瓦礫の惑星
もゆう
瓦礫の惑星
ザッザッザッ……
乾いた大地に足跡が残る。周りには誰もいない。見渡す限り瓦解した建物で溢れていた。
辺りには私たちを除いて誰もいない。いるはずがないのだ。
ここは通称、“瓦礫の惑星”。理由はわからないが、瓦解した建物で溢れている惑星なのだ。
何故って?その理由はまだ誰も知らない。そう、私はこの惑星が瓦礫まみれの理由を探しているのだ。そして人類が絶滅寸前の理由を。
「
私___
「かーすーみーー!きゅーけいにしないーーー???」
「うわっ!ごめん、聞いてなかった……そうね、そろそろ休憩にしよっか」
「やったー!!!」
別にそんなに長く歩いたつもりはないが、この暑さもあってかこの子は疲れていたらしい。
「香澄は疲れてないの?」
「えっ⁉︎」
びっくりした。この子はたまに心の中を読めるのかって言うくらい鋭いからね。この子の名前は
「……あーあ、やっぱり左足の接触が悪くなっちゃったみたい……香澄は顔色一つ変えないから心配になっちゃうよ」
「……ごめん」
乃亜は生まれつき左足と右腕が無い。祖父に作ってもらった全自動の義手を使ってるんだけど、今みたいに時々故障してしまうらしい。
「この暑さも全部神様のせいだ〜!暑いよ〜!」
「あんまり暑い暑い言わないで。滅入りそう」
「じゃあ寒い」
「……………」
「……そういえば、遠くに建物らしき影があるんだ〜!あたし達、ついに目的地にたどり着いたんじゃない??」
「本当⁉︎」
遂にここまでたどり着いた。ここまで長かったからまだ目的地についてないけど疲れがどっと出てきた気がする。
「ふぅ〜、生き返る〜……」
乃亜はいつの間にか手足にオイルをさし、お茶まで飲んでいた。
「まさかついにアレが見つかるとはね〜!ここまで暑い中歩いたかいがあったよ〜!」
アレ。それは遺跡のこと。こんくりーと?っていう素材で覆われた建物なのだ。遺跡の中には沢山の本がある。遺跡が今回の旅の目的地である。
「やっと私たちも遺跡まで来たのね。この遺跡に手掛かりがあれば良いんだけど……」
「きっとあるよ!ここまで頑張ったんだもん!神様だって見てくれてるよ!」
「アンタさっき神様のせいでって言ってなかったっけ?」
「えっ……えー、イッテマセンケド???」
「わかりやすく動揺すな!」
乃亜は顔に出やすいな。まぁそれが良い所でもあるんだけど。
「さっ、休憩も終わり!遺跡まで進むわよ!」
「え〜!もっとダラダラしてたい〜!香澄だって本当は疲れるんでしょ〜!」
「……アンタの相手に疲れるわ」
「ひどいよ〜!」
一回休憩し始めると乃亜は毎回だらける。そしてぐずりだす。もうお決まりのパターンになってしまった。そんな乃亜を無理やり連れ出す。
ザッザッザッ……
乾いた大地に足跡が残る。周りには誰一人としていない。辺り一面は瓦解した建物で溢れていた……………
そして、たどり着いた。
「着いた〜!遺跡だ〜〜〜!!!!」
「早く本を探すわよ」
「ん〜、達成感をもっと味わいたいのに……」
私たちが遺跡を探してここに来た目的。それは本だ。遺跡の本は、1000年前の出来事が書かれているのだ。そんな遺跡の本ならば、私たち人類が圧倒的に少なくなってしまった原因を探せるかもしれない。
「いっぱいあるね〜……ん、なにこれ、大きな鳥……えっ⁉︎この大きな鳥を人間が操ってたの⁉︎胴体部分には他の人間が乗れて……すごーい!!!」
「飛行機って言うらしいわね。超凄い発明品なんだって」
ここには知らない事がいっぱいある。でも……肝心の人類が絶滅寸前の理由についてはどの本にも載っていなかった。それどころか、人類は絶滅寸前なんかじゃなく、昔は75億人もいたらしい。今では世界中でも100人もいないのに。
「はぁー、この遺跡にもなかったわね。エロジジイ、後で殴るわ」
「物騒だね⁉︎」
せっかくあのエロジジイの要望に答えて水着写真撮影までしてあげたというのに……決めた。もうあのジジイから情報は買わない。
「まぁ色々なことを知れたからいっか。村に戻ろう」
「そだね〜!今日はぐっすりと寝れるよ〜」
ザッザッザッ……
乾いた大地に足跡が残る。周りには誰一人としていない。見渡す限り瓦解した建物で溢れていた。
辺りには私たちを除いて誰もいない。いるはずがないのだ。
ここは通称、“瓦礫の惑星”。理由はわからないが、瓦解した建物で溢れている惑星なのだ。
……………………そう、ここは瓦礫の惑星。
辺りには少女一人を除いて誰もいない。いるはずがないのだ。
瓦礫で崩れた砂の上には、一人分の足跡のみが残る。
今日も今日とて、少女は独り。
少女はブツブツと独り言を言いながら、瓦礫の上を歩き続ける。
瓦礫の惑星 もゆう @MOYUU
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