スーパーパワーマン
渋谷かな
第1話 地月球
(この世界を救って! 超能力戦士! スーパーパワーマン! 私は女神カグヤ・・・・・・。)
夢の中で女の声で誰かが呼びかける。
「ふあ~! 変な夢だな。イタッ! 首が!?」
少女は首を寝違えた。
朝がやって来る。
「おはよう。」
私の名前は地月球。16才の高校1年生。
「おはよう。タマ。」
球はズッコケる。
「おはよう。タマタマ。」
「タマお姉ちゃん。おはよう。」
球はお父さん、お母さん、妹の4人暮らしである。
「タマタマタマタマタマタマ!? 人の名前を猫を呼ぶみたいに気安く呼ぶな!」
「しょうがないじゃない。あなたの名前なんだから。タマちゃん。」
「ワッハッハー!」
家族の談笑の中で球は名前問題を諦めた。
高校に登校する球。
「クソッ!? いつか改名してやる!」
かに見えたが、名前は一生の問題なのでキラキラネームをつけた両親を呪った。
「まあまあ、めげない。めげない。」
その時、小さな空飛ぶぬいぐるみが声をかけてくる。
「めげるわよ。あんた自分の名前がタマで楽しく生きていけると思う? 人生の半分以上は名前をバカにされて生きていくようなものよ。」
球は隣を見ると、小さなぬいぐるみがいた。
「って・・・・・・変なぬいぐるみが喋った!?」
「変なぬいぐるみ!? 私はぬいぐるみじゃないわよ。」
「しかも浮いている!? ギャアアアアアアー!? お化けー!? 助けてー!? お母さんー!?」
球は驚いて走って逃げていった。
「全く失礼ね。こんなカワイイお化けがいる訳ないじゃない。プン。」
空飛ぶぬいぐるみは怒った。
学校に着いた球。
「変な話でしょ?」
球は友達の火月灯に変なぬいぐるみの話をする。
「そうね。でも、あなたの名前には負けるわ。タマちゃん。」
「タマって呼ぶな!」
球と灯は仲良しであった。
「危ない!」
その時、球を目掛けてボールが飛んでくる。
「ギャアアアアアアー!?」
球はボールが自分に当たり、球の共倒れとバカにされると直感的に感じた。
ピキーン!
しかしボールの勢いがなくなりゆっくりと手で掴めるぐらい緩やかなスピードになる。
「危ないだろうが!」
球はボールを投げ返す。
「ナイスキャッチ! タマちゃん!」
「私ぐらいになれば余裕よね! アハッ!」
得意げに笑う球。
(あれ? 急にボールが止まって見えたのは気のせいかしら?)
内心、違和感を覚えていた球。
学校も終わり自宅に帰宅する球。
「首は寝違えるわ、浮いてるぬいぐるみや、ボールが止まって見えたり、今日は変な一日だったな。」
球は今日の出来事を振り返りながら。
「危ない!」
歩いている球の頭上から建設中の鉄柱が降り注ぐ。
「え? 今日二回目なんだけど。」
独り言をつぶやくと地面に大量の鉄柱がぶつかった。衝撃で砂煙が舞い上がる。
「大丈夫か!?」
工事現場の人や歩行者が心配そうに駆け寄る。
「こりゃあ、下敷きになった女子高生はミンチだな。」
事故現場は悲惨な状況だった。
事故現場から少し離れた路地。
(おかしい!? なぜ私はここにいる!? 確かに私の頭に鉄筋が落ちてきたはずなのに!?)
そこには無傷の球の姿があった。
「まあ、いいや。帰って、おやつを食べよう。」
球は幼いころからタマタマとバカにされてきたので、細かいことは気にしない性格になっていた。
ピキーン!
しかし、球は何かに気づいた。
(二度あることは三度あるという!? もしや!? あと一回、災難がやって来るかもしれない!?)
球は警戒しながら道を歩く。
ピキーン!
その時、球の脳裏に自動車が居眠り運転で歩道に突っ込んでくるシーンが見える。
「何!? これは今から起こることなの!?」
警戒心が強くなっている球は歩道から離れて電信柱の影に隠れて辺りを見回す。
キキキキキー!
その時、赤信号を無視して自動車が猛スピードで突進してくる。
「フウッ。危機を乗り切ったわ! アハッ!」
球は本日三度目の危機を乗り切った。
ピキーン!
しかし、球が危機を回避したことによって、球の後ろにいた小さな女の子が自動車に引かれてしまう未来が見えた。
「そんな!? これは私の性なの!? 何とかして女の子を助けないと!?」
球は小さな女の子を心から助けたいと思った。
「スーパーパワーマンになるのよ! タマちゃん!」
その時、浮いてるぬいぐるみが現れた。
「タマちゃんって呼ぶな!」
条件反射で体が勝手に反応してしまう球。
「ゲッ!? 空飛ぶ呪いのぬいぐるみお化け!?」
「そうです。私が空飛ぶ呪いのぬいぐるみお化けです。・・・・・・なんでやねん!」
空飛ぶぬいぐるみはノリが良かった。
「私の名前はエルエル。女神様に遣わされた天使よ。」
「女神様?」
「あなた、夢の中でカグヤ様の声を聞いたでしょ?」
「ああ!? あれは女神様だったのか! おかげで首を寝違えたよ。」
球は首を痛めたことを根に持っていた。
「そんなことはどうでもいいから。あの女の子を助けたいんでしょ?」
「助けたい!」
今も小さな女の子が自動車に引かれようとしている。
「タマちゃん、スーパーパワーって叫ぶのよ!」
「だからタマちゃんと呼ばないで!」
「面倒臭い子ね!? 早くスーパーパワーと叫びなさいよ!」
「キャア!? 怖い!?」
遂に呪いのぬいぐる・・・・・・天使エルエルがキレた。
「スーパーパワー!」
球のスーパーパワーが発動する。
「キャアアアアアアー!?」
女の子が目の前に車が突進してきて悲鳴を上げる。
ピキーン!
次の瞬間、車が軌道を少しズラして女の子の横を通過していく。
ドカーン!
車は女の子の後ろで壁にぶつかって止まった。
「ふう~、良かった。」
安堵する球。
「喜んでいる場合じゃないわよ。タマちゃん。」
「だからタマちゃんと呼ばないで!」
「あなたは超能力戦士スーパーパワーマンになって世界を救うのよ!」
無視して話を進める天使。
「私が世界を救う?」
キョトンとする球。
「そうよ。あなたは女神様に選ばれた超能力戦士なのよ。地球を支配しようとする邪神リサを倒すのよ!」
「ええー!? なんで私が!?」
地球の運命はタマちゃんにかかっていた。
つづく。
スーパーパワーマン 渋谷かな @yahoogle
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