最終話 この最高の世界に乾杯!



シュバイン達六名は奥へと着くと、元凶と呼ばれる者が一人、中央の王座の様な椅子に座って待っていた。



シュバイン達はゆっくりと歩き、近づくと、その座っている男が言う。



「・・・・・六人か。もう一人はどうした?」



「レイさんのことですか?彼なら後から来ますよ。・・・・・貴方がケイトさんが言っていた【元凶】で間違いないですね?」



その男は、シュバインの問いを聞き流すと、ため息をついてつまらなそうに呟く。



「ケイトが与えた者がどれ程かと思ったが・・・・・まるで期待外れだな。持っている武器の解放すらほど遠い状態とは。」



「解放?」





ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!





すると、座っている男の前の床から多くの巨大な触手が飛びだす。




「残念だ。今のお前達では戦う気にもならん。だが・・・・・そうだな、この者達を退けて、私をこの椅子から立たせたら少しは相手をしてやろう。」




ダンッッッ!



バクンッッッッ!!!!




するとシュバインと共に来ていたリン=エンキュートが、二本の短剣【異端者】を両手に握りながら一気に元凶の元へと駆けようとした瞬間。



眼にも止まらぬ速さで、触手の先端に付いている大きな口がリンの片腕を食いちぎる。




「リン!!!」




ガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!




すぐにシュバインは倒れたリンの前に立ち、盾で襲ってきたもう一本の触手を防ぐ。




グッ!何だこの力は!!!



今まで感じた事のない圧力でシュバインは押される。



その光景をつまらなそうに座って見ている男の背後の空気が歪むと、ラフィットが現れる。




「チェックメ・・・・・」




バクンッッッッッ!!!!




ラフィットは現れると男の首を狙って斬ろうとしたが、瞬時に床から現れた触手に片足を食われる。




「ぐうっ!」



シュ。シュン。




そのまま床に倒れる瞬間に現れたトリックが、ラフィットに触ると消え、シュバイン達の後方へと現れる。



「ほう。あの二人・・・・・面白い技を使う。だが、この私の空間で気づかないとでも?」



トリックは、ラフィットのなくなった片足を急いでレアポーションで止血すると元凶を見ながら言う。



「これはまずいな。・・・・・あの触手自体レベルが高すぎる。こんなの、元凶どころじゃないぞ。どうすりゃいいんだよ。クソッ・・・・・早くこいレイ!!!」



トリックは傭兵仲間だった青年の名を叫んだ。











☆☆☆










僕達は、奥へと駆けていた。



僕は走りながら皆に言う。



「みんな!さっきの敵は、世界で有名な実力者が相手でも遊んでいるかのようだった。これから行く元凶はそれ以上だろう。いいかい。絶対に命の危険を感じたら撤退する事!分かった?」



すると隣で駆けている白雪が言う。



「分かったわ。・・・・・ただ、その時はレイ。貴方も一緒よ。」



皆も頷く。



「・・・・・分かった!それじゃ行くよ!」



奥へと僕達は着くと、謁見場の様な場所に着いた。



見ると、先の中央には禍々しい王座の様な物があり、そこに男がつまらなそうに足を組んで座っている。



そしてその前には多くの巨大な触手の様な物が床から生えていて、一本一本の触手の先には、大きな口が付いている。



その触手達が、伝説の武器を持つ一人に襲いかかっていた。




ガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!




六人の先頭に立って伝説の武器の一本【GODDESS SHIELD(女神の盾)】で襲い来る触手を防ぎながらシュバインは肩で息をしていた。



まるで・・・・・まるで相手にならなかった。



元凶の元へと近づこうにも、この触手達の速さも、そして力も、今まで出会った事がない程に強く、一本一本が未踏破レベルのボス以上に強い。



それが何本も床から生えている。

とてもじゃないがあの男に近づく事すら出来なかった。




「皆さん!・・・・・?!・・・・・リンさん!ラフィットさん!」



僕の目に飛び込んできたのは、シュバインが先頭で数本の触手を防ぎ、アッシュ、ジョアン、トリックがシュバインの盾からすり抜けた触手に対処している。



その後ろにはリンとラフィットが負傷して床に座っていた。




「アイリ!頼む!!」



アイリがすぐに二人の元に駆け寄り、唱える。



「・・・・・女神の祝福。」



緑色のオーラが二人を包むと、欠損した腕や足が元通りに戻っていく。



同時に、白雪達がシュバインに駆け寄り、一緒に応戦する。



僕は二人が回復するのを見て、ほっとしていると、座っている男は、僕に言う。



「フム・・・・・メレンには、ケイトから与えられた武器を持つ者以外は通すなと言ったのだが・・・・・何か不足な事態でもあったか?」





!!!!!




ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン・・・・・・・・・





皆、なにが起きたのか分からなかった。




見ると、椅子に座っていた男は立ち上がり、椅子の横に立てかけてあった剣を持っている。



その後ろ数メートルにレイがいた。



「・・・・・居合【真光】。」



驚きの顔をしている男が振り返り言う。



「お前は・・・・・・そうか。お前がケイトが言っていたお気に入りか。・・・・・その武器も覚醒のあと一歩という所か。それで私に攻撃を加えるとは・・・・・面白い。」



そう言うとその男は横に大きな空間のひずみを作る。



「レイと言ったか。お前は私をこの椅子から立ち上がらせた。約束だ。・・・・・戦ってやろう。ついてくるがいい。」



男は作ったひずみへと入って行った。



僕は仲間やシュバイン達を見る。



・・・・・時間がない。こうしている間も、外では協力してくれた人達が魔物との戦いで亡くなっているだろう。


ケイトさんは元凶を倒せば、作り出した魔物達はすべて消滅すると言っていた。皆があの触手と戦って消耗している。まだ全開な僕が戦うのがベストだろう。



「レイだめ!私が行くまで待って!!」



白雪が叫ぶ。



僕は仲間に笑顔を向けて、ひずみの中へと入って行った。










☆☆☆










「ふぅ。・・・・・流石お強いですね。エメリアル様。しかし・・・・・」



エメリアルと向かい合って、所々切り傷があるメレンが言う。



「エメリアル様は、あのレイと言う者が、セービット様に勝てると思っているのですか?」



エメは金色に輝いている髪を揺らしながら言う。



「・・・・・無理じゃろうな。」



「ならなぜ・・・・?」



「・・・・・レイの望む事にワシは口を出さん。それで何かあったらワシも死ぬが、それで良いと思っておるでな。だが、ワシは出来るだけレイを守ると誓った。だからこそ、お主を早く始末して、危なそうであれば、レイが倒される前に無理やりにでも連れ帰るつもりじゃ。」



そう言うと、今まで片手で持っていた長剣を、両手持ちに変える。



「そう言う事でな。そろそろ終わりにさせてもらおうかの。」



「・・・・・ならば、貴方様を少しでもこの場へ留めさせるよう努力致します。」



メレンは更に体を変え、大きな怪物となる。



「主人を守るのが私の務め!

 エメリアル様・・・・・ご覚悟!!!」






ゴォッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!



ドンッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!





辺り一帯が業火に包まれ、もの凄い爆発音が部屋中に響き渡った。










☆☆☆










「クッ。・・・・・ダメだ!近寄れない!」



「ですねぇ。」



触手が強すぎて、それぞれ一本づつ対峙しているアッシュとジョアンが言う。



見ると、同じ様に、レイと来たホワイトフォックス達も、触手に苦戦を強いられていた。



・・・・・あの男が作り出したこの触手でさえこの強さ。・・・・・流石に、レイさん一人ではあの男は荷が重すぎる。

・・・・・まだ、到着したばかりのホワイトフォックスは余力があるだろう。

・・・・・ならばやることは一つ。



シュバインは盾で触手の攻撃を防ぎながら叫ぶ。



「皆さん!私が技を発動したら、まだ動いている敵だけ攻撃してください!その間にホワイトフォックスは一人でも多くあの空間の中へ!!!!」



そう言うと、シュバインは呟く。



「・・・・・ゼロの盾。『無限防壁』。」



シュバインの盾が透明に分裂して、ひずみのある空間からシュバインまでの触手達を透明の盾が同化する。



すると、ピタリと触手の動きが止まった。



「こんな使い方をする技でなないんですがね・・・・・・さぁ!行って!!!」



白雪達が出来た道を駆けると、離れて動ける触手が襲う。




ギィギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!



ガンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!




それを、伝説の武器を持っている他の五名がそれぞれ立ちふさがる。



ひずみ近くまで来て、一気に白雪はスピードを上げた。




ドンッッッッッッッッッッッッッ!!!!




次の瞬間。




ひずみの周りに新しく触手が現れる。




「チッ!」



白雪は舌打ちをするのと同時に、ラフィンやカイト、アイリがその触手の前に出る。



「ここは僕達が!・・・・・白雪!キリア!行って!!!」



ラフィンは瞬時に判断し、ホワイトフォックスの中で一、二番の実力者に叫ぶ。



白雪とキリアは頷くと、構わずにひずみの中へと入って行った。




「お願い・・・・・レイを、レイを守ってね。白雪、キリア。」



ひずみに入った二人を見ながらラフィンは呟く。




「さぁ来な!カイト!アイリ!この魔物達を倒すよ!」



「あぁ!」



「うん!」



三人は新しく現れた触手に向かっていった。










☆☆☆










「・・・・・僕は貴方の名前をまだ知りません。」



ここは、不思議な空間だった。



周りや天井をみても壁など何もない。



夜の様に真っ暗で、所々に光り輝く点が数多く見える。



まるで・・・・・宇宙の中に佇んでいる様だった。



「あぁ、それは失礼した。・・・・・・私はセービットと言う者だ。」



「そうですか。僕はレイ=フォックスと言います。貴方はケイトさんの友達と聞きました。・・・・・戦いをやめることは出来ませんか?」



セービットは少し驚くと、微笑んで言う。



「フッ。面白い青年だ君は。この星を滅ぼすと言っている男に、慈悲をかけるとはな。」



すると、床からゆっくりと12本の大剣が現れる。



その内の一本を右手で持つと言う。



「私はこの星を滅ぼすと決めたのだよ。それを邪魔する者は誰であれ・・・・・・・殺す。」



すると、背中が盛り上がり、10本の長く屈強な腕が出てくる。



そして左手と背中にある10本の手が、残りの大剣を全て掴む。



見ると、身長も3m程になっている。



戦いは避けられない・・・・・・か。



僕は愛用の剣を抜くと構え、大きく深呼吸してセービットに向かって言う。





「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」





ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン・・・・・・・




瞬間。




僕の体は自然と防いでいた。




「ほう。今のを防ぐか。」




・・・・・見えなかった。



剣の軌道も、セービットの動きも。



念の為に、カウンターを発動していて勝手に体が合わせようとした。



だが、あまりにも相手の剣速が速く、自分の体の限界を超えたのか、反撃せずに防ぐだけとなった。



うそだろ。



こんな事は今までなかった。

それ程に、力の差があるという事なのか?



セービットはゆっくりと独特の構えをしながら言う。



「まさか今の一刀を防がれるとは思わなかったぞ。どうやらこの星の生物の力を侮っていた様だ。・・・・・失礼した。これからは全力でお前を倒す事にしよう。」



僕は冷汗を流しながら構える。



今の速さかそれ以上で次はくる。



しかも背中にある腕も使って。



相手の剣を見てからでは絶対に間に合わない。



相手の目、相手の筋肉の動きをよんで動くんだ!



少しくらい斬られても構わない。



とにかく相手の動きになれて、反撃が出来る隙を狙え!






集中!!!!!!






ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!!!!!!!!!!!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



無数の常人では捉える事の出来ない剣が僕を襲う。



ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!!!!!!!!!!!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!





あまりにも速い剣が様々な所から斬り込んでくる。



一刀一刀の剣圧も凄まじく、足元が床だったらその圧力でめり込んでいただろう。



その剣を当然避け切れるわけはなく、ギリギリ致命傷を避けながら僕の体は斬り刻まれていく。



血が空中に舞う。



セービットは攻撃をしながらショックを受けていた。




こ奴は・・・・・・本当に人間なのか?




私は遥か昔からこの宇宙を管理し、いざという時は守ってきた。


その中には、大陸を滅ぼす程の巨大な怪物や、いるだけで周りを死にいたらしめる者。更にはどうにもならない自然災害など、あらゆる事象を防ぎ、倒す力があった。


そして、ほぼ全ての者が最初の一刀で絶命するのだが、この青年だけはそれを防いだ。



しかも今は私の連撃をギリギリで躱している。



あり得ない事だ。



ケイトが作ったその剣は、折れずに私の攻撃を全て受け止めている。



そして、この青年は戦いながら徐々に動きが洗練されている。




ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!




セービットは自然と口がほころぶ。



初めてだった。



己と戦って、戦いになったのは。



面白い・・・・・・面白いぞ!!!




ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!




血が舞う。



徐々に斬られる回数が少なくなっていく。



相手の動きに徐々に付いて行けるようになってきている。



まだだ。



まだダメだ。



相手に攻撃を入れられる様にならないと。



もっと。



もっと速く。



そして動きは最小限で!!!!!




ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!



ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!



ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!ギャン!



ザンッッッッッッッッッ!!!!!!!!




第三者がいれば、きっと二人が何をしているのかさえ分からないだろう。



そんな二人の空間に一本の腕が飛んだ。



セービットは動きを止める。



そして、飛んで落ちた背中にあった大剣を握っている腕を見る。




「ガハッッッッッッ!!!!はぁはぁはぁ・・・・・・・。」



攻撃が止んだのをみて、僕は止めていた息を吐き出す。



全身から血が流れ、床に落ちる。



相手の動きについていけるようになってきた。



だが、それでもやっと腕を一本斬っただけ。



致命傷は何とか避けたが、長くはもたない。・・・・・・どうする?・・・・・考えるんだ!



セービットは暫く自分の斬られた腕を見ていたが、肩で息をしている僕を見て言う。



「フフフフフフ・・・・ハァーハッ!ハッ!!流石ケイトが見込んだだけあるな!!!ここまで私と戦える者など初めてだぞ!!!」



そう言うと、斬られた背中の腕が生え、床に落ちた大剣を拾う。



僕はそれを見て構える。



「覚醒してない剣でここまで戦うとは・・・・・見事。だが、いつまでもつかな?・・・・・行くぞ!!!」



セービットが踏み込んだ時だった。





「レイ!!!!!」




???




声の先を見ると、そこには白雪とキリアが立っている。




まずい!!!!!!!




「・・・・・貴様!!!!邪魔をするとは何事か!!!!!」




セービットは僕に向かって踏み込んだのを方向転換すると、瞬時に二人の前に現れ大剣を振るう。




「あっ・・・・」



二人は見た事のない動きと剣速で体が反応できずにいた。




ドンッ。




ザンッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!




瞬間。




僕は斬られながら二人を突き飛ばす。




その大剣は、僕の背中を深く斬り込んだ。




「「レイ!!!!!!」」




僕はそのままセービットと二人の間に立ち、構える。



床には大量の血が流れていく。



その様子を見ながらセービットはため息をつきながら言う。



「・・・・・何とも興覚めだ。仲間を救って自分が斬られるなど。」



深く斬られ、血が止まらない。回復する時間など与えてくれないだろう。まずいな・・・・・徐々に力が抜けていくのが分かる。



僕は、セービットに言う。



「そんな事はないさ。こんなのはかすり傷だしね。」



「そうか?」




ザンッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!




セービットが言った瞬間、体が動かず、反応できない僕の左腕が飛ぶ。




「レイ!!!!・・・・・・貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



「・・・・・爆炎!!!!」



キリアの魔法でセービットは炎に包まれ、白雪がその隙に双剣で斬り込む。



「くだらんな・・・・・剣を使うまでもない。」




ドンッッッッ!!!!ドンッッッッ!!!!




「「カハッ!」」



向かってきた白雪と魔法と唱えたキリアを蹴りで吹き飛ばす。


ただの蹴りだがその破壊力は計り知れない。


包まれた炎はすぐに消え、わざと斬られた体は無傷だった。




「・・・・・どの道、お前たちは私を倒す事など出来ないのだよ・・・・・私を傷つけられるのは、覚醒したケイトの武器のみ。・・・・・それでも私の動きについてきたお前との戦いは面白かったのだがな・・・・・・さて。」



そう言うと、セービットは吹き飛ばされてうずくまっている二人の元へと歩き始める。




「おい!・・・・・まだ終わってないよ。」




僕は腕と共に落ちた剣を拾うと言う。





ザシュッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!




ドシャッッッッッ!!!!!





瞬時にセービットが目の前に現れ、斬撃が両足を斬り、僕はそのまま床へと倒れる。



背中、腕、両足から大量の血が流れ落ち、血だまりが出来る。




「レッ・・・・・レイ・・・・・」



立ち上がれない白雪とキリアはレイの方を見てうめく。



そして、セービットは二人の方へまた歩もうとすると足が止まった。




「・・・・・・待ちなよ。・・・・・まだ・・・・・まだ終わってないよ。」



吐血し、血を大量に流しながら残った右腕で、セービットの足を僕は握る。




「・・・・・凄い・・・・・凄いな。もう死んでもおかしくないというのに、まだ仲間を救おうとするか。・・・・・だが・・・・・貴様を殺すのは最後だ。愛する者を失った痛み・・・・・お前にも感じてもらってから死んでもらおう。」



そう言うと、軽く足で振り払い、ゆっくりと二人の元へと歩みはじめる。



「・・・・・待て・・・・・・待ってくれ。」



僕は、右手ではうように進む。



セービットは動きを止めずに歩いて行く。




・・・・・・待て



・・・・・待ってくれ



・・・・・二人が殺されてしまう



・・・・・・おい俺!何やってるんだ!!!



・・・・・動け!!!



・・・・・・動けよ!!!!!!!




セービットは二人の前まで来ると言う。



「助けに来たのだろうが、逆に足手まといになるとは滑稽だな。」




血が流れ、意識が朦朧とする。




・・・・・僕は誓ったんだ



・・・・もう絶対に



・・・・・仲間を失わせないと



・・・・お願いだ



・・・・・頼む



・・・・動いてくれ



・・・地球で生活していた時から奇跡や神様なんて信じちゃいない・・・・・でも・・・・・でも!



・・・・・・・神様でも悪魔でも何でもいい



・・・僕の命ならいくらでもくれてやる



・・・・だから・・・・だから!!!!!!!!!




セービットはゆっくりと剣を振り上げる。



白雪は涙を流しながら僕の方を見ると笑顔で言う。



「レイ・・・・・ごめんなさい。」



そしてうずくまっていたキリアも僕を見て同時に言う。












「「 愛してる。 」」












「ゔごげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
















次の瞬間。
















右手に付けていた、へーリックからもらった腕輪の中心にある宝石が割れた。
















カァッッッッッ!!!!!!




腕輪から眩い光がほとばしる。






・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・レイ



・・・・・・・・・・・



レイ起きて。







眩い光で目を閉じていた僕は、名を呼ばれ、眼を開ける。



そこには、白く長い美しい髪をし、女神と言われてもおかしくない程の美貌の女性が、倒れている僕を座って自分の太ももの上に乗せて見下ろしていた。



不思議と斬られた腕と足に痛みはない。




「貴方は・・・・・?」



「私?私は・・・・・【WHITE SNOW】。スノーと呼んでくれればいいわ。」



「えっ?」



僕は驚く。



何故なら、この剣は白雪が精霊化したので、ただの武器になったのかと思っていたからだ。



「フフフ。白雪がいるのに何で?という顔をしているわね。・・・・・あの娘は私の妹。この剣には私と白雪がやどっていたの。

 二人の内、一人はどうしても離れる事は出来ない・・・・・だから貴方と出会ってからずっと恋心を抱いていた妹を送り出したの。・・・・・・本当は私も貴方に会いたかったんですけどね。

 でも・・・・・やっと・・・・・やっと貴方に会えた。・・・・・レイ。貴方は私を大事にしすぎ。貴方は戦っている時に、無意識で私を折れない様、傷つけない様に庇っていた。」



スノーは優しく僕の髪を撫でる。



 「・・・・・貴方の優しさが・・・・・とても嬉しかった。でも同時に、貴方が窮地に立たされた時に、助ける事が出来ないのがとても苦しかった・・・・・。

 レイ。・・・・・もう迷わないで。大切な人を守りたいなら。」



そしてスノーは光の中心を見ながら続ける。



「私が貴方に会えたのは、彼のおかげよ。」



「・・・・・彼?」



僕は同じ様にスノーが見ている方を向き、驚く。



そこには一人の男が立っていた。




「・・・・・へーリック。」




そこにいたのは亡くなった親友へーリックだった。



へーリックは僕の方へと近づくと、屈んで僕に言う。




「レイ・・・・・消滅する前に最後の力を使って閉じ込めた僕の生命エネルギー・・・・・それを君に託すよ。だから・・・・・・だから・・・・・・」



へーリックは僕の胸へ手をおくと笑顔で言う。




「・・・・・・父上を救ってくれ。」










☆☆☆










「ヌゥゥゥ!!!」



セービットは、振り上げた剣をおろし、光の方を向く。



眩い光で何も見えない。



だが・・・・・この光は知っている。




「ばかな・・・・私が持っている物と同じ生命エネルギー?・・・・・しかもこの感じは・・・・・・」



光が徐々に弱くなり、また宇宙の様に暗い空間へと戻ると、薄い光の膜に包まれた青年が立っていた。



欠損した左腕や両足は元に戻り、握っている剣の刀身はダイヤモンドの様に光り輝いている。そして青年の背後に浮きながら半透明の美しい女性。




「・・・・・お姉ちゃん。」



その女性を見て白雪は呟く。



女性は白雪を見ると、優しい笑顔を作り、そのまま青年に同化しながら消えていった。



セービットは青年の方へと歩く。



もう、白雪やキリアには何の関心も無いかの様に。



そして、青年と向き合うと言う。



「そうか・・・・・そうだったのだな・・・・・・君が・・・・・君が息子が言っていた・・・・・。」





・・・・・・父上!私にも友が出来ました!・・・・・・




息子と交わした最後の会話を思い出す。




セービットは、剣を構えなおすと青年に言う。



「・・・・・さぁレイ=フォックス・・・・・・続きだ。」



そこには、先程までの憎悪の塊ではなく、一人の父親の顔をした男が構えていた。






僕はゆっくりとその美しい剣を鞘に戻し・・・・・目を閉じて、右足を前に出す。






・・・・・この剣と出会って最初に覚えたスキルと技・・・・・・




ドンッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!



セービットは一気に踏み込み、今までで最高の剣速で12本の剣を同時に僕めがけて振り下ろす。






ザンッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!






ドッ。






瞬間。






12本の腕は空へと飛び、胸に刀身が突き刺さる。







「・・・・・カハッ。」



「・・・・・・カウンター・・・・・居合。」




そのままセービットは床へと仰向けに倒れる。



・・・・・・血が止まらない。

斬られた腕も元に戻らん・・・・・・か。



セービットは倒れながら僕に向かって言う。



「・・・・・私の負けだ・・・・・殺すがいい。」



僕は見下ろしながら何か言おうとすると、叫び声がそれを打ち消す。



「待ってください!!!!」



見ると傷だらけの執事の格好をした男が、倒れたセービットの元へと駆ける。



「・・・・・メレン。何故ここへ。」



「エメリアル様のご慈悲で貴方様の元へ来ることが出来ました。」



気づくと、僕の隣にエメが立っている。



「ふんっ。殺しても良かったんじゃが、最後にどうしてもと言うのでな。」



「そうか・・・・・エメリアル。

 恩に着る。・・・・・さぁレイよ。とどめを。」



すると、僕の前で両膝をつきながらメレンが言う。



「レイ様!どうか・・・・・どうか主の命だけは助けて頂くことは出来ないでしょうか!代わりにこの騒動の決着・・・・・私の・・・・私の首でどうか!!!!」



「やめるのだ。メレン。私はもう・・・・・この世界にいても生きる目的がない。だが最後に・・・・・息子の友に会えて良かった。」



僕は倒れているセービットの前で屈むと言う。



「・・・・・キリア!・・・・・止血を。」



魔法で回復した二人は、すぐに僕の方へと駆け寄り、キリアが魔法で止血する。



「やめろ!やめるのだ!・・・・・このまま私を生かせば、すぐに回復してまた同じ事を繰り返すやもしれんぞ!」



僕はセービットに言う。



「セービットさん。貴方はここで死ぬべきじゃない。・・・・・へーリックの為にも。・・・・・・そして孫の為にも。」




!!!!!!!?




セービットは目を見開く。




僕は立ち上がると、メレンの方を向いて剣を抜き言う。




「さぁ。終わりにしよう。」










☆☆☆










「うそだろ・・・・・・。」



【たぬき】のクランマスター、カズキがその光景を見ながら呟く。



大平原『テルマ』。



その平原で繰り広げられていた戦いは、突如、終わる。



魔物達は、突然、動きを止めると、黒い灰となって消えていったのだ。



「カズキ。」



ミカンがその光景を隣で見ながら言う。



「あぁ。・・・・・・ハハハ・・・・・やったんだ・・・・・・元凶を。」



周りは皆、狐に包まれた様に茫然としている。



すると、後ろで指揮していた一人、アルメリアの王、ヒッキ=クラウス=アルメリアが剣を掲げて大声で叫ぶ。



「皆!!!!!この戦いは・・・・・・我々の勝利だ!!!!!!」




オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!



オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!



オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!



オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!




地鳴りの様に雄叫びが大平原全体に響き渡った。






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「終わったみたいだね。」



「その様ですね。」



元凶のいる建物の前で戦っていたエリアスは、消えていく魔物を見ながら隣で戦っていたミンクに言う。



・・・・・レイ君。君はどこまでの高みに行くんだろうね。私ももっと腕を磨いて・・・・・そしていつかきっと・・・・・・



「・・・・・ミンク。まずは負傷者を集めてすぐに治療だ!」



「ハッ!」



エリアスは、すぐに切り替えて【鳳凰の羽】部隊に指示をだした。






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「終わった・・・・・ようですね。」



肩で息をしながらシュバインは言う。



生えていた多くの触手達は、黒い灰となって消えていった。



皆、力尽き、床へと座り込む。



すぐに、アイリが皆の所へと駆け寄り、回復魔法をかけていく。



その中で一人だけ立っている、漆黒の大鎌を持ったジョアン=キングは、レイが入って行った空間を見ていた。



・・・・・あの元凶を倒したという事ですか・・・・・私は元凶が作り出した触手でさえ、苦戦したというのに・・・・・・

 フッ・・・・・私は100%成功すると確信をしないと殺しの仕事は受けない・・・・・ゼロの依頼はよく来るのですが・・・・・受けるのはまだ当分先になりそうですね。



ジョアンは、笑みを浮かべるとそのまま闇の中へと消えていった。










☆☆☆










「ほらレイ!!!何やってんだよ!!!早く壇上へ行けよ!!!」



僕の背中を押しながらヒッキが言う。



壇上の近くで、僕を見て仲間達とケイトさん、ロイージェさんが笑っている。




あれから一週間。




全世界がこの時を待っていた。



僕は壇上へと渋々上がる。



「フフフ。さぁレイ。いくわよ。」



そう言うと、ケイトは片手を前に出すと、僕の前に魔法鏡が現れる。



それと同時に、全世界の街のいたる所に同じ魔法鏡が現れた。



知らされていた全世界の民がその魔法鏡へと注目する。



その魔法鏡には、前に皆に語り掛けていた青年が映っていた。



片手にジョッキに注がれたエールを持って青年は話始める。




「皆さん・・・・・皆さんのおかげで、元凶を倒すことができました!!!」




オォォォォォォォォォォォ・・・・・・!!!!!!




魔法鏡を見ている人達から歓声があがる。




「・・・・・世界の代表者の皆さんと話し合いました。・・・・・争いのない特別な日を作らないかと。そして・・・・今日、この日を『世界平和の日』としたいと思います!!!!!」




オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・!!!!!!!




青年は頭を掻きながら続ける。




「え~・・・・。あまりこういう事はやったことないんですが・・・・・この誕生した素晴らしい日を祝して乾杯したいと思います!そして今日はとことん楽しみましょう!」



すでに、各国の代表者達が国民に通達していた為、皆、片手にお酒や子供はジュースを持ってその瞬間を待っていた。





「・・・・・・この最高の世界に・・・・・・」





僕はジョッキを前に出して笑顔で言う。





「・・・・・・乾杯!!!!!!」





ワァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!



ワァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!



ワァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!



ワァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!







この時、この瞬間。







全世界は一つになった。










☆☆☆










「フフフ・・・・・よしよし。」



アルメリア国にある小さな町。



町にある緑豊かな広場のベンチで、座って赤ちゃんをあやしている女性がいた。



その女性の前に現れた、少し年を取った男性が近づく。



女性は近づいてくるのに気づくと、男性の方を向いて笑顔で言う。



「・・・・・お待ちしてました。私はミレーユといいます。そしてこの子はリック。・・・・・・さぁ、リック。おじいちゃんが来てくれましたよ。」



リックと呼ばれた赤ちゃんは両手を広げて喜んでいる。



それを震える手で、男性は受け取る。



「ば・・・・ばぁw」





赤ちゃんの顔にポツ、ポツと涙が落ちる。






「あ・・・・・・・・ああ・・・・・・・あああああああああああ!!!!!!!!!!」






その男性は抱きかかえた赤ちゃんを見ながら、大粒の涙を流し、言葉にならない声をあげた。










☆☆☆










「ケイト様。結局どうするおつもりですか?」



未踏破ダンジョン『名もなき孤高の城』。



その山の頂上にある城で、ロイージェはケイトに聞く。



「そうねぇ。」



ケイトは片手に持っている光り輝く水晶の様な玉を見る。



・・・・・・・



・・・・・・・



・・・・・・・



「ケイト。これを君に渡す。」



「これは・・・・・貴方の生命エネルギー・・・・・。」



ケイトはセービットを見る。



「・・・・・私は憎悪にかられて、取り返しのつかない罪を犯してしまった・・・・・消滅するつもりだったが、生きたい理由が出来てしまってね。だから、人並みの寿命だけは残して、後はケイトが思う後継者に渡して欲しい。」



「・・・・・貴方はそれでいいの?」



「あぁ。私は膨大な時の中でほんの短い間だったが、とても満足できる時を過ごせたよ。だから、残りの与えられた時の中で領主としての責任と、新しい生命を見守って行くよ。」



セービットはいつもの穏やかな表情をしながら、ケイトと別れた。



・・・・・・・



・・・・・・・



・・・・・・・



「ある程度の候補は決まっているわ。」



「そうでしたか。」



伝説の武器を所持している7名・・・・・その中で【管理者】の候補を。・・・・・でも最もなってほしい彼はきっと断るでしょうね。



「あと・・・・・・メレンの処遇、ありがとうございました。」



ロイージェは深々と頭を下げる。



「フフ。貴方とメレンは、私とセービットと同じ様に仲が良かったものね。」



片手に紅茶を持ちながらケイトは立ち上がると、悪戯っぽい顔をしながら言う。



「・・・・・褒美として七名には【ハイヒューマン】へ進化させたわ。でも、彼はもうすでになっているから。別の褒美をあげないと不公平でしょ?・・・・・・フフフ・・・・・これから彼はどう生きていくのかしら・・・・・・楽しみで仕方ないわ。」



ケイトは紅茶を一口飲むと、窓の外の景色を見ながら微笑んだ。










☆☆☆










「ほっ・・・・ほっ・・・・ほっ。」



僕は今、岩だらけの山を仲間達と一緒に登っていた。




ここは最古の国と言われている『ルーン』。



そこに住んでいる昔から世話になっているジョイルさんに、僕達の防具のメンテをお願いしている間、久しぶりに見たくなったのと、せっかくだから皆にも見せたくて、この山を登っていた。



「おし!着いたぞ!」



頂上に着くと、中央に一体の女神像がたっている。



「さぁ皆!こっち、こっち!」



僕は仲間を連れて、女神像の裏にまわり、崖の所までいく。




「「「「 わぁー-----!!!! 」」」」




真っ青な空。下には森が広がり、周りは神々しい山々がそびえ立っている。



まさしく絶景とよべるにふさわしい光景が広がっていた。



皆、その景色に圧倒されながら見入っていた。



「凄いのぉ。」



エメが呟く。



「・・・・・いや。本当に素晴らしいですね。」



メレンが言う。



「・・・・・って、こら!メレン!何でおぬしがいるんじゃ!」



あたり前の様に仲間と一緒にいるメレンは笑顔で言う。



「何って・・・・・私はレイ様にこの命を拾って頂き、ケイト様の了解を得て、一生仕える事に致しました。」



「致しました。・・・・・じゃない!この位置はワシのポジションじゃ!」



エメとメレンがもみ合っている。



僕はその光景を見て微笑むと、崖ギリギリに立ち、広がる絶景を見渡す。




気持ちいい風が僕を包む。






ここだ。






ここからだった。






全てが始まったのは。






地球の生活も悪くはない。






納得のいく人生だったと思う。






でも、第二の人生として降り立ったこの世界。






自由。






感動。






冒険。






友達。






そして仲間。






僕に様々なものを与えてくれた。






今も楽しくてしょうがない。






だから






これからも思った事を信じて進んでいこうと思う。






仲間達と共に。






僕は振り返る。




「さぁ!皆!行こうか!」



「「「「 オー!!!! 」」」」




僕は歩き出し、思い出した様に止まると、白雪、ラフィン、キリア、アイリを見て笑顔で言う。




「ごめん。そういえば【返事】がまだだったね。色々とあったから返事が遅くなったけど・・・・・・」




四人に緊張がはしる。




「僕が好きなのは・・・・・・」




ゴォッ!




「・・・・・・あっ。」






風が吹いた。






突風が。






最初に吹いたあの時の様に。






その風はキリアの黒い帽子を奪うと、空高く舞い上がる。






まるで女神が悪戯したようなその風は






とても優しく






僕達を包み込んだ。






                                   Fin




















---------------------------------------------------------



これにて終話です。


ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!


初心者なので、文章が読みづらかったり、誤字、脱字が多かったり、すみませんでした(>_<)


皆様が読んでくれたのがとても励みになり、最後まで書ききれました!


この場をお借りしてお礼申し上げます。


ありがとうございました!














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この最高の世界に乾杯! もっさん @kamikazerock

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