第9話 魔王ついに死す‼︎


 俺の経済努力によって、この国は今までに無い繁栄を続けている。

 街には商品が溢れ活気に満ち溢れているし、農村も数多くの作物に囲まれて農民が忙しそうに働いている。


 国の兵士達は統率が取れ、キビキビ動くし、週に何度かの土木作業で引き締まった体つきは素晴らしい。


 国内の魔物や獣は定期的に狩られているし、兵士達が道を整備したので、移動も楽だ。

 お陰で、色んな物資を積んだ馬車に乗る商人達が彼方此方と行き交っている。



 この国での犯罪は徹底的に取り締まるし、道徳教育に力を入れているので、この国に住めば将来的にも安心である。

 その為か、今も他国からの移住希望者が後を絶たない状況だ。

 その移住者の為に、建設業も活気付いているし、新たな農地の開拓も行われているので、この国は益々栄えるだろう。

 その繁栄の証拠として、既に俺の毎日の食事は昔より遥かに贅沢なものとなっているのだ。



 今では、移住者ばかりでなく、他国からの観光者も多い。

 景勝地や温泉に俺が普及させた名物料理を求めて、国内のみならず他国の金持ちが次々とやって来るのだ。





「いよいよ、ハーレムに手をつけるかな」


 そう考えて、内心ニヤッとするが、既に国王にはバレていた。


「おおっ、遂にハーレムですか?それでっ?どんな感じがお望みでしょう」


 揉み手しながら俺に擦り寄ってくる国王が気持ち悪い。


「先ずは、人払いしてある部屋を一つ確保してくれ。出来れば部屋の中の音が聞こえない離れの建物が良いな。ベッドは大きめな物で頼む。部屋の中には体を洗う為の水場も必要だな。それから・・・」


 俺は今まで我慢してきたありったけを国王にぶちまけた。

 長い間妄想して来た分、数多くの欲望がこれでもかと言うくらいに次々と口から溢れ出てくる。

 自分の性癖を口にしてみると恥ずかしい物だが、俺は、その判断が出来ないほど我慢できないところまで来てしまっていた。





 そう、俺の名付けたヨコシマとは、邪の事だった。

 煩悩にまみれた俺が、この国を欲望のままに牛耳ろうとつけた名前だ。

 だが、この時ヨコシマは知らなかった。

 この世界が、男ばかりの世界である事を・・・・・。

 日々、俺の身の回りの世話をしてくれる女性たちは女装した仮の姿である事を・・・・。

 それは男色ではないヨコシマにとって地獄よりも地獄だったのである。

 そして待ちに待ったハーレム部屋が完成し、その真実を知った俺は、静かに嘆いた。


「・・・・・・終わった」


 と。






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俺の欲望を叶える為には、魔王と呼ばれても仕方がない 小碓命 @mikoto-silent

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