裏切り、何やってんの、そしてざまぁ
そして何より面白いのは、最終ジャッジだろう。
移動ではなく手元のプレートを動かし、その意思を示す。
席こそセカンドチョイスの時のまんまだが、ここに来るまでにそこから「おいしい応援団」「ファイナルプレゼンテーション」と言うふたコーナーを経過している。
意思が一気に揺らいでもまったくおかしくない時間は経っているし、ましてやご存知の通りの飢餓状態だ。
裏切りが起こるに十分な条件は整っている。どんなどんでん返しが起こってもおかしくないと言う緊迫感を視聴者に持たせる。
その上での裏切りがもたらす様々な結末。
6-1からの3-4、しかも残っていた1はかつての多数側へ。
5-2からの4-3、1人だけ裏切ってしまった自爆。
4-3からの3-4、1人だけ裏切っての勝利。
どのシチュエーションをもってしても、面白い喜劇であり悲劇でもある。
言うまでもなくその後は歓声とため息と罵声があふれ返る。
生の感情をむき出しにした人間の欲望が、空腹と言う状況にあってより鮮明に出される。
勝負を決定した裏切り者に対する糾弾。負けてなおセカンドチョイスのメニューにしがみついた人間に対する同情。わざわざ負け側に走ってしまった人間への失笑。そしてあくまでも自分のメニューを守り続けて勝った人間に対する賛辞。
もちろんメニューその物に対する言葉や、食べられないそれを惜しむ悲しみの言葉もある。
その上で出される無骨な黒枠と白文字の『撤収』。
何もかもをぶった切るあまりにも残酷な二文字により、話は一つの結末を迎える。
最後には、勝ちMCと勝者たちによるディナーが始まる。ハッピーエンドだ。
そして負けMCと少数派は、それを見る事しかできない。バッドエンドだ。
あらためて、実に分かりやすい。
勝者の喜びと敗者の嘆きが、同じ空間に詰め込まれている。
勝者の気持ちになってさぞうまそうだなとか共感してみるのもいい。敗者の気持ちになってあっちの方がいいのにとか負け惜しみを並べてみるのもいい。
実に多角的な楽しみ方ができると言えよう。
最後に、単純なグルメ番組としても良かった。だからこそ9年間も続いたのだ。
さて、あなたの選択は、DOCHI?
どっちの料理ショーにおける文学論 @wizard-T
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