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連載開始!新作は「歌えば死ぬ世界」のダークファンタジー

 ご無沙汰してます、ヨドミバチです。

 あいかわらずジワジワ書いてるんですが、そろそろ一番大事なマザーシップシリーズやライフワーク的な作品に本腰入れたいなーと思っていて、でもそうなると本気で長い沈黙期間も始まるしー、その前に単発で一回なにかやりたいなー、と思い立って、この度新規の長編作品の公開を始めました。


 タイトルは、『なじか嗄れなきロウレライ』
 第1話公開済みで~す。
 https://kakuyomu.jp/my/works/16818093081830100036

 Xfolioでも並行連載中(©mz様のイラスト付き!)
 https://xfolio.jp/portfolio/yodom_bee


 今回は十八番のダーク・ハイファンタジー。
 といってもカクヨムにハイファンタイトル置くのは初めてですね。ノベプラの運用に満足してきたので、他タイトルの移植もジワジワ始めるかもです。

 今作は単発の使い切り作品のつもりなので、世界観の作りこみも軽めですが、代わりにインパクトのあるワンアイディアを持ってきたつもりです。


 端的には「歌うと死ぬ世界」。

 正確には「歌うと殺される世界」です。精霊と人がかつて共存していた世界なのですが、今や敵対している精霊たちは、あるものに反応して襲ってきます。そのあるものが「歌や音楽」。


 この設定、ちょっと映画好きぐらいの人でもどこから着想を得たかわかってくれるかもしれません。結構最近のヒット作です。カクヨム版の煽り文もそれを意識してみました。
 ジャンルは全然違うんですけどね。面白い作品を眺めてるときほどアイディアって浮かぶんです。

 しかし、その「歌嫌いの精霊たち」は、「誰が歌ったかなんて区別しない」部分でその映画と似ています。
 怒り狂って飛び出してくる彼らは、目につく生き物を手当たり次第に襲います。うっかり鼻歌を歌ったり指でリズムを刻むだけで、周りの人も巻き込んでめちゃくちゃにされる。


 そういう世界ですからね、「死にたいやつは勝手に歌え」では済みません。「あえて歌う」っていうのは超々迷惑行為です。




 でも、あえて歌う。
 だって、歌いたいから。




 ここがこの作品の真のダークポイントです。
 もうスーパー迷惑行為なのに一切気にせず歌う〝歌姫〟の存在。話通じなさそう~。


 もちろん彼女も例外なく精霊たちにしばかれます。歌う以外が無能な存在なら、最初のオンステージで一発退場。しかし、「信者」がいると話が変わるんです。
 彼女を歌わせるためだけに、身を挺し命を捨てて彼女を守る人たち。


 いやいや、そもそも歌うと迷惑なのだから歌わせるなというのが良識(精霊たちは言葉が通じないので説得は無理)なのですが、彼らには関係ありません。どころか、誰がその犠牲になっても知ったこっちゃないと思っているやつもいれば、みんなも姫の歌のすばらしさを理解するべきだ!としか思っていないやつもいます。
 歌姫当人も含め、彼らは大義も正義も持たない、もとい、自分の中の大義や正義だけに準じるヤベー人たち。その人たちのほうが主役だからこそ、このファンタジーは「ダーク」なのです。



 昔から大好きなんですよね。存在自体が悪のような存在と、あえてそれを守ると覚悟決めちゃった人の話。
 そのモチーフは勝手に「咎姫と守護者」と呼んで自分の中でジャンル化させてます。自分にとっては王道的なテンプレですらあるんです。公開中の過去作にも要素を含むものがありますし、そもそも中学くらいの処女作からそれ。


 ディズニーアニメで育ってきて、ディズニープリンセスは大好きなのですが(ベル、ウェンディー派ですけど)、大衆向けにプロデュースされた彼らにはやはり結局、視聴者が容易に共感できる正義や大義がどこかしらにあるんです。
 メジャーなエンタメの「やり口」としては正解だしある種誠実であるとも思います。
 でも、めちゃめちゃ性格の悪いっていうか変態的な見方をしてしまえば、結局の正義が自分たちにあることを担保せずにはいられない、その安全圏から出て物語を作れない、ってことでもあるんです。もちろんディズニーや「誠実なエンタメ」を作ってる人にそういうのも作れと求めたいわけではなく、むしろ安全圏のものを彼らが作ってくれてるからこそ、自由な自分は安全圏からどこまで出られるかに挑戦できるんですが。


 ディズニー以外でも古いラノベにもありました、「世界から存在自体を悪とされた姫を、彼女の兄と姉だけが守ろうとする物語」。
 あの作品も自分の原点でありつつ、しかし結局「存在自体が悪」の部分にはしっかり欺瞞をはらむ安全圏の優等生ギミックが見えるわけです。自分はなるべく在野の不良でいたいので、その安全圏からどこまではみ出せるかに好きなだけ挑戦がしたい。

「咎姫と守護者」って、なにより擁護しきれないところに悲劇性があるんです。糾弾されるべき存在なのは変えないまま、どのようにしてどこまで〝エモ〟が呼べるか。これはなんかそういうスポーツじみたジャンルで、自分にとっては原点回帰なのです。



 物々しく語りましたが、要はダークなんです。雰囲気ダークじゃなくてちゃんとダーク。ただの残酷ダークじゃなくて情緒めちゃめちゃにしたい。そしてかなり自分らしい路線のダークファンタジーを書きました、という話。

 最近書いた作品からの流れでまた音楽を題材にしたりもしてみました。
 さらに、「霧で覆われた世界」なんですよ。FFの某ナンバーの話で盛り上がったことある人はピンと来るかもしれません。単発と言いつつ作家性モリモリですね(他人事みたいに)。


 でもヨドミにしては珍しいところもあって、今作は男の子主人公です。ボーイミーツガール。しかも純粋な「剣と魔法のファンタジー」でもあります。剣はまだしも魔法は全然出さないのが普段の自分。ライフワークを進める前に、やりたいこと・やってないことを詰め込んでみた作品です。


 で、今日すごい気が早い感じでバァーッと語ったのは、設定やモチーフは上記のとおりでも、〝歌姫〟と出会うところからスタートするこの主人公くんがどうなるかはまた別の話だからです。本題もそっちなんですよね。〝彼〟がなにを思い、どんな選択をするのかを、楽しんで頂ければ幸いです。



 なお、今回は書き切り型はやめて、今書き終えてる18話ほどを公開し終えたら、書けたものから公開していく不定期連載に切り替えます。
 読んでもらうのはついで程度の気持ちでやってるものが、毎日更新程度の努力ではさほど伸びないともわかれば、もっとのんびりやろうとも思いましたので。

 プロットがト書きレベルで完成しているので、自分の場合それでエタる心配はありません。
 4部構成で単発にしては長くなったんですけどね。30万字とか余裕で越えそうです(笑)

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