知らなくちゃだろ?」


「え、お前どっかいくの?俺全然頭が追いついてないんだけど」


「先生も何か手伝おうか?」

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凍えるほどにあなたをください 新吉 @bottiti

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