小さな喫茶店
勝利だギューちゃん
第1話
ここは、海沿いにある喫茶店。
私はここで、マスターをしている。
たいした店ではない。
こじんまりとした小さな店。
でも、それでいい。
仕事を早期退職をして、店を構えた。
儲ける気はない。
気心の知れた人の憩いの場所になればいい。
そう想い、店を構えた。
ただここでは、社会生活での身分は通さない。
小学生だろうが、大会社の社長だろうが、芸能人だろうが、
平等だ。
私こそが絶対。
といえば、聞こえが悪いが・・・
カランカラン
ドアが開く。
常連のお客さん。
カウンターに腰を下ろす。
「マスター、いつもの」
「はい。アイスティーですね」
「今日もストレートですが?」
「今日は、ミルクティーで」
このお客さんは、いつもアイスティーを頼む。
ただ、ミルクティーを頼むときは、とても悩んでいる時だ。
顔も落ち込んでいる。
「マスター聞いてよ」
「どうしました?」
「うちのかみさんが・・・」
こうして、お客さんの愚痴に付き合いながら仕事をする。
こうして、なじみになっていく。
この仕事の醍醐味でもある。
カランカラン
ドアが開き、お客さんが来る。
今度は、女子高生だ。
「おや?今日はひとりかい?」
「・・・うん・・・」
いつもは、グループで来る。
でも、喧嘩とかではなさそうだ。
「おじさん、隣いい?」
「ああ」
先のお客さんの隣に座る。
ここは常連客が固定されている。
なので、自然と顔なじみになる。
でも、ここでは平等の扱いだ。
「おじさん」
「どうした?」
「父の日なんだけど・・・」
この女子高生は、父子家庭。
そのせいか、思春期にしては、親子仲はいいみたいだ。
私が、口を挟まなくても、二人で話をしている。
これでいい。
いつの間にか、悩みは解決したようだ。
「おじさん、ありがとう。そうする」
「こっちこそありがとう。かみさんとは、話してみるよ」
ここは憩いの場。
ここに来る皆が仲良くしてくれたら。私はそれでいい。
小さな喫茶店 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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