おしゃべりの時間(旧)

雨世界

1 ずっと前から思ってたんだ。本当はね。

 おしゃべりの時間


 登場人物


 黒木冬 十八歳 長い黒髪の女子高校生


 深田玲 十八歳 短い黒髪の女子高校生

 

 プロローグ


 ねえ、私とお話ししようよ。


 小さな鳥たちは歌う。

 ……私たちの知らない場所で。

 ……きっとこの世界のどこかにある鳥たちだけの楽園で。


 本編


 ずっと前から思ってたんだ。本当はね。


 黒木冬が早朝の誰もいないと思っていた教室に入るとそこには一人の生徒がいた。まだ一度も話をしたことがない、顔だけは一応知っている同じ教室に通っている生徒。

 名前は確か……、深田、玲さん、……だったかな?


 冬がじっと玲のことを見ていると、窓の外をずっと見ていた玲が冬のことに気がついて、その冷たい視線を冬に向けて動かした。


「こんにちは」と冬は玲に言った。

 でも玲は、こんにちは、とは冬に言ってはくれなかった。


 そのことで冬はまだ一度も話したことのない玲のことが少しだけ嫌いになった。冬は無言のまま自分の席まで移動して、静かに自分の椅子に座った。そこは窓際にある玲の席の少し離れた場所にある斜め前の席だった。

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おしゃべりの時間(旧) 雨世界 @amesekai

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