まとめ
読み終えて
小説が読めなくなり、荒療治とばかりにやる気に満ちた高校生の作品から刺激を得て、読めるようになろうとリハビリをかねてはじめました。
当初、感想を書くつもりはありませんでした。
読んで、考えが変わりました。
一人ひとりが必死になって書かれた作品ばかりです。
読む側も必死に読まなければいけない、と気持ちを切り替えて読み進めました。
受賞作だけで終えようとしたのですけれども、中間選考にまで残った作品も同様に必死に紡ぎあげた作品だと考えを改め、読むことにしました。
【高校生対象】文学はキミの友達。「カクヨム甲子園2020」ロングストーリー部門とショートストーリー部門に応募された総数一九三三作品中、中間選考に残った作品と受賞作品(ショートストーリー部門二十作品、ロングストーリー部門十九作品)合計三十九作品を読み終えました。
どんな賞でも概ね共通している事実は、「一次選考で九割が落ちる」「大賞は一作のみ。(カクヨム甲子園の場合は、読売新聞社賞と奨励賞がある)」「最終選考委員は毎回変わる」ということです。
三十九作品を読み終えて、「誤字脱字など文章の基本ルールがよほどひどくない限り、あまり気にされていない」「受賞に選ばれるには、一応の傾向がみられる」「ひとつ抜き出たものが大賞を取っている」と思いました。
三十九作品読むのに、わたしは半月ほどかかりました。
応募総数一九三三作品を一人で読んだら単純に二十五カ月かかります。締め切りから最終選考対象作品発表まで二カ月くらいでしたので、六人くらいいればなんとか間に合うでしょう。
基本的に選考委員は応募作を「落とす」つもりで読んでいるため、下読み選考者は、期限内に先行して次の選考へ上げなくてはならないはずです。実際のところはどうだったかはわかりません。
募集ジャンルは「現代ドラマ」「 エッセイ・ノンフィクション」「恋愛」「ラブコメ」「ミステリー」「ホラー 」「SF」「異世界ファンタジー」「現代ファンタジー」「歴史・時代・伝奇」「詩・童話・その他」多岐にわたるオリジナリティあふれる作品でしたので、読む方も大変だったと思います。
小説の面白さを支えている代表的なものは「文章の描写力」「ストーリー」「構成」「設定」「キャラクター」「専門性」この六つがあげられます。
斬新さも大事ですが、「よく伝わる」文章が優先されるのは当然です。ストーリーや構成は手順なので、間違えれば決定的な差となってしまいます。専門性は作品のウリになりますが、いちばん重要なのは設定とキャラクターでしょう。
ロングストーリー部門の大賞を取られた「毒を食らわば来世まで」の主人公、喇叭八録はキャラクターが抜きん出ていました。愛がテーマだから死を描けるホラーを選んだのか、それとも逆なのかはわかりません。けれど設定が考えられていて、書きたいものを書けているしほとんど完成していてすごい作品でした。
一時間くらいのアニメやドラマでみてみたいです。
ショートストーリー部門の大賞を取られた「たんぽぽ娘」は、ミステリー作品ですので構成が命です。短い話に伏線も考えられていて、読者を楽しませることを意識された作品でした。アニメかドラマにして映像にしたら面白いだろうなと思いました。
ロングストーリー部門の読売新聞社賞をとられた「プロトコールが鳴り響く」は、設定やストーリーが良かったです。コロナ禍の高校生にしか書けないテーマの作品でした。今を切り取った作品は何年か過ぎて再読して振り返ったとき、当時は気づかなかったことを発見し成長の喜びにつながることができます。新聞社としては掲載したいと思ったのではないでしょうか。
ショートストーリー部門の読売新聞社賞をとられた「ひすい」は、構成も良かったですし、文章が素敵でした。同じ人を見ながら一方は酷いことをしようとし、もう一方は素敵だと惹かれるさまを描いた恋愛作品の読後感がよかったです。短編ドラマで見てみたいです。
うまく感想を書けたかわかりません。
けれども、どの作品も考えられた作品ばかりでした。
今後の糧にしていきたいものです。
読ませて頂きましてありがとうございました。
「カクヨム甲子園2020」の作品を読んで snowdrop @kasumin
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