第2話・前夜の会話

嶺はヴィクターに自分の身の上話を始める。

「俺はCIAエイジェントになる前は日本の警察官だったんだ」

ヴィクターは関心してエイジェント前の自分を話す。

「へぇーーーっ俺も前は国境警備隊の隊員だった」

「父さんが刑事で幼い頃から憧れていて、それで警察官になった。ヴィクターは?」

嶺の問い掛けにヴィクターは少し暗い表情をする。

「俺は・・・親父と喧嘩して、親父はから立派な科学者になれと言われたが、勝手に自分の人生が決められる事が嫌いでそれで軍隊に入った」

嶺は申し訳ない表情をする。

「そう・・・なんだ。すまない、気にしているなら・・・」

ヴィクターは少し慌てて弁解する。

「ああ、いいや、俺は親父と喧嘩した事は余り気にしていないから。それより嶺はど言う経緯でエイジェントに?」

「警察学校に入ってけど、警察では下っ端の巡査でね。でも俺はよく刑事課の難事件を勝手に捜査して解決していたんだ」

「ほぉーーーーっ!その功績は昇進物だな」

「でも、俺は昇進どころか感謝状一つも無かった」

嶺の発言にヴィクターは少し驚く。

「ええ⁉︎何で?だってお前は難事件を解決したんだろ?」

嶺はクスリと笑う。

「上層部は刑事でも無い巡査が難事件を解決した事が気に入らなくて、俺の手柄は全部、刑事課の物にされてた」

「上層部を問い詰めなかったのか?」

「勿論、問い詰めたけど聞き入れられず門前払いされたよ」

「酷いな、それで警察を辞めたのか?」

ヴィクターの問いに嶺は軽く頷く。

「ああ、でも俺の能力に目を付けた今の上司の誘いで親にはインターポールに入ったと嘘を言ってCIAに入った」

「成る程、俺も国境警備隊に入ってからは勝手に情報収集して祖国を脅かすテロ組織を壊滅させたよ」

嶺は少し納得した表情でヴィクターに問う。

「それでKGBにスカウトされたと?」

「ああ、まず第16独立特殊任務旅団に入隊してから色々と学んだ後に極東や欧州で実戦を経験した。嶺は?」

嶺は腰に提げていた水筒の水を飲んで話し始める。

「俺は海軍のネイビーシールズに入隊して色々と学んだ。それから欧州やアフリカで実戦を経験したよ」

嶺の話しにヴィクターは笑顔になる。

「やっぱり俺達は人種や組織は違えど何処か似ているな」

嶺も笑顔になる。

「そうだな。こんな偶然は初めてだよヴィクター、俺らはいい友人になれそうだ」

嶺はそう言うとヴィクターと友情のグウタッチをする。

そして嶺は個人的な事を話し始める。

「ヴィクターって日本に行った事はあるか?」

ヴィクターは軽く首を横に振る。

「いいや、まだ日本には行っていない」

「そっか、俺の国はいい所だぜ。飯と酒は美味いし、あ!でも金はかかるぞ」

ヴィクターはジョークを言う。

「小国のくせにそう言う所はきっちりしているなぁ」

嶺も返す様にジョークを言う。

「まぁ、日本は自然の美しさが取り柄じゃないから」

嶺とヴィクターはお互いに笑い合う。そしてヴィクターは笑顔で立ち上がる。

「じゃ嶺、明日の作戦で」

「ああ、明日な」

ヴィクターはそう言うとテントを後にする。

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ブラック・オペレーション IZMIN @IZMIN

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