202012ジャパロボ 9

渋谷かな

第1話 ジャパロボ9

「私は日本を取り戻します!」

 愛は宣誓していた。

「鈴佐愛! あなたを日本国政府直属のジャパロボ部隊の隊長に任命します! 内閣総理大臣小菅シカオ。」

 ここに警察でも自衛隊でもない日本政府直属のジャパロボ部隊が設立された。

(例え、内閣の支持率をUPさせるためだけの客寄せパンダでもいい。私には絶対に叶えたい夢がある!)

 今や国民栄誉賞をもらい、国民から絶大な人気がある愛。更に皇居攻防戦では最後までジャパカイダのジャパロボと戦った愛の映像が生放送されており、愛は国民の英雄になっていた。

(菜々子ちゃん! 私が本当に取り戻したいものは、菜々子ちゃんだよ!)

 愛が日本政府の要請を受け入れたのは、友達の菜々子をテロリストから取り戻すためだった。


「どうだ? 菜々子の様子は?」

 菜々子は脳波洗脳マシーンの中で眠っている。

「これは大池東京都知事。来るなら来るとおっしゃって下さればお出向えに行ったのに。」

 東京都ジャパロボ・パイロット研究所の舛添田博士である。

「菜々子は我々の持つ強化人間の中で1番優秀なパイロットだ。ローラやトラウデンよりも優主なのだからな。」

「はい。心得ております。」

 そして、この陰の研究所の最高責任者は現役の東京都知事の大池であった。

「皇居戦の際に菜々子の脳波が乱れたとあるが何があった?」

「はい。どうやら何者かが菜々子の心の奥に封じ込めている記憶に触れたみたいです。」

「そんなことが可能なのか?」

「正確には分かりません。ローラたちは最初から難民の孤児を洗脳して育成してきているので過去の記憶は持っていませんが、菜々子は18歳までの思い出を持っていますからね。」

 人間の記憶の改ざん、脳波の強化を行うのが東京都のパイロット研究所である。

「私が日本国を、いや、世界を支配するまで菜々子には戦ってもらわなければならないからな。」

 大池東京都知事の野望は世界征服であった。

「実はおもしろい研究を行っています。」

「なんだ?」

「菜々子の遺伝子で新しい生命を作っています。」

「ほう。」

 遺伝子培養カプセルの小さな命には、ラブリと名前が付けられていた。


「鈴佐隊長! 部隊員着任しました!」

「ご苦労様です。」

 日本政府も自身のジャパロボ部隊を設立し軌道に乗り始めていた。ジャパロボの倉庫で着任の挨拶を行っている。

「隊長、質問があります。」

「なんですか? 高田隊員。」

「こいつの名前は何て言うんですか?」

 新人隊員がジャパロボの名前を聞く。

「アーモンド・愛っていうの。」

「隊長は、チョコが好きなんですね。」

「アハハハハッ!」

 新人隊員たちは女子高生の隊長をバカにして馬鹿笑いする。

「バカ者!」

 他人を笑う新人隊員たちを一括する愛。

「なっ!?」

 驚き沈黙する新人隊員たち。

「アーモンド・愛は、私のテロリストに連れ去られた大切なお友達が馬が好きだったからだ。」

 愛はいつでも大切な友達の菜々子のことを思っていた。

 つづく。

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