KAC2022に参加しました・各話感想

 カクヨムのイベント、カクヨム・アニバーサリー・チャレンジシップに参加しました。

 数日ごとに出るお題、全十一種類に沿って4000字以下の短編を書いて公開するというものです。

 ごく軽い気持ちで参加してし、思ったよりも大変で途中挫折しかけましたが何とかお題全話をクリアしました。

 結果的にはすごく良かったです。発想の練習になったのと、新しく素敵な文章を書かれる作家の方を沢山発見できたため、良いイベントに参加できてよかったなと思いました。

 折角なので、各お話を書いた経緯、思い出したことなどを忘れないうちに書いておきます。


 ■1回目お題「二刀流」

 両利き手の包丁

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861226332899

 初っ端から「わからん……無理だ……」と思って絶望したのですが何とか、捻り出して書きました。

 私は基本的に文章力に自信がないので、とりあえずなるべく他の人と被らないお題解釈にしていこうという方針がここで決まった気がします。


 以前、工場で働いていたのでその時を思い出して書いています。

 同期が全員高卒の方で私だけ院卒だったんですけど、院卒より高卒の人の方が人として尊いし仕事できるなって思いました。自分が如何に恵まれているのかを知れた良い経験でした。高卒の方は就職したてだと未成年のため飲み屋に行けませんので、びっくりドンキーに集いがちでした。

 その時の同期の男性が遊戯王カードの遊び方を熱心に教えてくれて、私は全部忘れちゃったけど(ごめんね)、彼がくれた遊戯王カードのデッキ一山をまだ持っています。

 その時住んでた家賃3万代のアパートが、右隣の部屋…おっさん一人暮らし、AV視聴音が聞こえてくる、左隣の部屋…外国籍の方が6畳に3人位住んでる、いつもズンドコする音楽が聞こえてくる、で、その体験も貴重でした。


 ■2回目お題「推し活」

 推しのいない夏

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861322931645

 推し活が自分と無縁すぎて「これも無理だ……」と思って絶望しました。そのため、推し活未経験の二人が出てくる話になりました。

 主人公のすみれが「推しがいない」ことに劣等感を抱いているのですが、私はほんとそんな感じで。推しがいたことが無いんですよね。

(詳しくはこのエッセイの一つ前の話でも書いています

 https://kakuyomu.jp/works/1177354055208826201/episodes/16816927861411625518

 推しがいる人ってそれだけで輝いていて、羨ましいです。

 見事にすれ違う二人。耀くんは結局、夏の間にすみれに話ができたのでしょうか……?

 あまりそこまで考えずに書いてしまいましたが、この話は続きを読みたいとコメントに書いてくださる方が沢山いらっしゃって、大変嬉しかったです。何か機会があれば書いてみたいです。


 ■三回目お題「第六感」

 勘のすぐれた生き物

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861466370230

 毎回、「無理だ……」と思い、このお題もそうでした。ミステリーっぽい話が望まれてるのかなあと思いつつ、その方向では大して面白い話が書けない自信があったので悩みました。

 そういえば動物って第六感あるって言うよな、と思って何とか捻り出しました。実家に猫がおりましたので猫で。

 友達の家の柴犬がぽんたという名前で大変可愛かったのでお借りしました。

 縷々の名前は、メリーチョコレートの「ルルメリー」というブランドのパッケージが大変可愛くて。そのブランド名の由来が「縷々とした」という言葉から来ているというのを見て何だか好きだったので使わせていただきました。実際には人名には使えない漢字のようです。


 ■四回目お題「お笑い/コメディ」

 解散したお笑いコンビのツッコミから、あるファンへの手紙

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861522440327

現時点でKACの中で最もPVが多い作品です。

 コメディっぽい話にチャレンジしてみようかなとも思ったのですが、先に公開されている方々の作品を幾つか読ませて頂いてすごく面白いお話が沢山ありまして。

 私が同じことをやっても「無理だ……」と瞬時に悟ったため、笑わせる方向の話は止めました。人を笑わせる文章を書ける方を尊敬します。

 最初はファンの方から解散したお笑いコンビの片割れへのファンレターで書いていたのですが、ただのストーカーの手紙になって別に何も面白くなかったので、逆目線で書き直したら何とかまとめることができました。KACが無かったら絶対書けなかった気がするので、かなり気に入っているお話です。


 ■五回目お題「88歳」

 あと71年も生きるのは、正直だるい

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861584548073

 すごい不評のお題だった感じですね。私はお題が難解な方が他の人と被らない話には出来そうだったので個人的にはそんなに嫌ではなかったのですが、だからと言って、88歳というお題が良かったとはとても言えない気がします。途中でKACを脱落する人を増やしたいと言う意図で設定したのかな、なんて思いました。


 88歳に関係するものを調べたら、丁度日本女性の平均寿命だと分かったので使いました。先日祖父が亡くなって実家に帰った時に親と、「どんどん寿命伸びてるけど、うちらが死ぬ時って一体後何歳まで生きないといけないんだろうね……そんなに長生きしたくないよね……」という会話を元にしました。

 三人の女の子がキャッキャしている図は暗殺者の結婚の登場人物とすごく似てます。女の子がキャッキャしているのを書くのが好きなのだなと思いました。この三人は気に入っているのでどこかでまた使えたらいいなと思います。


 ■六回目お題「焼き鳥が出てくる物語」

 焼鳥を半額で食う方法

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861639916036

 これもなるべくお話が被らないように、最初は缶詰の焼き鳥の話を考えていたのですがうまくまとまらず、スーパーのお惣菜の焼き鳥の話にしました。ネタ的にお金がない人の話になりそうだったので、四回目お題で書いた芸人の方に再登場して頂いたらうまく纏まりました。


 冒頭で三島が雨を風呂代わりにしておりますが、大学の先輩でそうしている人(ちなみに女性)がいたと言う伝説が研究室に残っていて、実際にどうやっていたかまでは詳しく知らなかったので妄想して書いてみました。

 大学生で本当にお金なかった時、よく友達とみんなで惣菜売り場の入り口で値下げ待ちしてました。お金が無かった割には楽しい思い出です。


 ■七回目お題「出会いと別れ」

 iBook G4の思い出

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861694151328

 この話だけエッセイです。そして、私が書いた全KACの中で最も星を頂いているお話になりました。とても嬉しいです。ありがとうございます。

 出会いと別れと聞いて、人との話が多そうだから人以外で何かあるかなと考えたら結構すぐ思いついて書くことができました。


 このパソコンのせいで私は見事なApple贔屓になってしまいました。今、私はApple WatchをしてAirPodsを使いながらiPadでこれを書いています。傍にはiPhoneもあります。

 この機会がなければ書かなかったと思うので、本当に書けて良かったです。


 ■八回目お題「私だけのヒーロー」

 轍を越えて往く者

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861784924238

 このお題は、「ヒーロー/ヒロイン」でも良かったのではないか?と思いました。ヒーローだと一応、男性縛りになってしまうので。

 KAC中で唯一の異世界ファンタジーです。犬耳の奴隷少女トトリが頑張ります。

 元々イケメンコンテスト用に少しだけ書いて頓挫したお話があって、それが当てはまりそうだったのでリサイクルしました……

 頓挫した理由は、トトリが主軸の話になりすぎて周囲のイケメンが霞み、書いている途中でコンテストに合ってないなと思ってしまったためです。

 トトリを連れ出す男は二人組のイケメン予定で、トトリはもっと激しい性格だったのですが4000字に収める様にちょっと変えました。

 設定はすごく好きなので、もし次に長編の異世界ファンタジーを書くならこれをちゃんと書きたいなと思っています。後タイトルが結構気に入っています。


 ■九回目お題「猫の手を借りた結果」

 遊具があると必ず登ってしまう女の話

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861843309638

「猫の話もう書いちゃったな……しかも丁度猫の手を借りてるっぽいやつ……」と思いつつ、多分猫を出さない方が被りにくいだろうなと思ってその方向にしました。

「猫の手を借りる」の意味を調べたら、「誰でも構わないから手伝って欲しいという意味なので使いようによっては失礼にあたる」というような記述を見て、へーと思ったのでそれを取り入れて、以前書いた短編(「ベンチがあると必ず裏側を見てしまう女の話」

https://kakuyomu.jp/works/16816700429206997065)と同じ会社の人たちの話を書きました。


 前に主人公だった留衣は彼女の内面を描ければかなり良い子ですが、周りから見たら真面目すぎて硬くて冗談通じない、扱いにくい若手タイプな気がしていました。上司の哲は彼女のことをよく理解して上手くあしらっているのですが、それに気付けない人から見たら留衣は誤解されて損しやすいタイプに感じました。

 なのでそれを同期の視点で書いたら面白いかも?と思って書いてみたら結果上手く纏まりました。

 ちひろの仕事が私が普段やってる仕事に近くて、機会があればこれももう少し長編で書きたいなと思っています。


 ■十回目お題「真夜中」

 真夜中は誰にも等しく

 https://kakuyomu.jp/works/16816927861897193118

 現時点で全てのKACの中で最もPVが少ないお話です。

 すごく好きな感じのお題だったのでちゃんと考えたかったのですがプライベートに問題が勃発して余裕が無く、それがちょっと心残りでした。真夜中繋がりで続けて書けそうだったので、三回目お題の「勘のすぐれた生き物」と同じ登場人物に出てきてもらいました。

 真夜中って普通に寝ていれば何でも無いですが、起きていた場合は結構気合入れて乗り越える気概が必要でした。私はそんな夜が結構あって、その話にしたかったのです。しかし、ぽんたがちょっと説教くさいですね。


 ■十一回目お題「日記」

 母の日記

 https://kakuyomu.jp/works/16816927862030587005

 日記というお題、すごく面白そうなのに体調が悪くて本当に何も思いつかずすごく辛かったです。折角最後まで来たけど、もう本当に無理かも……と思いつつ何とか捻り出し、何とか、皆勤賞は達成出来ました。良かった。

 日記といえば、人の日記というのは読んでいけないのにどうしても読みたくなる最たるものだなと思って、そこから何か書けないかと思って考えてみました。

 恐らく私の精神状態が現れたせいで、バッドエンドではありませんが毒親育ちの独身娘が主人公のやや暗いテーマになっています。

 超ギリギリで出したのと、内容の暗さのせいなのか他のKAC作品に比べて敬遠されているっぽい感じがするのですが、全てのKACの中で私は個人的には一番自分ぽい話になった気がしていて、気に入っています。


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 参加して良かったです。ありがとうございました。

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