第5話 揺れるほどにあなたはやさしい

「な、なんだこれ」


「ススム、こういうのはどう?」


 揺れるリズムが心地よくて。やさしい空間に飛んだ。急に少女は大人の女性へと変わる。



「私はこの世界を作っている女神なの。つまらないってあの時あなたも同じことを考えてたわ。あなたの面白い世界を教えて」



 あったかいずっとここにいたい。ススムは薄着の女神様とやらの話を聞き流していた。


「聞いているの?困ってるんだけど」



 揺れているのはススムの体が宙に浮いているからだ。このまま寝たら帰れない気がした。


「元の世界に戻してよ」


「あんなつまらない世界線に?自ら滅ぶのに」


「俺はそこにいたんだろ?」


「作り替えられるのよ、だから隣でアイデアを出してほしいの!」


「そういわれても、俺は本当に何もない」


「面白いやつだと思ったのにつまらないのね」


「そもそも、君はなにが面白いんだ?さっきみたいなファンタジーが好きなの?」


「好き?」



 ススムは寝ていた体を起こす。女神は反対にうなだれている。


「好きなように作っても、変わっちゃう」


「好きなように作れるんでしょ?」


「初めはね、でもみんな好き勝手動き出す」


「あー、女神業はよくわかんないけどさ、生き物だからしかたないんじゃない?」


「しかたないから受け入れろって?」


「だって生きてるんだろ?そりゃ好き勝手するだろ」



 女神はススムに近づく。まじまじと見つめて、ため息をついた。



「途中で面白くなくなった話をいつまでも読みたいと思う?私は好きじゃない」

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