神様、頑張る。
「なんかさ、最近世界の空気が美味しいと思わない?」
秋葉原の駅前で
さりぃのその一言に少女たちは笑った。
「もう、さりぃってば。空気なんて美味しいわけないでしょ」
「そうそう。大自然の中っていうんならわかるけど、東京の空気なんて美味しくないでしょー」
少女たちの言葉にさりぃは首をかしげる。
「そうかなぁ。美味しくなったと思うんだけど」
「ふふ。いつから美味しくなったの?」
さりぃに桃色のワンピースを着た少女が尋ねた。
「うん、なんかね。一か月くらい前から世界の空気が徐々に美味しくなってきた気がして、そのおかげで心なしか家の近所の野良猫さんも元気になってる気がするし、ウチのお爺ちゃんも最近痛かった節々があんまり痛まない気がするって話してたの」
「変なのー」
「あらでも一か月前くらいから日本の景気が上向いてきてるっていう噂もあるのよ?もしかしたら神様が何かしら頑張ってくれていて、それをさりぃだけ読み解けるのかも?」
「そんなことあるわけないじゃない」
少女たちはコロコロと笑う。桃色のワンピースの少女はさりぃを見た。
「そうかしら?さりぃってちょっとさ、そういうの見えそうじゃない?猫とか犬がじっと部屋の隅見つめるみたいに、私たちには見えなくてもさりぃにだけは見えるものがある気がするわ」
桃色ワンピースの少女の言葉に周囲の少女達も
「あーそれなんかわかるかも」
「確かに言えてるー!」
と笑った。
「私にだけ見えるかもしれない神様、か。」
さりぃは一人立ち止まった。
少女達が駅に向かうのをぼんやりと送って、さりぃは空を見上げる。
どこまでも青く抜ける空にぽっかりと白く大きな雲が浮かんでいた。
ハレルヤ!!! ~神様はドルヲタになりました~ 山下若菜 @sonnawakana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます