短いからこそ生まれるリアリティ

実話怪談を聞いたり読んだりしていると、「話者(作者)はよくこんなに細かく会話の内容まで覚えているなぁ。しかもこの話、人から聞いた話でしょ?なおさら覚えるのは難しいと思うけど…」と感じてしまうことがあります。

情景描写が細かいほど怪談のリアリティは上がりますが、「人から聞いた話」「実際に体験した出来事」という前置きをつけてしまうと、細かすぎる情景描写が足を引っ張ってしまうように思うのです。

本作にはそれがありません。
短いから、細部が漠然としてからこそ「本当に体験した出来事をそのまま表現しているのだな」と思わせてくれるリアリティがあります。
そのさじ加減が絶妙な作品です(^^)