あわないメガネ…。

宇佐美真里

あわないメガネ…。

「あなた、眼鏡屋には行ったの?」母が訊く。

「まだ…」目を細めながらテレビを見ているボクを見て、母が続けた。

「休み中に出来上がる様に眼鏡屋に行きなさいって、お金あげたでしょ?」

「うん…」母から貰った何枚かの一万円札は、勉強机の上に放置されたままだ…。


三年も掛け続けた今のメガネは、勉強の所為なのか、テレビ、ゲーム、マンガ、ネットの…何れの所為なのかは分からないけれど、今のボクの視力には既に合わなくなってしまった…。


メガネを作り直さないと、よく見えないのは事実だけれど、今のメガネをボクは気に入っている。


「そのメガネ、似合ってるね。カッコいいよ」


あのコが言ってくれたメガネだから…。

あのコが褒めてくれたメガネだから…。



-了-

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