ウルシの美学

天獄橋蔵

第1話ウルシの美学

ウルシの技法。


僕の名前は橋蔵。どこにでもいる高校1年生……では無い。中学生の頃不登校ひきこもりを経験している。

中学時代好きだった女子に告白したら、その女子からバレンタインを貰ってしまい。あれ?OKって事かな?って思った。


次の登校日に、女子にOKの返事か確認したんだ。

女子「ありがとうの気持ちだから、返事って訳じゃないよ?」

橋蔵「じゃあダメって事?」

女子「気持ちは嬉しいけど、ありがとうね?じゃあね」


それから、告白した噂が広がり、その女子を好きだった男子の陽キャから猛烈ないじめが始まった。

カス明「おい!橋蔵!サッカーやろうぜ!」

橋蔵「いや、いいよ…」

カス明「んだと?俺がやるって言ったらやるの!」

橋蔵「はい…」


サッカーと言いながら、ボールは蹴らずに俺の足ばかり蹴る。痛い……

橋蔵「痛いからやめてくれ!」

カス明「俺はサッカープレイヤーでお前はボールなんだよ!ボールが喋るな!」

先生「コラ!お前達何やっている!」

カス明「やべっ、先生来たからここまでな?」


サッカーごっこは日増しに執拗に呼び出される様になる。段々と学校に嫌気がさして不登校になってしまった。

家ではパソコンに向かう毎日。ネットで怪しげな宗教や洗脳、魔法とかの記事を読み漁る。


今にして思ったらそれが失敗だった。世の中にはインチキが溢れている中に必ず本物も紛れていて、同人誌のオカルト本だったけど、確かな本物だった。何故なら実際に、僕は魔法を習得したからだ。


ギャルゲーとかによくある親密度、好感度を視覚化した5段階評価が、僕の視界に現れる様になった。

高校生になったくらいに見えてきた。最初はなんだこの信号みたいなものは?って思っていた。


高校の入学式の頃には見えていた。クラスメイトの殆どが、2つ丸が灯っていた。

その時はなんだこれ?ってくらいだったが、どうにか、これって魔法なんじゃ?って思いに至り、色々観察する事に決めた。


教室に入って最初のホームルームが始まった。担任教師は丸3つだ。男子生徒はほとんど2で、いかにもなヤンキーが丸1だった。

女子生徒を見やると一際目立つ美人が丸4で、他は2〜3だった。


自己紹介の時間が始まるみたいだ。担任が黒板に自己紹介って書いた。

担任「じゃあ自己紹介の時間だ。出席番号順に言っていこうか」

クズ久「俺ん家は爺ちゃんが893で、俺は爺ちゃんの孫、爺ちゃんの孫。困った事があったら俺が助けてやるからな!」


関わりたくない人種だ。見た目ヤンキーどころじゃなく、立派に反社の一員だろ?

担任「次、橋蔵。」

橋蔵「はい、趣味はゲームと、読書です。部活はゲームがしたいので入らない予定です。以上」

クズ久「お前いじめられそうだから、俺を頼れよ?守ってやる!」


えっ?コイツ意外に良い奴?なのかな?

その時だった。クズ久の頭上の丸が1→2になった。

橋蔵(なんだこれ?まさか?ギャルゲーとかにある好感度みたいな?)

担任「次は女子か、じゃあ、ウルシ」


丸が4つの女子だ。こっちをさっきからチラッと見ていて気になっているんだよね。

ウルシ「よろしくね〜☆好きな事はゲームと、執筆活動です。気が合いそうな人は男女問わずだよ〜☆」

担任「見た目に似合わずオタク系かな?部活入らないつもりか!?w


ウルシ「バレーボールをやってましたね。高校でもバレー部に入るつもりです☆」

担任「ほう、まあその背丈ならバレーかバスケだなうちのバスケ部入る気ないか?」

ウルシ「バレー一筋だったので、遠慮します」


こんな感じで入学初日は終わった。帰り道に、クズ久から声をかけられた。

クズ久「お前さ、読書って何好きなんだ?漫画とか読む?」

橋蔵「読むけど?何で?」

クズ久「おすすめあったら貸してくんない?」


あー、コイツ多分借りパクする気だな?貸さない口実探そう。

橋蔵「あるにはあるけど、僕電子派だからさ?ごめんね」

クズ久「そっか、残念だな、おすすめ教えてくれるだけで良いからさ?」


ん?何で食い下がる?まあ、教えても良いか。

橋蔵「漫画だったら、うーん、バレー部だったよね?クズ久君。昔のしか知らないけど、コールとか」

クズ久「おお、そんな感じで、色々おすすめ教えて、ジャンルは沢山」


橋蔵「そうか?うーん、沢山ってほど知らないけど」

クズ久「立ち話も何だからカフェでも行こうぜ」

橋蔵「えーっと俺の実家カフェやってるけど、来る?」


クズ久が何か目を輝かせだした。それこそ漫画的にキランって感じで。

クズ久「じゃあお邪魔しようか」

橋蔵「駅前の843ビル1Fの843カフェって店」

クズ久「えっ、843ビルって、843 グループ!?お前金持ちのボンボン?」

橋蔵「いや、843グループはチェーンだから直接は関係無いから」


クズ久「俺達今日からマブダチな!」

橋蔵「いやいや、現金過ぎでしょ?」

クズ久「まあ友達は友達だぞ?」

クズ久「まあそれなら、よろしくお願いします」


こうしてクズ久と友達になってしまった。クズ久の頭上の丸は2→3になった。これはやはり好感度だろう。

家兼カフェに帰り、クズ久を招く。クズ久はカフェに行こうって、言った割にきょどっている。

まあ、うちは高めな店だし、仕方ないか。


クズ久は店の店長…僕の父から、色々聞かれている。クズ久の見た目が金髪ロングのピアスだから、当然だと思う。

父「へぇ、クズ久君は、バレー部に入ったんだ?部活始まったら髪とピアスはどうするの?」

クズ久「いや、これは中学の卒業式用で、今日までなかなか風邪治らなくて、今日にでも黒髪に戻します。部活はピアスも禁止なので外します」


父「ところで、うちの橋蔵は昔イジメられてたらしいんだけど?クズ久君は何か関係ある?」

クズ久「何ですって!どこのどいつですか!今からシメに行きますから!」

父「いや、関係無いならそれで良いよ。これサービスのコーヒーゆっくりしていきなさい」


父はどこか嬉しそうだった。まあ僕に友達なんて久々だし、そう言えばクズ久はなんで僕みたいな正反対のインキャと仲良くしたかったのかな?

橋蔵「クズ久君はどうして、僕なんかと友達なりたかったの?」

クズ久「いやさ?最初はコイツ根暗そうだなって思ったんだが、ゲームや読書好きって言ってたの聞いてさ、他の男子でそんな自己紹介無かったし」


橋蔵「それだけ?もしかしてクズ久君って隠れオタクだったり?」

クズ久「おかしいかな?俺ヤンキーっぽいって言われるけど、ヤンキー漫画とかハマってさ、次第に漫画好きになってさ」

橋蔵「ヤンキーっぽいって、自覚無いんだね…」

クズ久「それより、イジメていた奴誰?」


嫌な予感しかしない。

橋蔵「昔の話だよ、今は高校も別だし、アイツ頭は良かったから上野高校行ったから、会う事も無さそうだし」

クズ久「上野高校だな、ダチ公が何人か行っているから、そいつにヤキいれてやるからな。安心しろよ?」


僕は困ってしまった。カス明は確かにヤンキーで腕っ節もあるが、クズ久の方が明らかに背丈もあるし筋骨隆々だ。勝ち目は無いだろう。さらにクズ久は家柄が893だ。これはやばいかもしれない。


橋蔵「いや、そんなヤキなんて入れたら可哀想だよ。辞めて」

クズ久「いや、お前、人間出来てるな、まぁ今はいいか」

橋蔵「それより、今日は遅いから帰った方がいいよ」

クズ久「そだな、ご馳走様でした、また学校でな?」


次の日の事だった、クラスの男子がざわついている。何だろう?

男子「おはよう橋蔵。聞いたか?お前をイジメていた奴さ、昨日変死体になって死んだって、ほら、カス明君」

橋蔵「え?変死体?」

男子「何でも病死って事になっているらしいんだけど、聞いて驚くなよ?」


そこにクズ久が現れた。

クズ久「おはよう橋蔵。ん?俺の顔に何か付いているのか?」

橋蔵「いや、黒髪なっていたから、ビックリしただけだよ」

クズ久「そか、ところで何の騒ぎだ?」


男子「いやさ、橋蔵をイジメてた奴が変死体になって見つかって、今朝はその話題で持ちきりなんだよ?」

橋蔵「クズ久君ちょっといいか?ちょっと自販機行こう。何か奢るからさ?」

クズ久「あ、ああ、気前良いな?なした?」


校舎裏の自販機に向かった。お昼休みは人で溢れているが、今の時間は人はいない。

クズ久「何か話しあるのか?」

橋蔵「クズ久君、カス明にヤキとか入れてないよね?」

クズ久「え?いやいやいや、俺は何もしてないぞ?まさか俺何か疑われている?」


橋蔵「だって、カス明の事ヤキ入れるって言った次の日変死体だよ?おかしいって」

クズ久「俺は昨日家に居たし、お前からおすすめされたバレー漫画、電子版ダウンロードして読んでたし」

ウルシ「何か凄い話しだね、ごめんなさい盗み聞きする気は無かったの☆」


なんか、藪から棒に、本当に藪から出てきたこの子は、昨日やけに目立った女子だった。気になっていたから名前も覚えている。ウルシさんだ。

橋蔵「ちょっと、今のは聞かなかった事に出来ないかな?」

ウルシ「やだな、わたしそんな人に見える?」

クズ久「なんか分からないけど、まずい事なら黙っていてくれ」


ウルシ「変死体になった人が、クズ久君がヤキ入れる予定の人だったとか誰に言わないから、本当だよ?」

橋蔵「えーっと、この場合、次の台詞は、喉乾いたかな?」

ウルシ「すっご〜い☆エスパーみたい」

クズ久「てめえ、女の割にふてえ奴だな?」


ウルシ「こわ〜い☆友達想いだから、イジメっ子にヤキ入れるってパターン把握☆」

クズ久「なんだてめぇ!さっきから分からない話しすんな!」

橋蔵「まあまあ、ここはジュース1本で収まるから、辞めて」

クズ久「止めるのは橋蔵の方だ、この手の輩は一回奢ったら付け上がる」


ウルシ「すっご〜い☆正解!一生橋蔵君から貢いで貰うよ?」

クズ久「てめえ何様だ!コラ!いてまうぞ!」

ウルシ「んー、一生橋蔵君から貢いで貰うは嘘かもだけど、嘘じゃないかも?」

橋蔵「クズ久君もウルシさんもツノを下げて」


クズ久「このアマ黙らせるわ!」

ウルシ「こわ〜い☆助けてよ橋蔵君」

橋蔵「どっちも助ける」


僕はそういうと自販機で適当にリンゴジュースを買って、ウルシに渡す。

橋蔵「これで良い?」

ウルシ「あ、ありがとう。別にいらなかったんだけどね?」

クズ久「もしもう一度橋蔵にたかってみろ!シバくからな?」


ウルシは紙パックのリンゴジュースを美味しそうに飲んでる。すると?ウルシの頭上の丸が4→5になり?

クズ久「おい、お前って身長いくつだ?」

ウルシ「え?184センチだけど?あなたも同じくらいでしょ?ってあれ?」

橋蔵「え?ウルシさんでかくなった?あれ?」


ウルシの身長がリンゴジュースを飲んだくらいから、明らかに伸びている。さっきまでは確かにクズ久と同じくらいの184センチだったんだろうが、目測だと190センチくらいに見える。


ウルシ「すっご〜い☆やっぱり橋蔵君だったんだね?」

橋蔵「やっぱり?何の話し?」

ウルシ「ん〜運命の人〜☆」

橋蔵「は?」

クズ久「なんでぇ、そんな話しだったのか、さっきは良く分からなかったから怖い思いさせたな」


橋蔵「は?」

ウルシ「鈍いのかな?わたしから言わせる気?」

クズ久「橋蔵、お前って頭良いのか悪いのか分からんな」

橋蔵「いやいや、まあ分かんないけど、クズ久と話していた事黙っててくれる?」


ウルシ「鈍いね〜☆その話し言わないよ?」

クズ久「ウルシだったけか?墓場まで持って行けよ?どうせならさ?」

ウルシ「勿論そのつもりだよ?」

橋蔵「ごめん、話が良く見えない。けど、とりあえず黙っててくれるって事ね?」


クズ久「いやいや、ウルシの口から出る事は無い。分かりやすく言ったら、俺と橋蔵は5分の兄弟だ。つまりブラザーだ。そして、ウルシは俺から見たらシスターだ。分かったか?」

橋蔵「いや全く分からない。5分の兄弟?ブラザー?シスター?」

ウルシ「まあ、この3人で仲良くしましょうって事」


こうして謎の同盟が誕生した。


ウルシが僕の家に来たいと言ったから、帰り道寄って行って貰う事に決めた。


橋蔵「何か企んでたりする?」

ウルシ「ん〜☆どんなお家かなって?ほらわたし達ってあまり知らない事を知っている仲だし?仲良くする為だし」

橋蔵「仲良くって、別に彼氏彼女じゃあるまいし」

ウルシ「そだね、言い方古いかもね、今だと、隣って言うのかな?」

橋蔵「う〜ん、何かズレてない?ウルシさんは別に隣の家でも、隣の席でも無いし、恋人同士でもないだろう?」


歩いていたんだが、ウルシが急に立ち止まり、急に泣き出した。

橋蔵「え?どうしたの?大丈夫?」

ウルシ「う〜、酷い。わたし達もう恋人同士だよ?納得していたんじゃ無いの?」

橋蔵「え?いやいや?えーっと?いや、嫌では無いなうん。」


ウルシ「う〜、ウルシの事今エロい目で見たな!」

橋蔵「いやいやいや、素敵な人だからさ」

ウルシ「素敵な(胸の)人だからさって今言った!」

橋蔵「いや、心にも思ってないよ?」

ウルシ「魔法使いが嘘付いたら代償高いの知っている癖に?」


何故だろう、魔法使いは童貞の揶揄だと思ったが、確かに今の僕は変な能力だが、魔法だかがある。人の頭上に信号みたいな丸がある。何でだろうか?


ウルシ「わたしだけが、5つ丸がある」

橋蔵「え!?何故?どうしてそれを知ってるの?」

ウルシ「わたしには隠し事はこの世の誰にも出来ない」

橋蔵「君も魔法使いなんだね?読心系かな?」

ウルシ「そんなヤワじゃ無い。視る系だよ」


カフェ兼自宅に着いた。

店長である父が、ウルシに根掘り葉掘り聞き出している。

父「ウルシちゃんって言うんだ?もしかして橋蔵の彼女?」

ウルシ「将来を約束した仲です。お世話になります…ええっと、お義父様と呼ぶのはまだ早いですよね?」

父「え!そーなの!ウルシちゃんみたいな美人さんが、もう!大歓迎だから!これサービスのケーキと紅茶。ゆっくりしていきなさい!」


ウルシ「ありがとうございます!いただきます」

父「ウルシちゃんって背がかなり高いよね?部活はやっぱりバレーやバスケ?」

ウルシ「バレーですね、今日から部活でした」

父「その背ならレギュラーでしょ?」


ウルシ「それが、最初はかなり期待されるんですけど、運動神経ちょっと鈍いみたいで、レギュラー候補止まりです」

父「そうなんだ。趣味とか、得意な事とかは?」

ウルシ「ゲームが趣味ですね、大会とかも出るくらいは強いです。得意な事は、執筆ですかね?」


僕はなるだけ離れて2人の話を聞きながらケーキと紅茶を食べている。


父「ゲーム強いんだね、大会出るって相当じゃない」

ウルシ「そうですかね?世界大会初戦敗退ばかりで、趣味レベルです」

父「ちょっと橋蔵、こっち来なさい!」

橋蔵「え?どうかした?」


父「ウルシちゃんみたいな良い子逃したらダメだからね?」

橋蔵「う、うん。わ、分かりました」

ウルシ「大丈夫ですよ、わたしの方こそ、橋蔵君逃しませんから」


父「あら?もしかして、2人って何かドラマがありそうね?」

ウルシ「これからですよ。ずっと一緒ですから〜☆」

橋蔵「ウルシさん、ゲームの世界大会って?」

ウルシ「ガイデンってやつだよ、世界一の人のファイトネームが、橋蔵君と偶然一緒だけどね?」


父は僕の顔を覗き込み、僕も父の顔を覗き込み。ちょっと困ってしまった。

ガイデンの現世界チャンピオンは他ならぬ僕なのだ。ネット対戦だから、顔は知らない。知られてもない。


父「まあ、ゲームでもドラマチックな事もあるかもしれないわね…」

橋蔵「まあ、そうかもね…」


すると、ウルシがなんかビックリした顔したかと、思ったら、考え込んだ顔になった。


確かウルシの魔法は、視る系と言っても読心に近いものだとは、疑いの余地は無いので、誰も隠し事出来ないだろうと言うのも、ガチっぽい。


ウルシ「もしも、橋蔵君が、ガイデンの世界チャンピオンと同じ人なら、高校卒業したら即結婚かな?」

父「いやいや、大学行けるでしょ、勉強する時間大事よ?」

橋蔵「まあ、ガイデンの世界大会も、チャンピオンなんて変わるかも知れないし?」


ウルシ「いやいやいや、現世界最強の橋蔵ってプレイヤーは、神速って言われているよ。あの人に負けた時は悔しいを通り過ぎて、神っているんだ!って思ったくらい無敵のプレイヤーだよ?」

父「ヘェーゲームは分からないけど、その名前?が同じ世界一の人の事尊敬してるのねぇ」


橋蔵「もう、暗くなるから送るよ」

父「そうね」

ウルシ「あ、大丈夫ですよ、わたし高校から一人暮らしなんで、家隣なんで」


ウルシが隣のマンションに帰って行ったのを、カフェ入り口から見送り、家兼カフェに戻る。


父「ちょっと、運命的な相手ね?逃したらダメだからね?」

橋蔵「ゲームの事言わない方がいいかな?何となくバレそうだけど?」

父「ゲームね、難しいね」


何か大事な事を忘れていると思う。カス明が変死体になった事だな、事件なのか、事故?なのか?


ウルシから着信があった。そりゃ付き合う事なったから連絡先くらいね。


ウルシ「橋蔵君があの橋蔵だったなんて、わたしの事ちゃんと幸せにしてね?」

橋蔵「ゲームくらいしか取り柄の無い僕で良ければですが」

ウルシ「ゲームだけでも取り柄があっていいよ」


うーん、なんだろうか、妙な胸騒ぎがする。ウルシに聞きたい事があったんだったな。


橋蔵「ウルシさんは、魔法使いだったから俺を好きになったの?」

ウルシ「うーん、それかな。入学式の時に、頭上に変な丸が見えてるみたいだったし、わたしだけ4つってのも気になって…」

橋蔵「それで後を着けてきた?」


ウルシ「悪気は無かったんだけど、何かの事件の関係者なら、放置も出来ないし」

橋蔵「それは何故?」

ウルシ「ちょっと決まり事で、魔法使いは正義の味方なんだよ」


橋蔵「それで、話し聞いて、疑いは晴れたの?」

ウルシ「わたしの魔法は読心っちゃ読心だけど、視覚的なもの、クズ久は、言っていた通り家で漫画読んでたみたいだし」

橋蔵「それって魔法じゃなくない?サイコメトリーとか言う超能力の方じゃない?」

ウルシ「それは過去を視るやつじゃないかな?わたしはリアルタイムも出来るから」


ウルシは意外な事を言った。


ウルシ「多分だけど、変死体ってのは殺人だよ、わたし聞いた話だと、変死体は、脳腫瘍だったらしいの」

橋蔵「脳腫瘍なら普通に病死では?変死体じゃなくない?」

ウルシ「脳細胞100%が腫瘍化していたらしいの」

橋蔵「それは確かに変死体だね」


ウルシは意外な事を言った。


ウルシ「わたし的な考察を言ったら、犯人は魔法使いの誰かで、犯人に恨みがある人物」

橋蔵「それって僕?」

ウルシ「断定は出来ないけど、9割9分9厘橋蔵君だよ」


僕はこれから先試練を知る事になる。友達を疑っておいて、ほぼ100%真犯人らしい。しかし自覚も無く悪意も無く、まあ、多少恨んではいたが、軽く悩む。自分が殺人犯の疑いがあり、それでも、嫁になりたいって言うウルシの狙いが分からない。

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ウルシの美学 天獄橋蔵 @hashizho

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