ここは狂気に満ちた不思議の国。彼女は『アリス』で在るために――

――これは、彼女が『アリス』で在るための物語。

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』のお話はきっと誰もが知っていることでしょう。今作はその滑稽で幻想的な雰囲気を落とし込みつつ、残酷に、狂気的に描かれる作品です。
原典同様、物語を彩る登場人物はみな奇妙な言動をし、時に理不尽でもあります。しかしそれでも不思議と魅力を感じてしまうような描かれ方がされています!
物語が進むにつれて次々と新たな人物が現れるのも、読者を飽きさせないポイントだと思います。誰も彼もが原典の物語とリンクしていて、特にドードー鳥さんのシーンは原典ファンならニヤリとしてしまうでしょう!

そしておそらく、原典との最大の差異は主役たるアリスちゃんのキャラクター性ではないでしょうか。
原典の『アリス』に憧れ、己が主役で在るためにはどんなことも辞さない。そんな彼女だからこそ、この残酷な物語は奇妙に美しく成り立つのでしょう。

この物語を開いたが最後。
きっと貴方も、不思議の国で繰り広げられるサイコホラーの虜になるはずです。