このすばSS この素晴らしい新年に祝福をっ!
「みんな、明けましておめでとう!さぁ、お正月を楽しみましょう!」
屋敷の暖炉の前でくつろいでいたカズマたちの前に、いつもとは違った装いをしたアクアが、テンション高めで現れた。
「あけまし?おしょう?アクア、いったい何を言っているのですか?」
「それに、その服装はなんだ?かなり変わっているが・・」
めぐみんとダクネスが、困惑ぎみにアクアへと問いかける。
「あぁ~、俺のいた世界での話だよ。おいアクア、説明してやれ」
あきれ顔のカズマにうながされ、アクアは『正月』『元旦』『新年の挨拶』などを丁寧に、そしてかなりのどや顔でダクネスとめぐみんに説明した。
「なるほど、わかりました。では、まずは何からするのですか?」
「まずは、着替えからよ!二人にも振袖を着てもらうわ!」
「振袖とは、今アクアが着ている服装のことだな?見たところ、なかなかの締め付けが・・・これは楽しめそうだっ!」
アクアの着ている振袖に興奮(帯の締め付けに)しているダクネス、とめぐみんを連れ、アクアは部屋へと向かった。
カズマは1人、コタツに入ってミカンの皮をむいていた。
しばらくすると、なにやら声が・・。
「あぁ、これはなかなか・・・。アクア、もっとだ!もっときつく締めてくれっ!」
「アクア、全部脱ぐんですかっ?し、下には何もっ?これは、なんと言うか・・恥ずかしいです・・」
ダクネスは歓喜し、めぐみんはなにやら恥ずかしがっている様子だった。
カズマは、1人寂しくコタツに入り、ミカンを頬張る。
「む、胸が苦しいな・・。だが、そこがいいっ!アクア、手加減はいらないぞっ?そう、もっとだ!もっと!」
「下に何も付けていないと、すーすーしますね?なんだか落ち着きません・・・」
ダクネスは興奮し、めぐみんは羞恥の声を・・・。
カズマは、コタツに入って、1人寂しくミカンを口にし、『聴力に』全集中・・・。
「おぉっ!これはなかなかに良いものだなっ!艶やかな色に美しい刺繍が素晴らしい!ずっと締め付けられている感じが、わたし的には最高だっ!」
「確かに綺麗ですね!以外と動きやすいですし!我、振袖なる装束を着こなす者なりっ!」
「めぐみん、とっても似合っているわよ?着物はね、胸があると着崩れしやすいし、帯に胸がのってると見映えが悪くなるの。だから、凹凸がない方がいいのよ。うん、めぐみんは振袖を完璧に着こなせているわ!」
「おいアクア、その話を詳しく聞こうじゃないかっ!」
「わ、わたしは似合っていないのか?確かに、この帯?とやらに胸が・・・」
ダクネス、めぐみん、アクアの三人のきゃっきゃうふふの女子トークはしばらく続き・・・・。
それを聞きながら、カズマは1人・・・ミカンを食べる。
「ご馳走さまでした」
カズマは、満足した顔をし、呟いた。
「まずは、書き初めから始めるわよ!」
「おいアクア、筆もわざわざ作ったのか?」
「カズマさん、わたしをなめないでちょうだい!この日のために、前々から準備をしていたの!ぬかりはないわ!」
今日のアクアはどや顔が止まらず、偉そうに胸を張っていた。
「この紙に、文字を書けば良いのですね?」
「新年の抱負?とやらを書けば良いのだな?それなら、わたしはすでに決まっている!」
ダクネスは筆を走らせた。
ダクネスの書いた文字は。
『肉壁』
「みんな、クエストに行かないか?この振袖の締め付けと、下に何も付けていない解放感・・・。あぁ、わたしは今、とても幸せだ・・・」
「うん、お前はそればっかりだな」
両手で自身を抱きしめ、恍惚の表情を浮かべるダクネスに、カズマは無表情で突っ込んだ。
「わたしはこれです!見るがいいっ!」
めぐみんの書いた文字は。
『ばくれつ』
「うん、だと思ったよ」
カズマは、平坦な声で突っ込んだ。
「わたしはこれよっ!」
アクアの書いた文字は。
『しゅわしゅわ』
『“霜降り赤ガニ』
『クリムゾンビア』
『アクシズ教最高』
「うん、欲望がだだ漏れだな」
カズマは呆れ、あざ笑った。
「それなら、カズマはなにを書くのですか?」
「そうだ、見せてみろ!」
「どうせカズマさんには何もないわよ、ぷぅぅ~くすくす」
「バカにすんなっ!見せてやるよ、俺の抱負をっ!」
カズマの書いた文字は。
『安定』
「つまらないですね」
「つまらないな」
「さすがはカスマさんね」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉ!」
三人にジト目で見られ、カズマは半紙を投げ捨てた。
書き初めを終えたカズマたちは、屋敷の外に出て正月を満喫していた。
「この凧上げなる物は素晴らしいですね!魔力を使わずに、空気の力だけで浮いているなんて!さぁ、もっと舞い上がるがいいっ!」
めぐみんは凧上げを楽しみ。
「くっ、ずるいぞカズマ!わたしはこの羽根つき、とやらは始めてなのだ、ちょっとは手加減しろっ!」
「はい、負けたから顔に墨な。さて、なにを書こうか・・」
「カズマ、激しめで頼むっ!!!!」
「うん、お前はブレないなっ」
ダクネスとカズマは羽根つきを楽しみ。
「はいっ!よっ!ほっ!新年の花鳥風月ぅぅぅ♪」
アクアは細い紐の上で駒を回したり、和傘で升を回したり、どや顔で宴会芸を披露していた。
そんな楽しそうなカズマたちを、外からじぃぃぃぃっと見つめる視線が。
そう、『ゆんゆん』である。
いつも遠くから見つめるしかできないゆんゆんだが、今日のゆんゆんにはある『秘策』があった。
それは、バニルから手渡された『バニルみくじ』だった。
いつものように『ボッチ』で街をうろついていたゆんゆんに降ってわいたチャンスである。
バニルには『見通す力』があるのだ。
ゆんゆんはバニルみくじを手にし、バニルにはその対価としてかなりの額の『エリス』を得た。そう、ゆんゆんはいい『カモ』であった。
ゆんゆんは、深呼吸を繰り返し。
「大丈夫、自然な感じで行けばいいのよっ、頑張れわたしっ!」
ゆんゆんは、気合いをいれ。
「あ、あのっ、こ、これをみんなで、やりますさせんか?」
ゆんゆんは、思いっきり噛み。
「ふははははは、我・大空を支配する者なりっ!」
めぐみんは凧上げに夢中。
「カズマ、もっとたっぷりで頼む!もっとわたしを汚してくれて構わないぞ!」
ダクネスは羽根つき(罰ゲーム)に夢中。
「はい、いつもより多目に回っておりまぁぁぁす♪花鳥風月ぅぅぅぅ♪」
アクアは宴会芸に夢中。
ゆんゆんは、誰からも気づかれてはもらえなかった・・。
「うぅっ、ぐすっ・・」
「あれ、ゆんゆんじゃないか?どうしたんだ、そんなところに1人で」
「ゆんゆんが1人なのは、いつものことですよ」
勇気を振り絞って頑張ったのにみんなから無視されて地面に泣き崩れていたゆんゆんに気づき、カズマは声をかけた。
めぐみんはゆんゆんの存在に『最初から』気づいていたのだが、いつものように無視をしていたのだ。
「こ、これ・・バニルさんから、もらったから、みんなで、エグッ、グスッ」
「カズマ、これではゆんゆんがあまりにも不憫だ。ちょっとは構ってやろう」
ダクネスは哀れみ、さっきまでの正月ムードはお通夜みたいに様変わりしていた。
「バニルみくじ?あのクソ悪魔の物なんてクソよクソ!カズマさん、そんなもん捨てちゃいましょう!」
「アクア、空気を読めっ!ゆんゆんが可愛そうだ!あと、クソとか言うなっ!」
ダクネスが、アクアをさとす。
「ゆんゆんには興味がないですが、バニルみくじなるものには興味があります。みんなでやりましょう!」
「そうだな、みんなでやろう!ゆんゆんも、一緒にな?!な?!」
「ダクネスざん、ありがどございまず」
ダクネスの優しさに、ゆんゆんの顔面は涙と鼻水でぐちょぐちょになっていた。
「では、まずわたしから。この筒を振れば良いのですね?そいやっ!」
気合いをいれ、めぐみんは『バニルみくじ』をふった。
出たのは。
『爆ぜ吉』
「なになに・・爆裂魔法しか使えないダメダメアークウィザードは、今年もお荷物になるだろう。背負う者の腰に注意・・。なんですかこれはっ!」
めぐみんは、でたおみくじを地面に叩きつけた。
「背負う者の腰って、まさか俺のことじゃないだろうな・・・」
不安げに、カズマは『バニルみくじ』をふった。
出たのは。
『しょい凶』
「お荷物を背負い、腰を悪くするだろう。嫌々ながらも、背中で薄い胸を感じ、抱えた両手で太ももの柔らかさを堪能するのはほどほどに・・・ってふざけんなっ!」
カズマは、なぜか最後まで律儀に読みきり、でたおみくじを地面に叩きつけた。
「カズマ、お前は最低だな。女の敵だ。だが、悪くないぞ!次はわたしだな」
ダクネスはなぜか嬉しそうに笑みを浮かべ、『バニルみくじ』をふった。
出たのは。
『騎士吉』。
「肉壁になることが最上の喜びのクルセイダーよ、今年も貴様の剣は1度も当たらず、ただの囮となるだろう、だと?!悪くないっ!」
ダクネスは、ひいたおみくじをそっと胸元にしまいこんだ。
「次はわたしね?あのクソ悪魔の物だと思うと嫌だけど、楽しそうだからやるわ!それぇぇぇ!」
嫌とは言いながらも、かなり楽しそうにアクアは『バニルみくじ』をふった。
出たのは。
『白紙』
「なによこれぇぇ!なにも書かれて無いじゃない!わたし、文句言ってくるわっ!」
「アクア、落ち着け!白紙とか、わたし的には焦らされているようで、なかなかにポイントが高いぞっ?!」
「新年の挨拶をしに、ウィズの店に行って見ますか」
アクアは怒り、ダクネスは興奮し、めぐみんとカズマは呆れながらも付いていく。
「あ、あの・・・次はわたし・・・」
ゆんゆんだけが、1人残され・・・。
注:このファンの話を広げたものです。二次創作なのであしからず。あと、私はゆんゆんのことが大好きですからねwww
このすばSS 二次創作詰め合わせ(´ω`) こば天 @kamonohashikamo
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