Ex. Film 1~3. 『トランスポーター』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ライラの冒険・黄金の羅針盤』

 ここからは番外編。拙作でネタにした映画のうち、クリスマスとは関係のないラインナップ。

 年末年始休暇中の観賞用として、どうぞ。



Ex. Film 1. 『トランスポーター』

 

 「世界最強のハゲ」こと、ジェイソン・ステイサムの出世作。2002年産のカー&スタイリッシュ・アクション。

 映画はフランス発ですが、イタリア人に見えるステイサム兄さんの出身地はイギリスと色々ややこしい映画(笑)。


 拙作中にある「禿げた筋肉質のイギリス人がオイルまみれでヌルヌルになって格闘しているシーン」はこの映画の話。

 ステイサム演じる凄腕の運び屋フランクは、周囲にあるあらゆるものを武器にできるスーパーマルチファイター。なのですが、ある格闘シーンでは自ら全身にオイル(機械油?)を浴び、敵の打撃やつかみ技を無効化して一対多の状況を切り抜けるという離れ業を見せます。

 発想が斜め上すぎてかっこいいのかどうかもよくわからない、スタイリッシュアクションって何だっけ、となるくらいとても奇妙で印象的なシーンです。なんとなくですが、同じスタイリッシュ系アクション俳優でもステイサム兄さん以外ではサマにならないかもしれませんね。


 本作はシリーズにもなっていて、1~3までずっとステイサムが主演。シリーズ作品にしては珍しくどれもアタリ映画なので、この年末休みに一気見なんてはいかがでしょう。



Ex. Film 2. 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』


 ラース・フォン・トリアーというデンマークの鬼才をご存知でしょうか。フランスを中心に活動するこの映画監督が2000年のカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞し、かつ彼の映画の中で最も「観やすい」映画がこの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。

 この華々しい勲功と「観やすい」という“トリアー基準”の評価、しかもミュージカル映画であることにそそのかされてつい手を出した者に、しばらくベッドから起きられなくなるほどの絶望的な衝撃を与えるヘヴィ・オブ・ヘヴィな映画です。だから年末休みが観るチャンス!(強引)


 しかしながら、語り尽くせないほど美しい映画でもあります。トリアー監督自称の「黄金の心三部作」の一つでもあるのですが、まさに主人公の無垢な精神性とその悲壮さに胸打たれてしまいます。


 本作ではっきり引用した「私はもう見た。暗闇も、フラッシュのような光の一瞬のきらめきも」「過去の自分も見たし、未来の自分もわかってる」はその悲壮さと意志の強さを直接に表したもの。

 主人公の女性とその息子は進行性の弱視と失明症を患っているのですが、一人分しか稼げなかった治療費を息子に譲る決心と愛の揺るぎなさを劇中にて歌い上げます。

 なお主人公を演じるのはアイスランドを代表する歌手・ビョークで、劇中歌も実力派の彼女の歌声で紡がれます。


 この映画は自分にとっても思い出深く、刺さったトゲの残り続けている大事な作品。過去の自創作(Webでは一部公開)でも度々引用やオマージュを取り入れてきました。拙作『ルーシー・ダイヤモンド・ドーソンと晩餐を』にもまだ他に、この映画を観たことがある人だけにわかるオマージュを組み込んであります。



Ex. Film 3. 『ライラの冒険 黄金の羅針盤』


 2000年代を代表する一大ファンタジー巨編の一つ、になるはずだった不遇の映画(2007年アメリカ)。同時期に成功したナルニアよりもこっちが好き!という声を未だに聞くほど、続編断念が惜しまれ続けている作品です(※去年HBOのTVドラマとしてリブートが始まりました。が、まだシーズン1までで、映画版のシリーズ進行度よりほんの少し進んだ程度です)。


 拙作ではタイトルの一部がギャグとして出てくる程度でしたが、作者もファタンジー映画の中ではやはり大好きな映画。

 近世の現実世界ベースながらほとんど異世界と遜色ないような、冒険心くすぐるきらびやかな世界観。自分の魂が動物の姿を取って、会話もできる守護獣“ダイモン”になるというステキ設定。主人公・ライラの愛らしくも勇気と行動力に満ちたキャラクター。そして頼もしい仲間のよろいグマ……。


 今観直すと脚本もぶつ切りで、原作からのはしょりも結構強引な部分に気がつくのですが、随所に散りばめられた“夢のある要素”のステキさとその密度は、かのハリー・ポッターシリーズにも勝るとも劣らない、と思っています。


 シリーズ1作目となるはずだったこの作品は、また北極を目指す物語。雪深い情景も多く、今のシーズンにはピッタリです。お子様のある方はお正月にぜひ。




 さて、一気に三本ご紹介しましたが、これにて本当におしまいです。

 拙作『ルーシー・ダイヤモンド・ドーソンと晩餐を』には、今回ご紹介しなかった映画のネタがまだまだ隠れ潜んでいます。もしかしたらあなたが知っているものを見つかるかもしれません。ぜひ探してみてくださいね?


拙作・クリスマス作品『ルーシー・ダイヤモンド・ドーソンと晩餐を』

https://kakuyomu.jp/works/1177354055070065795



 それでは、お付き合いありがとうございました! よいお年を!!!

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ザ・ムービーズ・オブ・『ルーシー』 ヨドミバチ @Yodom_8

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