第四夜 紡ぐ希望

必中確実の一撃は、結論から言えば。

届かなかった。

何故か。

悪魔の右手に、理由はあった。

そりゃあそうだ。じいちゃんと師範代が、この程度の奴に負けるはずは無かった。

奴の右手全体が。


「凍ってる・・・?」


結果的に、天道の下駄が凍り、張り付き。

離れることができなかった。

届かない!

「天道!離れろ!」

「うわ!」


下駄を犠牲に、右手から離れる。

あのまま居たら、右足が凍りついて・・・っていや、悪い想像はやめよう。

「どうする・・・?」

くそ・・・今ので終わらせれていれば・・・

どうにか・・・どうにかあの右手が・・・


一旦距離を・・・


後ろに下がろうとすると、足が動かない。

バランスを崩し、左手を着いてしまった。

「冷っ!」

まさか・・・

「しまった・・・地面が・・・」

ここらの地面が、奴の冷気に侵食されていた。


手が凍り付いていく。

ああ、終わりだ。もう俺は一歩も動けない。

「痛い・・・ぐ・・・」

天道も片足が凍り付いている。


どうするどうするどうする!

投てき・・・いや無理だ。

終わるのか?ここで。

負けるのか?

悪魔は、右手を振りかぶる。

ああ、母さんは無事なのだろうか。


「ごめんじいちゃん・・・俺は・・・


「思考を止めたな。それは良くない」

「「!」」


俺は一度瞬きをした。

見えていた景色は、悪魔の右手が迫る。

そんな絶望。


瞬きの後、奴は右手がばらばらに、そして。


首が飛んでいた。


「間に合ったか・・・?」

だ、誰だ?

「君、戦いの最中なら、諦めるな。思考停止するな。僅かな可能性を捨てるな。本当に抗えない絶望が現れた時は、抗いながら死ね」


「は、はあ・・・」

「あの・・・貴方は誰なんですか」

「俺かは播金 盞花と言う。こういうのを倒している。そういう仕事をしている」

「じゃ、じゃあこれは何なんですか・・・」

「それは教えられない。しゅひぎむってやつらしい」

なら、聞くことは一つだ。

「あなたみたいになるには・・・どうすればいい!」

「それは俺に聞かれても・・・」


え?


「え?」

「え、俺は・・・自分からなった訳じゃないから・・・」

「あーそういうあれですか・・・」

どうしよう・・・この子達、たぶん祓魔師に成りたいんだ・・・動きは結構良かったな・・・でも俺は良く分からないし・・・あ、そうだ。

「今は引退した友達が居るんだ、もしそのあれなら・・・会ってみる?」

「会います!」

「えっと・・・君たち字は読める?」

「天道君が読めるので大丈夫です」

「あ・・・はい」


一度町の守護と道場に戻り、遺体を回収した。

沢山の人が涙を流した。

許さない。


そうして、次の日、俺たちは海月村へ向かうことにした。

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祓魔修羅 Nana @kuzunoha_3

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