新たな才能
nitonei
第1話
作者:さくちゃん
編集:nitonei
俺の名前はスパルタクス、三度の飯より戦いが好きなゴリゴリの剣闘士だ。
俺はゲームの世界で生まれ変わった。マイクリプトヒーローズと言うらしい。
しかし、そんなことはどうでもいい。俺はまた剣闘士として戦えることがとにかく嬉しくて仕方がなかった。
ゲームの世界では、強敵ばかりだ。強い奴ばかり集められているようだ。そいつらと戦うことで、俺も強くなっていった。
ゲーム内で、俺は古参だ。当初は剣と盾が俺の装備品で、エリートブレードとシールドがお気に入りだった。安物らしいが、昔もこんな武器で戦っていた。
しかし、そんな日々が一変する出来事があった。俺は週末のデュエルカップ出場のために、エリートブレードを研いでいたんだ。
そこに俺のオーナーがやってきた。正直、キモオタな奴だったが、俺はオーナーに感謝していた。だから「いつもありがとうございます」と言ったんだ。
そこで、急に笛を渡された。それも2本!一瞬、時が止まったようだったが、俺はすぐに理解した。
「仮想通貨が暴落して金がねぇ」が俺のオーナーの口癖だ。だから、この笛を剣のように使い、二刀流で戦えという意味だと確信した。
俺の剣と盾は換金されたんだと…
俺は、デュエルカップに出場し、対戦相手を笛で叩きまくった。
もちろん笛のPHYはゼロ、ボロ負けだった。オーナーは「普通に吹け」と言っていたが、俺は意味がわからなかった。
次の日は、イチゴを渡された。だから「いただきます」と言って食ったんだ。ブルーベリーも食った。
そうしたら、バトルメンバーから外された。
ブチギレた俺はオーナーに向かって「このっ!キモオタ!チ○カス!ニキビ顔!」と暴言を吐き、笛を全部折って、フルーツも全部食ってやった。
それから、俺がバトルメンバーに選ばれることはなくなった。孫策ばかり優遇しやがって…俺は孫策に嫉妬した。
しかし、ある日突然、バトルメンバーに選ばれたんだ。9on9というルールで頭数が必要らしい。
数合わせの選出ではあったが、俺は内心嬉しかった。武器はどうせエリートフルートだろう。適当に吹いて、オーナーを逆上させてやろうと考えていた。
早速、武器が渡された。「見慣れない物だ。なんだ?ウィズダムフルートだ!!」次の瞬間、俺は叫んでいた。「よっしゃ〜!」と。
しかし、すぐに我に返った。「結局、笛じゃねえか?」。けど、俺は高価な笛を買ってくれたことが嬉しかったんだ。しかも、出雲阿国使用済みらしい。俺は少し興奮した。
9on9バトルが始まった。俺は2列目中衛だ。オーナーに気を使った俺は、少しはまともに笛を吹こうと思ったが、戦いに明け暮れていた俺に音楽の知識は皆無。1列目の仲間が戦っている間、俺は笛の扱いがわからず、完全にキョドっていた。ドレミって何?俺は後衛のアナスタシアちゃんを質問攻めにしていた。ウィズダムフルートは手汗でベトベトだ。
1列目の仲間が倒されて、すぐに俺ら2列目の出番になった。対戦相手は強敵だ。PHYブッパの編成で、すぐにHPが削られた。そこで俺は閃いた。大音量のウィズダムフルートで相手の耳を破壊してやればいいのではないかと。
早速、俺は超絶な肺活量でフルートを吹いた。驚きのあまり、敵味方とも一瞬、固まった。しかし、次の瞬間、予想外のことが起こった。味方全員のHPが大幅に回復したではありませんか!驚きも束の間、俺はさらに奇妙な光景を見た。前衛のサロメがミカンの汁を対戦相手の目にかけまくっていたんだ。敵は完全に戦う気力を削がれているようであった。正直、俺も怖かった。
俺ら2列目の頑張りで9on9バトルは勝利に終わった。このバトルを切っ掛けに俺は笛に興味を持った。幸い、俺の仲間にはシューベルト先生がいた。先生は俺に音楽を一から教えてくれた。俺はすぐにクエストの曲を奏でることができるようになった。気分を良くした俺はママを思い出していた。「あぁ、ママ。俺、新しい趣味が見つかったよ」
新たな才能 nitonei @nitonei
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