彼らと一緒に暮らしてみたくなるほど、魅力の沢山詰まった作品


【簡単なあらすじ】
ジャンル:現代ファンタジー
舞台は現代、下北沢と池ノ上からほど近い閑静な住宅街を中心に、主人公が自宅であるぼろアパートの前で、ある少女に出逢うことで日常は非日常へ。貧乏な普通のおっさんが、妖の闘争に巻き込まれる物語。

【物語の始まりは】
レンタカーのトランクを開けると、見知らぬ女の子が入っていたところから始まっていく。一度は知らんぷりをしようとしたが(見なかったことにしようとした)、酸欠になるのでは? と手を止める主人公。そこから主人公の状況やその人物の状況について語られていく。どうやらその少女は事情があってどこかから逃げて、この車のトランクに隠れていたらしい。貧乏な彼は面倒ごとに巻き込まれるのが嫌で、匿うことを断るのだが彼女が意外な物を持っていた。金に目がくらんだ主人公は、彼女を匿うことにするのだが?

【舞台や世界観、方向性】
舞台は現代だが、少し昔の下北沢を舞台に繰り広げられる。
匿った少女はとても外を歩けない格好をしていた。着替えが必要だと考えた主人公は、少女の衣類を購入するために買い物へと出かける。その道中で、彼の暮らす下北沢がどんな場所なのか明かされていく。

【主人公と登場人物について】
主人公は昔は斜めに構えていた方がカッコいいと勘違い(?)していた現在ではおっさんである。接客業をしているようで女児の下着を買うにも怪しまれないテクニックを持っているようだ。彼はとても人間味を感じる人物である。全体的に庶民的なので物語に愛着が湧きやすいと感じた。独り身の理由に共感を覚えた。彼はまっとうな常識人なのである。だからこそ良縁に恵まれないのかも知れない。人は何処か適当な方が幸せになれるのかもしれない。

【物語について】
東京の下北沢を舞台とした物語。この場所を知らなくとも想像ができるほど、丁寧に描かれている。そこに暮らす40代の男性がある面倒ごとに巻き込まれるところから展開されていく。チートでもなければ富豪というわけでもなく、どちらかというと親しみの湧きやすい庶民派の男性が主人公である。別段”良い人”を気取るわけでもなく、今までの人生で学んだことを活かしていると感じた。そんな彼が抱えた厄介ごと。今まで平凡だった彼の生活が一変するに違いない。
この少女の境遇やどこからやって来たのかについては、段々と明かされていく。自然な流れなので、前のめりで読んでしまう作品であると感じた。

【良い点(箇条書き)】
・主人公に親しみがわきやすい。
・モノローグの書き方が上手く、情景が想像しやすい。
・主人公の思想に共感が持てる。
・少女の境遇は序盤で明かされていくものの、謎は多いので先が気になってしまう。
・日常と非日常とのバランスがとてもいい。
・現実世界にファンタジー部分が自然に溶け込んでいる。
・住んでみたくなるほど、彼らの暮らす街が魅力的に描かれている。
・全体的に表現や話の流れなどが巧く、読みやすく理解し易い物語である。
・読んでいて、大変だなと思うことも多いが、とても楽しそうでもある。

【備考】11ページ目までの拝読
【見どころ】
少し前の下北沢を舞台に繰り広げられる物語。情景描写などがナチュラルに盛り込まれており、とても親しみやすい。主人公はこれといって特殊な能力を持っているわけではない”一般人”であるところがこの物語の魅力の一つである。その為、彼の心情には共感するところが多い。彼は綺麗好きで、几帳面。地に足のついた人物だと言える。そんな彼が、ある日突然厄介ごとを抱え込むことになるのだ。ファンタジー要素があるにも関わらず、考え方が現実的なので違和感がない。彼は世間体なども気にしつつ、常識的な行動をしていく。しかし、彼の抱えた厄介ごとは普通では無かった。
全体的に丁寧に描かれているので、とても読みやすく面白いと感じる作品。まるで自分がそこの住民であるかの様な錯覚に陥るほど、親しみが湧いてしまう物語だ。11ページの段階では物語はまだまだ序盤。まだまだ住民が増えるようだが、大変さだけではなく癒しも含まれている。とても楽しそうだなと感じた。この先一体どうなっていくか展開がとても楽しみだ。
じっくり読める作品でもある。
あなたもお手に取られてみていかがでしょうか?
お奨めです。

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