第38話 待てど暮らせど
季節はすっかり春になり全住民に家が行き渡った
働いていない人間の殆どを農業と畜産に振り分け、戦える人間を冒険者や兵士として働かせる事になった
「よし、これで無事に終わったな。後はあの
あれから2週間経ったので来るとするならもう来ていてもおかしくはないが
移住してすぐ動ける冒険者や狩人に魔物狩りと見張りもお願いしているが今の所聖都を訪ねて来たのは他の村や街からの挨拶ぐらい
そういえば冒険者と狩人と何が違うのかという話になった
冒険者は魔物を狩り薬草を採取、街の困っている人の依頼など
狩人は食せる魔物や動物を狩ったり野草を採取したり
俺には明確な違いがあるように思えないが違うらしい
城を歩いているとうちの女性陣やミーナさんが騒いでいる
聖都を独立国家にするとかしないとか
する気ないけど?
チグルスの人達を受け入れたが、俺の肩書は領主ってだけで元チグルスの高官達が政治を行っているはずだ。行ってるよね?
面倒事は出来ればミーナさんにぶん投げたい
目が
アイテムボックスの肥やしであるオークをかなり放出したので当座の食料は問題ないが以前言ったように街に買い物に行きたい
しかしいつセシルが仕掛けてくるかわからないので離れる事が出来ない
うーん、とステータスを眺めていると待望の
タカムラ シンジ
男、異世界人
30歳
レベル31(UP)
職業:建築家、旅人、ドライバー、土木作業師、詐欺師、王
称号:異世界トラベラー、大量轢き逃げ犯、オープンスケベ、夜の皇帝(UP)、怒れる戦士、長橋名人、神を調略せし者、恫喝者、トンネラー、大物キラー、建国者、導く者、城作り名人、聖都の守護者、カーペンター(NEW)
スキル:アイテムボックス(全材)(UP)、言語理解、棒術レベル5(UP)、徒手空拳レベル5(2UP)、見切りレベル5(UP)、性愛術レベル5(UP)、轢き逃げアタックレベル5、魔力弾、詐術レベル2、魅了、気配察知レベル4(2UP)、悪意看破、威圧
ユニークスキル:
縦横1000m高さ800mまでの建築が可能!
加護:スキルの神の加護、聖樹ユグドラシルの加護
あれだけ家や建物を建てればねぇ……
だがこれで金属が使えるようになった!
とりあえず空いているブロックに見張り台を兼ねた634mある塔を建てよう
しかしアイテムボックス(全材)って何て読むの?ぜんざい?
うん甘い物食べたくなってきたね
ぜんざいもいいけどおしるこの方が好きです
称号にカーペンターか
日本語なら大工、なぜ職業ではなかったのかが疑問であるが建築家とか土木作業師とかぶるからだろうか?
後は……えっと?触れなきゃダメかな?
まあ色々と夜頑張ったって感じで?
あと武術関係が伸びているのはノエルさんと散々組手をやらされたからだと思う
それとだがマリーが俺の子を身籠った
移住してきた医者によると妊娠2か月らしい
マリーがふと……ふくよかになってきたのはその辺りが関係あったみたいだ
危ない睨まれる前に回避出来たぜ!
一瞬にして立ち上がったス〇イツリーを観光名所と見張り台としようと思ったが、展望台から地上が遠すぎて見張り台としての効果はあまりない事に気が付いたので片づけた
次の候補は東〇タワーだったが色味が聖都のイメージにそぐわない気がしたのでおフランスで有名な塔、エッフェルさんを建ててみた
これは雰囲気が出てなかなかいい感じである
「下側の展望台からならいい見張り台になるはずだ。高い所が苦手でない兵士に見張りを頼む。」
近くにいた兵士に頼み見張りについてもらう
しかし予想とは裏腹に2カ月経っても都の兵は現れなかった
その間俺も遊んでいた訳ではない
橋の改修工事は終わったし、ユグドラシルに作った部屋もリノベーションした
金属が使えるようになったので街の鍛冶屋に材料を卸しまくって兵や冒険者の装備の強化に充てたりもした
やってればスキルが生えてきそうだが餅は餅屋に任せるべきだ
となると俺に出来るのは建物を建てるぐらいだが、必要だと思う建物は大体建て終わったので最近はやることがない
「ということでだ、アジールに行ってくる。もう橋は作ってあるから往復2日あれば帰って来れるはずだ。」
片道1450kmだがアイテムボックス内にはすでに橋が完成している
毎時100km/hで走れば14時間半で着くはずだが金属も使えるようになったので今回は秘密兵器(武器ではない)を導入した
その間何もないと思うが罠は沢山作ったし外壁も強化したので大丈夫なはずだ
青々とした葉を揺らすじゃがいもや育ってきた他の野菜を眺めながら出発する
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一方その頃セシル率いる都の兵士達は旧チグルスに仕掛けられた罠に
1カ月前、手と顎の治療を終え聖都を攻め落とす為5000の兵を引き連れたセシルはガルドの制止を聞きもせず出撃した
余裕を持って行軍したので移動に10日程掛かったが兵に疲れはない
チグルスの外壁が見えて来たので偵察を送ると1時間程で戻って来た兵の様子がおかしい
「何があった!事細かく報告せよ!」
「はっ!チグルスなのですが外壁が新しくなり更に大きくなっております。それと……。」
「なんだ?ちゃんと報告しろと言っている!」
「はっ!この様な看板が立てられておりました……。」
目の前に差し出された看板に書かれた文字を見たセシルの目が険しさを増していく
「『マザコン野郎、攻め落とせるもんならチグルスを攻略してみな。ここが落とせないなら聖都を落とす事なんて出来やしないぜ』だとぉ!?あの男手足をもぎ取って門に晒してやる!」
「しかし将軍、罠であると思われます。チグルスを後回しにして先に聖都とやらを…。」
「いや、先にチグルスを落としておけば拠点にして余裕を持って行軍出来る。内部に偵察兵を入れろ!」
腐っても鯛であるのか以外にも落ち着きを取り戻したセシルは当初の予定通り先にチグルスを攻略に取り掛かった
しかしこの時セシルは気が付いていなかった
もう2度とチグルスから出る事が出来なくなるとは
シンジは都からの兵が橋の跡を辿って真っ直ぐに来るだろうと思った
実際その通りに行軍してきたのだがこれほど簡単に引っかかるとはさすがにシンジも思ってはいなかった
まずシンジが仕掛けたのはチグルスを大きく覆う様に1km離れた場所に円になるような幅200m深さ300mの巨大な堀を作った
ベニヤと軽くかけた土と草で目隠しをした巨大な落とし穴だ
土や草はアイテムボックスに入れるだけだったので大した労力はかかっていない
ただそのままだと兵が通っただけで落ちてしまうのでベニヤにも仕掛けがしてある
『人が通った後半日で割れて落ちる』
という様にアイテムボックス内で創造されたベニヤが敷き詰めてあった
この『半日』というのがミソで偵察を掛けて安全そうならすぐに行動を起こすだろうとセシルの性格を予想しての作りであった
だが落とし穴に落ちても土を掘って出てくる可能性があるのでその対策としてシンジはダイヤモンドのU字溝を作って埋めてある
継ぎ目一つない超巨大なダイヤモンドだ
他の村や街の人が落ちないように旧チグルスには近づかないように知らせに行ってもらっていた
そのおかげか誰一人チグルスを訪れなかったので罠は発動していなかったのがセシルにとっての不幸であったのだが
セシルの行動は早く追加の報告を受けた後すぐさま全軍を率いチグルスの門前まで移動した
更なる罠が待ち受けているとも知らずに……
トンネル抜けたら異世界チート~建築基準法は適用されないようです~ 【休載中】 そーび @soubi-k
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