エピローグ
口から思いっきり息を吸い、鼻から吐いて深呼吸と同時に元の姿へかえる。
そうしてぽぉんと煙のように現れたエミリーに焦点のあわない瞳ながら、ぱちくりして見つめている少女に、死にたいなら死なせてあげましょうと私はゆっくりと宝くじの当選を祝うみたいな口調で言った。
こくりと息をのむ少女にではこれをご覧下さいと鏡に映像をうつしこむ。
それは少女の元親友は優等生グループについていくのに、不眠症になるほど、猛勉強や裕福な家庭の彼女らにあわせた持ち物を持つために、貯金を使い潰し、親子仲も険悪になりつつあること。
しかも、もし少女が亡くなったら、今度はこの子がまわりから責めていじめられること。
また、少女の好みではないが、小学校の頃、かばっていた黒人とのハーフの男の子がまだ少女のことを好きなこと。
そして、彼女の葬式で、気丈な母が、一人では歩けなくてずっと支えられていたこと。
そんな知らない情報ばかりに、少女の目から大粒の涙がこぼれた。
その涙を部屋の蛍光灯が、反射させ、空色の虹を作成し、太陽を経由して、天使界へ還す。
そう、エミリーの仕事は自己犠牲の種子になる涙を集めること。
あと、残された寿命について、砂時計を逆さにするようにおき、少女のなすべきことを伝える。
昔、天界で、閻魔大王と語った前世の成績表と面談できめたその人が向き合う試練を…。
そして、魂レベルが一緒の人こそ出会いやすく、解決すれば、悩みが別のことに変わり、違う次元にいけること。
それは、その昔、人間関係に悩んで、自殺したエミリーの課題。
ゴスロリ服はそんな彼女を彼女たらしめる武器。
とりあえず、今日みたいな雲一つない快晴の空はエミリーみたいな子が人の記憶を奪いながら働いている。
死神が堕ちてくる快晴の空 紗里菜 @sarina03
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