MMORPG ヘバ

渋谷かな

第1話 ヘバ1

「やったー! 新しいMMORPGゲームだ!」

 16才の少年、蒼は新しいオンラインゲームをすることにした。

「ヘバるぜ!」

 そのゲームの名前は、ヘバッテル。

「ID、パスワード入力完了っと! さあ! ログインだ!」

 蒼はゲームを開始する。


「職業は・・・・・・剣士!」

 MMORPGは、各エリアごとで大規模サバイバル戦を行い代表を決め、全世界を支配していくゲームである。

「よし! どこかに秘密基地を作るぞ!」

 そしてMMORPGゲームの一番恐ろしい所は、別に戦いに参加しなくても良いということである。


「俺はゲームの中だけでも静かに幸せを感じながら暮らすんだ。」

 蒼は現実世界に疲れていた。アカウント名はAOI。ランダムで渋谷エリアに配備された。

「今日から、ここが俺の縄張りだ! ワッハッハー!」

 そして渋谷区の森がありそうな所を本拠地にした。


「帰らずの森?」

 渋谷区エリアで話題のスポットがあった。

「一度入ったら最後。帰ってきた者はいないという。」

「怖い!? きっと強い化け物がいるのよ!?」

「明治神宮には魔物がいる。」

 渋谷区のプレイヤーたち間で噂になっていた。

「面白い。渋谷の代表の座は明治神宮の魔物を倒した者のものだろうな。」

 渋谷区代表は帰らずの森をクリアした者だと言われるようになった。


「ああ~! 気持ちいい!」

 蒼は森の木陰で静かに暮らしていた。

「青い空! 植物の香り! 木陰の揺らめき。美味しい湧き水! 静かな境内! 俺はなんて幸せなんだ!」

 蒼は自然の中で人間として生きる喜びを現実では味わえないのでゲームの中で感じていた。

 カラーン! カラーン!

 何者かが蒼の森に侵入した察知用の縄に触れた音がした。

「なぜだ!? どうしてこんな何にもない所に敵がやって来るんだ!?」

 ささやかな蒼の幸せは脅かされている。


「ここが噂の帰らずの森か!?」

「赤い門が不気味だわ!?」

 他のプレイヤーたちには明治神宮は魔物の巣窟の完全なダンジョンに見える。

「ウワアアアアア!?」

 赤い鳥居を潜り進んで行くと、いきなり一人の剣士が落とし穴に落ちた。

「ギャアアアアアアー!?」

 森のどこかからか弓矢の雨が飛んできた。

「なんじゃこれは!? トラップばかりじゃないか!?」

 5人のパーティーがやって来たが、一瞬で2人がやられた。

「に、逃げろ!? こんな人数じゃ先に進むどころか全滅だ!?」

 生き残った3人は逃げることを選択した。

「ガプッ!」

 しかし巨大な人食いパンダが現れ一人は頭から食べられた。

「ぱ、パンダ!?」

「なんでこんな所にパンダがいるんだよ!?」

 生き残っている冒険者たちは恐怖ショーを見たかのように顔面蒼白である。

「なんだ!? 出れないぞ!?」

 赤い鳥居は入ることができても結界が張られており、出ることは不可能だった。

「ギャアアアアアアー!?」

 そして冒険者たちは全滅した。


「平和っていいな。」

 蒼はMMORPGゲームの生活を満喫していた。

 つづく。

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MMORPG ヘバ 渋谷かな @yahoogle

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