ジャンルとは「ストーリー・タイプ」のことである その①

 ジャンル篇3回目となる今回は、ブレイク・スナイダーが『SAVE THE CATの法則』で提唱した「10のジャンル」について解説します。


 ブレイク・スナイダーといえば、物語構成テンプレートである「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(=BS2)」があまりにも有名ですが、彼のもうひとつの功績は「10のジャンル」を確立したことです。


※BS2については下記を参照

【最強の物語構成テンプレート「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)とは何か?」】

https://kakuyomu.jp/works/1177354055193794270/episodes/16816452220204266392


 ブレイク・スナイダーは『SAVE THE CATの法則』の執筆後、『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術』で一冊丸ごと使ってジャンルについて徹底的に掘り下げました。今回は、この2冊を参照しながらジャンルについて理解を深めていきたいと思います。



 まずは、引用から。


 何かを生みだすということは──映画のアイデア、登場人物の話し方、シーンなど何であれ──新鮮なひねりを加えるということだ。しかし、平凡でないもの、伝統を超えて一歩前進したものを作るには、まずはそれまでの歴史や伝統をよく知る必要がある。これまでに製作された何百本という映画、特に自分の書きたい脚本と同じジャンルの映画については徹底的に知っておくべきだ。

 ところが驚いたことに(!)、映画で身を立てようとしている人間が、映画の引用ができない。自分が書きたいジャンルの映画でさえも引用できないのだ。


 いいかい、言っておくけど、名監督はみんな引用できるんだ。


 スピルバーグ監督やスコセッシ監督がいい例だろう。彼らは映画について語るとき、何百本という作品からさまざまな引用をする。引用と言っても、「セリフがそっくりそのまま言える」ってことじゃない。「その映画がどう機能しているか、その仕組みを説明できる」ってことだ。映画というのは、感情を引き起こすために作られた複雑な機械みたいなもので、精巧なスイス時計のように、いくつもの歯車がかみ合ってチクタク動いている。これを部品に分解し、しかも組み立て直せるようにならなきゃいけない。それには好きな映画の知識だけじゃ足りない。ここ数年間に作られた映画をすべて知っているだけでも足りない。もっともっと歴史をさかのぼって、いろいろな映画の種類を知り、どんな系統にはどんな作品があり、どう発展してきたのかを理解しなければいけないのだ。

 つまり、〈ジャンル〉である。


 さあ、成功する脚本を書くための次のステップだ。自分の映画はどんなジャンルに属すのか考えてみよう。「そんなの無理! 俺の映画は斬新だから、同じような映画なんてあるわけない! どのジャンルにも入らないさ!」なんて反論したって……。

 悪いけど、もう遅い。 


 これほど数ある映画のなかで、どれともちがう映画のアイデアなんてまずありえない。本当だ。君が書こうとしている脚本は、必ずどこかのジャンルに入る。そして各ジャンルにはそれぞれ特有のルールってものがある。平凡でなく、《同じものだけど……ちがった奴》を作るには、自分の映画のジャンルを熟知し、ひねりの加え方を学ばなきゃいけない。それができれば、売れる可能性は高くなる。ハリウッドでは実際誰もがそれをやっているのだ。だったら知らない手はないだろう?

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』


 自分ならまったく新しいジャンルを開拓できるはず、あるいは誰も思いつかない独創的で画期的なアイデアを自分はもっている、と思いたい気持ちは理解できます。しかし、ここは一度ブレイク・スナイダーの言葉に耳を傾けてみましょう。彼によれば、みなさんの書く物語は、これから紹介する「10のジャンル」のどれかに必ず該当します。本当でしょうか?


 前々回紹介したロバート・マッキーのジャンル区分は、「ホラー」や「ファンタジー」「ラブストーリー」など、かなりオーソドックスな分類になっていたため、理解しやすかったはずです。カクヨムのジャンルも、マッキーと同様に非常になじみのある分類になっています。

 ブレイク・スナイダーの提唱する「10のジャンル」の画期的な点は上記のようなジャンル区分を採用しなかったところにあります。


 私はジン・ラミー[二人用のカードゲーム]みたいに、ジャンルを10種類に絞った。そこに毎年公開される映画を分類して例を増やしている。実は今までに作られた映画すべて、この10種類のジャンルに分類できると思っているのだ。もちろん君たちが独自のジャンルを作って足してくれてもいい。たぶんその必要はないと思うけどね。そしてもう一つ注意。ここではいわゆるありきたりのジャンル分けはしていない。たとえば、ロマンティック・コメディー、叙事詩、伝記物といった分け方ではない。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』

 私は10のジャンルにキャッチーな名前をつけた。覚えやすいし、映画の分類に関する読者の思い込みを解体したかったからだ。「家のなかのモンスター」、「金の羊毛」、「魔法のランプ」、「難題に直面した凡人」、「人生の岐路」、「相棒愛」、「なぜやったのか」、「おバカさんの勝利」、「組織のなかで」、「スーパーヒーロー」のほうが、私にとってはどんなストーリーを語ろうとしているのか、ずっとずっとわかりやすい。だから私が「どんなものを書いてるの?」と尋ねたときには、もう「西部劇なんだ」とか「警官ドラマだよ」なんて答える必要はない。10

――『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 SAVE THE CATの法則を使いたおす!』


 つまり、ブレイク・スナイダーは、ジャンルをストーリーの「タイプ(型)」であるととらえているのです。すなわち同じ型をもつ物語は同じジャンルだということになります。そして、この型は全部で10種類しかないというのだから驚きです。


『ジョーズ』(アドベンチャー/スリラー)

『エクソシスト』(ホラー)

『エイリアン』(SF)


 上の映画は一般的にはそれぞれ括弧内のジャンルの作品として認識されていますが、ブレイク・スナイダーによると、実はこれらの映画のいずれもが「家のなかのモンスター」というストーリー・タイプをもつ点で同じジャンルの映画といえるのです。


『ジョーズ』、『エクソシスト』、『エイリアン』の共通項は何か? これらはすべて、《家のなかのモンスター》という(私が命名した)ジャンルに属すということだ。その歴史は古く、おそらく人類が初めて語ったのは、このジャンルのストーリーだっただろう。このジャンルには、二つの構成要素がある。一つはモンスター、もう一つは家だ。さらにモンスターを殺したがっている人間を加えると、どこの国でも誰にでも通じる話、言い換えれば〈原始人にだってわかる〉ストーリーになる。もちろん、だからといって誰にでもわかるバカな話という意味じゃない。誰にでも理解できる原始的で根本的な話ということだ。このジャンルの根底にあるのは、「危ない!……奴に食われるな!」という、誰にでもわかる単純で原始的なルールなのである。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』


 以前紹介した漫画『約束のネバーランド』の原作者、白井カイウさんと担当編集の杉田さんとのやりとりにも次のように書かれています。


白井:1話は、杉田さんに進めていただいた映画の脚本術の本を読んで、構成・企画が一番面白い見え方を探して、形にしました。


杉田:『ジャンプ』のとある大ヒット作家さんも読んでいると名高い『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』。『ジャンプ』編集部員もみんな読んで勉強しているという、とてもいい本ですね。


白井:すごくわかりやすい本でした。この本で、『約ネバ』の企画は『ダイ・ハード』(映画)と同じ型なんだとわかって。


杉田:描いている物語の型をちゃんと意識するのは大事ですしね。

――『シークレットバイブル 約束のネバーランド0 MYSTIC CODE』(集英社)より


 さて、ジャンルをストーリー・タイプと認識することで新しい世界が開けてきたのではないでしょうか。

 それでは肝心のブレイク・スナイダーの「10のジャンル」について解説していきたいと思います。


【10のジャンル】

・家のなかのモンスター

・金の羊毛

・魔法のランプ

・難題に直面した平凡な奴

・人生の節目

・バディとの友情

・なぜやったのか?

・バカの勝利

・組織のなかで

・スーパーヒーロー


 順に紹介していきましょう。



《家のなかのモンスター》

 基本ルールは、いたって単純だ。まず〈家〉は逃げ場のない空間であること。たとえば海岸沿いの町、宇宙船のなか、恐竜の走り回る未来のディズニーランド、家庭など。そこで犯罪が起き──たいていの原因は人間のどん欲さ(金銭欲や物欲など)にある──その結果モンスターが生まれる。モンスターは罪を犯した奴に復讐しようとし、罪に気づいた人間は多めに見る。それ以外の人間は〈とにかく走って逃げ、隠れる〉のである。このモンスターにどんな新鮮味やひねりを加えて〈あっ!〉と言わせられるか……。これこそ、映画という大樹に新たな花を咲かせたいと願う野心的な脚本家の腕の見せ所である。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』

■「家のなかのモンスター」ジャンルに必要な3つの要素


①モンスター:超自然的なパワー――たとえその力の源泉が狂気であっても――を持ち、その本質は「悪」。モンスターが小物であるほど、作品もつまらなくなる。

・モンスターのパターン

・純粋モンスター(映画『エイリアン』ほか)

・家庭内モンスター(映画『危険な情事』ほか)

・連続殺人鬼(映画『サイコ』ほか)

・超々自然的モンスター(映画『ザ・リング』ほか

・ニヒリスト・モンスター(映画『ソウ』ほか)


②家:閉ざされた空間を意味し、家族という単位でも、町全体でも、あるいは「世界」でもよい。その空間が窮屈であればあるほど――我らが主人公が孤立していればいるほど――いい作品になる。


③罪:誰かが家にモンスターを連れてきた罪を負っている……その罪科には無知も含まれ得る。モンスターに狙われる人(主人公または主人公たち)は、まったく何の罪もない潔白な人ではあり得ず、誰かが、そのモンスターの存在に責任を負っている。モンスターの領域を侵犯してしまった、あるいはモンスターを目覚めさせてしまったという罪。そして大抵の場合、それは主人公、主人公の相棒、場合によっては全人類が犯してしまった罪である。



《金の羊毛》

 何かを求めて旅に出るストーリーは、原始人が焚き火を囲んでいた頃から、最も人気のあるストーリーの一つだし、これからもそうだろう。もし君が〈ロードムービー〉的なものを書きたいと思っているのなら、この《金の羊毛》というジャンルのルールを知っておいたほうがいい。《金の羊毛》という言葉はギリシャ神話に由来する。英雄イアソンとアルゴ船隊員がコルキスからやっとの思いで盗みだした金の羊毛のことだ。つまり、主人公は何かを求めて〈旅に出る〉のだが、最終的に発見するのは別のもの=自分自身というストーリーである。(中略)

 どんなに斬新なひねりを加えるにしても、《金の羊毛》に絶対に欠かせないのは、主人公が旅の途中で人々と出会い、いろいろな経験をするということだ。こういった出会いや経験は一見関連がなさそうに見えても、実は一貫性がある。それは主人公を成長させる要素だということだ。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』

 いわゆる「旅モノ」のストーリー・タイプです。どこかの地理的な目標や宝物、褒美などの物理的なもが大事なのではなく、冒険そのものがキモとなります。そして旅モノで何より重要なのは、旅の途中で見つける何か(旅の途中で発見する自分)です。優れた旅モノ小説は自分を発見する旅であるべきです。


■「金の羊毛」ジャンルに必要な3つの要素


①道:海、時間、あるいは通りを渡るだけ、などでも可。それが成長の境界線となっていればいい。たいていは旅を停止させる「道端のリンゴ」が転がっている。


②チーム:主人公の道案内として必要な「チーム」、あるいは相棒。通常、そのメンバーは主人公に欠けているもの、スキル、経験、姿勢、などを備えている。


③報償:主人公たちが旅立つに値するもの(そして読者が納得する価値のあるもの)でなければならないが、最終的にそれが何であるかは、あまり問題ではない(途中の旅そのもののほうが大事)。ただし、報償は帰郷、財宝の獲得、生得権の再獲得など、原始的なものであることが重要。



《魔法のランプ》

 この手のストーリーがよく作られるのは、そういう願望が誰の心のなかにもあるからだ。おそらくアダムとイブの頃から人間はみな「~があったらいいのに」をつぶやいている。それに夢や願いが叶うことは気分がいいし、原始人でもわかるくらい単純で理解しやすいので、次々に作られ、しかもヒットするのである。(中略)

《魔法のランプ》というと、ご主人様の願いを叶えるためランプから出てくる魔人を思い浮かべるが、別に魔法である必要はない。(中略)

 神様のおかげであろうと、単なる運のよさであろうと、魔法使いのおかげであろうと、願いが叶うという点では同じだということだ。主人公が素敵な人物で、夢が叶う価値のある人物だったら、願いは叶い、人生も変わっていくのである。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』


「魔法のランプ」に登場する魔法は、次のような普遍的な真実を教えてくれます。その真実というのは、「私もあなたも(魔法なんかなくても)今のままで大丈夫」ということです。一度魔法を授かったヒーローは、結局魔法はいらなかったということを学ぶ羽目になります。


■「魔法のランプ」ジャンルに必要な3つの要素


①主人公が求める、あるいは誰かから頼まれる「願い」と、普通の状態から脱しなくてはならないことの必要性が明白であること。魔法の助けを借りて当然な主人公であること。なぜこの主人公に魔法の助けが必要なのかを読者がすぐに理解でき、さらに応援したくなるようにしなければならない。


②魔法:魔法がどのように作用するかという設定に、あまり時間をかけてはいけない。大事なのは、魔法が「どのように」働くかではなくて、「どうして」主人公に魔法がかけられたのかという理由。物語の肝は、魔法そのものではなくて、主人公がその魔法から何を引き出すのか。


③教訓:魔法が主人公をどう変えたか? このジャンルの物語は、主人公が最終的に1つの重要な事実に気づいて終わらなければならない。それは、人生の問題をなんとかするのに必要なのは、実は魔法ではなかったということ。必要なのは、問題を抱えた本人が問題を解決するということ。魔法は問題を形にして見せてくれただけ。それが〈魔法のランプ〉の本質。



《難題に直面した平凡な奴》

 このジャンルの定義はこうだ。〈どこにでもいそうな奴が、とんでもない状況に巻き込まれる〉。つまり、自分に起こりうると観客が思うストーリーの一つなのだ。観客はたいてい自分が普通の人間だと思っている。だから同じように普通の人間である主人公がそんな状況に追い込まれると、ついつい同情してしまう。〈何でもない平凡なある日〉が、いきなり〈とんでもない一日〉になってしまうのだ。たとえば、妻の勤める会社がポニーテール頭のテロリストにビルごと乗っ取られる(『ダイ・ハード』)とか、ナチスが来ていきなりユダヤ人の従業員を連れていく(『シンドラーのリスト』)とか、未来からロボット(訛りまである!)がやってきて、お前と息子を殺しに来たと言う(『ターミネーター』)とか、自分の乗っている客船が氷山にぶつかって沈み始めるが、救命ボートの数が足りない(『タイタニック』)などなど……。

 なんという難題だ。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』


 極めて普通な人が、全然普通じゃない状況に巻きこまれるというジャンルです。このジャンル以上に「これは私の話!」と読者に思ってもらえるものはありません。〈スーパーヒーロー〉の物語とは違い、このジャンルに出てくる「凡人」は世界を救う宿命を背負わされていたりしません(少なくとも物語の冒頭では)。どこにでもいるような人物が、ありきたりの日常を送り、いつもと同じことをしているところに、何も悪いことはしていないのに、突如、始末に負えないような大問題が、頼んでもないのに降りかかってくるのです。カクヨムでもよく見られるタイプの物語ではないでしょうか。


■「難題に直面した平凡な奴」ジャンルに必要な3つの要素


①「無垢な主人公」が望まないやっかいな事態に引きずり込まれる――あるいは、どうやってかかわり合いになったのか、本人が気づいていさえする。主人公は、男でも女でも、人種が何でも、仕事が何でも、平凡であることだけが条件。主人公に罪がないというのが、読者の気を引く大事なポイント。


②我々の無垢人を苦難の世界へと押しやる「突然の出来事」が明確で――そして、警告もなく訪れる。 


③「生か死か」を賭けた戦い――そして、そこには個人、家族、グループ、あるいは社会の存続がかかっている。主人公を襲う問題は大きければ大きいほど良い。



《人生の節目》

 なんとも不器用だった思春期の頃。あんなに大好きだった女の子は、実は自分の存在にすら気づいていなかった……。または、40才の誕生日にいきなり離婚してほしいと切りだされた……。こういったつらい思い出には誰もが共感する。なぜなら人間誰だって、人生の節目に何かしらつらい経験をしているものだから。しかもそういう時期は精神的に敏感だから、印象もことさら強烈なのだ。これこそまさに人間らしいストーリーであり、観客の心を揺り動かし、ときには大笑いさせるストーリーなのだ(『テン』のダドリー・ムーアなんか、最高に笑える中年の危機だろう?)。そしてシリアスなドラマであれコメディーであれ、《人生の節目》のストーリーは基本的に同じルールに従っている。

 ルールって? それは変化を描くこと。たしかにそうだが、そもそも映画というのは変化を描くものだから、それじゃ答えとしては的を射ないね。じゃ、何なのか? それは、《人生の節目》のストーリーで主人公が直面するつらく苦しい経験は、人生という名の力によることが多いということだ。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』

 誰もがみんな絶対に通る道。死別、思春期、別離、中年の危機、青春。これらは、読者の心を深く揺さぶる物語を構成する大事な部品です。このジャンルの物語は、時を、文化を、人種を、性別を、そして年齢を超える普遍性を持ちます。なぜなら、人生は普遍的だから。何でも思いどおりになるわけではなく、ときには不親切で、不公平で、こちらのプライドも尊厳もお構いなしというのが、人生です。つまり「人生の節目」ジャンルは、ほとんどの場合、痛みについての物語。そして、苦しみ、失望、痛い思いをして得た教訓の物語になります


■「人生の節目」ジャンルに必要な3つの要素


①人生の問題:生きているだけで直面せざるを得ない問題や挑戦(思春期、青春、中年の危機、別離、死別、その他)。人として生きる以上、必ず現れる曲がり角。誰でも成長する以上は、その途中でいろいろ大変なことがある。


②間違った方法:やっかいな問題を解決しようとする。たいていは苦しみから目をそらすため。間違った方法という材料は2つの意味をもつ。変化を拒む主人公を見せるということ、見せることで物語に目的を与えるということ。人生に訪れた難題を、最初から悟ったように真摯に受け入れる主人公には魅力はない。


③解決策は主人公がずっと抵抗してきた過酷な真実の「受容」にかかっており、変わらなくてはいけないのは周囲の世界ではなく自分だと、主人公が知ることである。人生は変えられないのだから、自分が変らなければ、という悟り。



 今回は「10のジャンル」のうち、5つを紹介しました。残りの5つは次回とさせていただきます。


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