のはらを探して(旧)

雨世界

1 あなたはどこにいるの?

 のはらを探して


 登場人物


 木原すみれ(旧姓三原) ママ 一生懸命走る人


 木原みちくさ パパ ゆっくりと歩く人


 木原のはら 女の子 すみれとみちの娘 十歳 とても不思議な力がある


 しばふ 隣人 のはらの行方を知っている 不思議な人


 裏山さん もう一人の隣人 すみれの親友


 プロローグ


 あなたはどこにいるの?


 本編


 不思議な世界にようこそ


 初めまして。さようなら。


 あなたのことを愛している。……世界で一番、愛している。


 ある日、木原すみれは見知らぬ場所で目を覚ました。

 目を開けると、はっきりとした七色の虹の綺麗な空があった。

 すみれがずっと憧れていた美しい透き通るような雲ひとつない青色の空があった。

 すみれは思わず、ここがどこかという些細な疑問は忘れて、すごく嬉しくなって(なんだか最近疲れが溜まっていた体の調子もすごくよくて、意識がとてもはっきりしていて、体がすっごく軽かった)ずっと先まで広がっている緑色の草原の上で、不思議な世界を照らしている太陽の光を感じながら、一人でくるくると回って、その場で踊り出してしまった。

「きゃ!」

 すみれは慣れないことをして、草原の上で転んでしまった。(でも不思議と全然、体はどこも痛くなかった)

 そのときになって初めて気がついたのだけど、すみれは外にいるにもかかわらず『裸足』だった。(お気に入りのサンダルもお出かけ用の白い靴も、はいていなかったのだ)

 それからすみれはなんだかすっごく、自分が今裸足でいることがおかしくなって、一人で草原の上にごろごろと寝っ転がりながら、口元を両手で押さえるようにして、くすくすと子供みたいに笑い始めてしまった。

 すっごく楽しかった。

 こんなに楽しい気持ちになったのは、本当に久しぶりのことだった。

「はぁー。気持ちいい」

 どこまでも続く海のような草原を波のように揺らしている、不思議な世界に吹く静かで優しい風を全身で感じながら、緑色の草原の上に大の字で寝そべって、にっこりと笑ってすみれは言った。

 すみれはまるで自分が小学校のころの小さな子供のころに、タイムスリップでもしたみたいに、いつの間にか戻ってしまったみたいだと思った。

 そう。ちょうど、すみれの娘である十歳の女の子、『木原のはら』が今、そうであるように……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

のはらを探して(旧) 雨世界 @amesekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ