第10話 島根県 山中
時は流れた。
島根県。
ヒロは崖の上から下界を見下ろしていた。
雪景色。遠くに街の夜景、高速道路の光も見える。
多くのことがあった。
村に、多くのことを伝えた。人が集まり出雲の国と呼ばれるようになった。
国を離れ、カイとウンディーヌと一緒に旅をした。
すべては夢のよう。
千年経ってカイは命を失った。
ウンディーヌも、もうすぐ命を失おうとしている。
背後の洞窟では、何人もの術者・・現在は陰陽師と呼ばれる者たちが片付けをしている。
平和な時代。
契約が結ばれて以降、術者は実戦から遠ざかり力が弱くなる一方。
たかが結界の残滓にも対処できず、ヒロに助けを求めてきた。
あの時、ヒロによって消されるはずの結界が一匹逃れていた。
登山者が遭遇し、ケガをした。
連絡を受け、久しぶりにこの地に来たヒロは、あっという間に退治したのだった。
思いにふけるヒロ。
背後より陰陽師を束ねる、榊 和葉が声をかけた。
「ヒロ殿、何を思ってらっしゃる?」
ヒロは振り返り、言った。
「孤独を」
◇◇◇
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