第60話 帰還
「王都に帰ってきたぞー!!」
アレックスは、両手を伸ばして天高く伸び〜っとした。
見上げた空には春雲がたなびき、鼻腔には甘やかな花の香りが通り、耳にはチチチっと可愛い小鳥の鳴き声が聞こえる。そして全身を包む空気は、ポカポカして暖かい。
胸いっぱいに平和な日常が感じられ、アレックスはフッと微笑をもらした。
この度アレックスたちは、アンデットの脅威が無くなったのでチェラス任務が解かれ、帰ってきたのだ。
目の前には、懐かしの第3騎士団の建物。
やっと日常が帰ってきた気がする。
もう、びっくり変異種や悪魔に警戒することもない。
ネフィの腕が無くなった出来事も遥か昔のことのようだ。
最後に任務完了の報告をしたら、俺には長期休暇が待っている!!
不休で働かされていた分の休日と褒美休暇が合わさるんだ。
充実したまったりライフを過ごすんだー!! と、ぐっと小さく胸の前で拳をかかげ、心中で歓喜の雄叫びを上げた。
ちなみに魔王のところから転移で送還されてから王都の騎士団に帰ってくるまでだが--うん、色々あった。
まず、二人とジェ・スーが強制的に魔界に引っ張られその場から消えたと同時に、威圧が解けた騎士と魔術師たちが、何をしてたかと言うと、円陣を組んで警戒しながら、洞穴内で二人が戻ってくるのをただひたすらに待っていた。
(ちなみに予想通り、エバンズ団長が灯りを展開し視界を確保していた。)
しかし流石に、消えた理由もわからなければ、二人が生きて帰ってくるのかもわからない状況で、延々と待つことはできない。
食料事情などを鑑みても、そろそろ二人を見捨て帰還しなくてはならないギリギリ...。
二人が消えてから既に一夜は経っており、もうすぐ時間にして1日ほど経過しそうになっていた。
そんな時にアレックスたちが帰ってきたのだ。
いきなりその場に現れたアレックスたちに、驚いた面々だったが、すぐに安堵の表情になった。
生存が確認できたこともホッとした一因であったが、ぶっちゃけると魔力が豊富な二人が帰ってきたことが、一番有り難かったのだ。
二人を諦め帰還するにも魔術師たちの魔力が足りなかった。
鬱蒼とした木々の天井を開け、次いで地面を持ち上げて帰還路を構築する必要があったが、それは魔力が足りなすぎて現実問題不可能であった。
2日間全力で浄化していたため、疲労により魔力回復薬を飲んでもなかなか回復できなかったのもある。
そのうえ、浄化漏らしの異形がたまに現れるため緊張状態が続き、しっかりと休息を取ることができなかったので、体力も魔力もなかなか回復できず、帰還する余裕がなかったのだ。それに、元々アレックスの膨大な魔力ありきの作戦だった。
だから、二人が帰ってこなければ、あわや全滅もありえた状況だった。
そんな時に、アレックスたちがパッと現れたので、喜びもひとしおだった。
「お〜か〜え〜りぃぃぃ〜、アレーックス!!」
くしゃっと顔を歪め、笑みを浮かべたロウェルが手を広げて駆け寄ってきた。
目には、涙が光っている。
感動の再会だ。しかし....、
うん...。涙どころか鼻水も出てるな。
しょっぱい液体をキラキラと撒き散らしながら近づいてくる...
その状態で、こっちに来るなっ!!
がしっ。
アレックスは右手を前に突き出し、ロウェルの顔を掴んだ。すんでのところで抱擁を止めた。
「汚ねぇっ!!来るな!
うをっ!!手に鼻水がついた!
まじ汚ねぇなっ!はーなーれーろー。」
美女でもないし、性別も異性でもない男の抱擁。
嬉しくないな、有り難みも無いな。
まぁ、100歩譲って、仲間としての感動の再会ゆえの熱い抱擁ならやぶさかでもないが、........これは無いっ!
汚いっ!その面で!俺に抱きつくなっ!!
ぐぐぐぐっと押し返すが、ガチガチの騎士であるロウェルの方が力が強い。当然、押し切られる.......。結果は、南無三。
『ぎゃーーー!!』
アレックスの肩に、ロウェルの顔がグリグリと押し付けられた。
染みる!染みてるぅっ!俺の、服に、ロウェル汁がっ、染みてくるぅぅぅ!!
アレックスの悲鳴が、洞窟中に響き渡った...。
そんな騒がしい再会ではあったが、無事に、誰一人としてかけることなく帰還することができた。
その後、チェラス要塞の中で、魔王城での出来事を簡潔に報告。
悪魔が天界の元神様であることや、人間を恨んで殺戮しようとしていたが放置方向にシフトしたこと、魔王のこと、魂の色という概念があることなど多岐にわたって報告した。
当然、前世やアンドロイドのことは、省いて説明した。
困ったことといえば、エバンズ団長が、そこでも『なぜなにでもでもだって』を駆使し、話を進めることがなかなか出来なくて長い時間拘束されたことだろうか。
げんなりうんざりしたのは、懐かしい。
ネフィは、その時も通常運転で『おじいちゃん、忘れちゃったの?さっきも言ったよ?聞こえなかった?耳遠いの?それとも、健忘症?』とかいって、エバンズ団長を怒らせ、アレックスが慌ててフォローするのもセットだった。
その報告会の途中、聖女マリーナのわがままの声も天幕の外から聞こえてきたのだが...
天幕の外でお風呂に入りたいだの、宿に泊まりたいだの、今すぐ帰りたいだのと、傍若無人に言い募り、エド様がオロオロ半泣きで宥めていた声も聞こえていた。
その時の第一騎士団大隊長エリオット・テイラーは、いつも通りあきらめテイラーっぷりを発揮し、ヌーンとチベスナ顔になっていた。雑音をシャットアウトして我関せずを貫く。それでいいのか責任者...。
ただただ、エド様が不憫で可哀想だった件である。
アレックスは顔が平凡のおかげで第3騎士団に配属されたことにしみじみ感謝した。
そして、今。第3騎士団団長室にアレックスはいた。
第10大隊長であるネフィだけでいいところだが、何故かアレックスもいた。
最初は、ネフィだけが報告に入っていたのだが、しばらくすると呼ばれたのだ。
チェラスでの浄化作業の報告は、淡々と終わったらしいのだが、アンデッドの原因に悪魔が関わっていたと話し出したところで、アレックスも追加で呼ばれたのだ。
ハミルトンの理解が追いつかない話になったため、補足が必要と判断されたのだ。
ネフィは、簡潔にしか話さない。めんどくさいのだ。
「悪魔....。神話の悪魔と同じと解釈しても?」
眉間をグリグリ抑えたハミルトンが、二人に再度確認する。
「そうですね。大体は。」
存在自体は、神話の悪魔と一緒だ。
天界の神と悪魔の争いの理由などは神話と違うが、そんなものは人間には関係ない。
この世界には、天界の神と人間、地下の魔界に悪魔がいるのは事実だ。
「それで?どうなんでしょうか?
悪魔は、今後も災いをこちら側にふっかけてくる可能性は?」
この世に悪魔という存在が明らかになり、今回のアンデッド大量発生が悪魔の仕業であれば、これからの悪魔の動向を把握することは当然の流れである。
悪魔の力は未知なものであるし、魔力が桁違いだ。
悪魔にとって、人間なんぞ赤子の手をひねるようなものだろう。(アレックスを除いた人間に限るが。)
危険度が、振り切れている。
「それは、ないと約束してくれました。」
ハミルトンには説明できないが、渾身のアンドロイド(嫁)を献上したゆえに、魔王の心の友という称号をアレックスが得たおかげである。
「それは、確かなことでしょうか?」
そんな事情を知らないハミルトンは、当然信じられず疑心の目を向けてくる。
それを、正面から受け止め堂々とアレックスは答える。
「はい。
ですが、報復が必要な場合等、悪魔側にきちんとした理由がある時は、人間に手を出すそうです。
でも、わけも無く蹂躙することは今後ないと言ってくれたので、その辺りは安心してもらっていいと思います。
まぁでも、これは我々人間も同じことでしょう。むかつけば、やり返しますし、悪い奴は無差別に人を殺します。
悪魔が絶対悪であるってことにはならないと思います。」
「それもそうですね...。罪を犯す者は、人でも居ますし。
それにしても、悪魔は対話が可能なんですね...。」
ハミルトンは、組んだ手の上に顎を乗せ、しばらく考え込む。
難しそうな顔で、思案していたが、やがて閉じた目をゆっくり開けるとアレックスに問いかけた。
「...ちなみに、なぜ人間を駆逐しようとしていた悪魔が方針を変えたのでしょう。何か対価があったと思うんですが?違いますか?」
すっと、目を細めて強い視線を向けられた。
その目の奥には、誤魔化しは許さないぞというように強い意思がちらちらと見られる。
それもそうだろう。
普通に考えれば、元ではあるが崇高な存在たる神でもある悪魔が、矮小な人間二人と少し一緒に過ごしたくらいで方向を180度変化させ、友好的になるものではない。
何か対価がなければ、どだい無理な話だろう。
だからと言って、ありのまま話すことはできない。
前世から始まり、オタク文化からの〜『俺の嫁』の話なんぞ、話したところでまず理解ができないだろう。
二次元という概念や、パンチラ・胸ポロリ、美少女のお尻が顔に振ってくる等のラッキースケベ展開の説明や、そんなエロいことに恥じらうことなく興奮し語り出す、フルオープンな明け透け文化(萌え)には、対応できないはずである。
この世界では、特に貴族ならば、婦女子が脚を出しているだけではしたないとされているので、真面目な者なら、心臓が止まる衝撃じゃなかろうか。
どんな言い訳を言おうかとアレックスが考えていると、ハミルトン団長が引き出しをガサゴソと漁り出した。
そして、手のひらに収まるほどの缶を取り出し、アレックスに真顔で差し出す。
「??(これはなんだ?)」
アレックスは困惑し手をウロウロさせる。
もらってもいいのか?けど、もらったとしてもこれは何だ?何も言わないってことは、有名なものなんだろうが、俺にはわからん。
そんなアレックスの様子を見たハミルトンは、訝しげな表情を浮かべる。そして、何かを思いついたかのように、ハッとなると口を恐る恐る開いた。
「こ、これを知らない?
....なるほど、そうですか。
君は使う場面が今までなかったということですか?
そうか.....、そうか!そうですか!
だが、.....くっぅ...!!」
そうか、そうかと嬉しそうにしていたのに、急に悔しそうに顔を歪め、持っていた缶をギリギリと握りしめ出すハミルトンに、アレックスは驚く。
どうした!?どこに悔しがる要素があった!?
コレを俺が知らないと、嬉しがられるものなのか!?
アレックスは、急な団長の変化にただただ困惑する。
「だ、団長?どうしたんですか?その缶はいったいなんなんですか?」
「これは、君の、...に使うクリームです。」
何に使うクリームだって?
そこは、ぼかしたらわからない!
はっきり言ってくれぇ!
すると、ツカツカと机を回り込んで、ハミルトンが近づいてくる。
そして、アレックスの目の前まで来ると立ち止まった。手には、缶がまだある。
アレックスは見上げて、ハミルトンと目線を合わせる。
ハミルトンの方が、頭ひとつぶんデカいのだ。
しかし、ハミルトンの目線がずれている。
目線が合わない。
どこを見ているのか?と、凝視している目線をゆっくり辿って行く。
すると、アレックスのちょうど尻横に視線があった。
ん?尻?
んん?なんで、俺の尻を見てるんだ??
そしてハミルトンは、悲壮な顔をしながら喋り出した。
「痛かったでしょう....。
見たことがないなら、これを使わなかったのでしょう....。
なんて酷い!!悪魔の所業です!
...いや、悪魔だからいいのか??」
ハミルトンが、相変わらず尻に目線を固定しながらブツクサと「私が狙ってたのに...。」と呟く。
小さい声だったので、二人には聞こえてはいなかったが...。
アレックスは、なにが痛かったのかわからなかった。
ヴェルディエントやジャルジャルートは確かに悪魔だが、別に痛いことなんてされてない。
ジェ・スーの変異種には憂き目に合わされたが、痛みというより激しく逃げ惑った時の体力的な疲労の方が辛かった。
一体団長は、何を憐んでいるんだ?
訳がわからなすぎて、逆に怖ぇ...。
「きっと切れちゃったでしょう?
本来なら、先に塗って準備するものなんです。」
だから、何の準備ですかっ!?
「ですが、これは、切れた後でも効果があるものです。だから...、
安心してください!すぐ良くなります!
少し麻酔作用があるので痛みを和らげ、皮膚の再生も促してくれるんです。
まだ予備が沢山あるので、これをあげましょう。
なんなら、いま私が塗ってあげましょうか?後ろは見えませんし、それに中も見て直接塗らなくてはいけませんね!
ちゃんと傷がある部分に塗れてるかじっくり見る必要があります!
大事な場所ですから!!」
食い気味に捲し立てられながら、アレックスの腰を引き寄せた。そして、さっと、尻の割れ目に指を滑らされて、排泄口がある場所でピタッと指を止められる。
ゾワっ!!
「っ!!結構っ、ですっ!!」
慌てて、肛門を両手のひらで覆い隠しながら、距離をとった。
全身に鳥肌が立ち、冷や汗がブワッと出てきた。
ここまできてようやく理解した。
ハミルトンが持っている缶は、男同士の性交で使う潤滑クリームかつ裂傷治療薬だ!!
だが、なぜ今これを出してきた??
そしてやはり、団長はそっちなのね!薄々わかってたけど、職場の執務机に常備するほど当たり前のものなのねっ!
「団長!俺の尻は、無傷です!急になんなんですかっ!?
そんな話はしてませんでしたよね!悪魔が友好的になった訳について問われていたと記憶してますがっ!?」
「無傷??なぜ??」
心底わからないという顔で首を傾げられた。
こっちがわからねぇわっ!
「はっ!!も、もしかして悪魔のものは、細いのか!
それとももっと画期的なものを使うのか!?
どうなんですかっ!?アレックス補佐っ!!」
落ち着けぇぇ!!
紳士なムキムキ男が、興奮すると変態臭が半端ねぇなっ!!
「だーかーらー、俺はいかがわしい行為とかは、一切してません!!
どうして、俺のホニャララを心配するということに至ったのでしょうかっ!?」
「え?未遂??じゃあ、ヴァンキュレイト大隊長の方か?
いや、だが....。そのなりで?
いや、嘘だろう。」
団長は口に手を当て、さらに絶句の表情で、ネフィを見た。
今度は、どんな想像をしてるんだ??
「確認だが....、お前たちは恋人同士で、一緒に住んでいるんだよな?」
「アー、ハイ。スンデマスヨ...。」
「ラブラブですよ〜。」
「ならば、ヴァンキュレイトは、乙女じゃないよな...。いい歳した恋人が同棲してたら、毎晩するよな?
それに、その女狐の身体で、乙女ってことは....、うん無いな。むしろ、目的のためには、体の一つや二つ使ってるだろう。」
ボソボソと呟いているが、聞こえている。
酷いな、すごい偏見だ。俺も詳しくは知らんが、数ヶ月前までは貴族子女だったから乙女だろう。
その後は、知らないが....、多分今世はまだ乙女だろう。
「えーと、団長?何となくですが。
もしかして悪魔と性的なことで交渉したと思ってます??
それだとしても、最初に俺って....。
なかなか、意外な嗜好ですよ..ネ?平凡も平凡だし、俺男だし。」
「何を言ってるんですか?アレックス補佐。あなたは、平凡ではありませんよ。
お尻の形も綺麗ですし、幸薄な感じが妖しげにも見えてたいへん素敵です。ご自信を持ちなさい。」
「あー、ソウデスカ...。ありがとうございます?」
「それに、悪魔といえば古今東西、対価は死後の魂もしくは処女と相場が決まってるじゃ無いですか。ヴァンキュレイト大隊長は、処女....とは無縁そうですし。
ならばアレックス補佐の前側はともかく、後ろはまだ未開通でしょう?」
「そうですねっ!!後ろは、出すところで、入れるとこでは無いですからね!!」
何、しれっとセクハラ発言してんだ!!
前も後ろも、未使用綺麗さっぱりヴァージンだよっ!!
こうなってくれば、オタクの萌え萌えエロトークなんて可愛いもんだな!
奴らは、比較的無害だが、団長は実害100%だ!
俺のメンタルボロボロですよぉぉぉ!!
ここでネフィが口を開く。
「あはは〜、アレックスは処女ですよ〜。
よかったですね〜、団長〜。」
若干イラついた形相で、笑みを冷ややかに浮かべながらアレックスを後ろに隠した。
(男前なネフィにちょっと胸キュンしたのは、内緒だ。)
ネフィは、この場に飽きていた。
早く、退出したいのだ。それに、アレックスに粉をかける団長にもイラッとしていた。
イラつくままに傲慢に言葉を続ける。
「ちなみに、魂を魔王にあげる予定もありませ〜ん。
そもそも、アレックスの(魂)は、私のものですから。髪の毛一本でさえあげれませんね〜。」
手をひらひらさせながら投げやりに、はははと笑うネフィ。
いやいや、髪の毛も魂も俺のものですからね!
SM女王様理論、やめて?
豚のものは、私のものじゃ無いですよ??
俺の人権は、守ってー!
死の契約魔法陣の内容って、確かフィフティフィフティじゃなかったっけ?
なぜ、俺の方が犠牲多めになってるんだ??
「では、なぜ?」
「普通に、意気投合して友達になったんですよー。」
「いや、でも相手は悪魔ですよ?しかも魔王ですよ?
100万歩譲って、友達になったとしても、約束を反故することもあるんじゃないですか?」
「はぁ.....。約束を反故?無い無い、有り得な〜い。
(もう、無いから!嫁を与えて魔王は骨抜きだから!!クードーイー!
これ以上団長に言うことないし、帰らせて。寝ーたーいー。)」
アレックスはネフィの言い方にギョッと、する。
言い方!そのうんざり呆れた態度隠しなさいっ!
この人、セクハラ似非紳士だけど、一応俺たちの上司!
おじいちゃん(第10騎士団長)じゃないぞ?!
わかるぞ!疲れているのに、退室させてくれないことにちょっとムッとしてるのは、わかるけど。
敬語どうした!?
拾ってこぉぉいっ!
無礼な態度で言われたハミルトンは、ぴくぴくと口角をふるわせイラッとしたようだが、なんとか柔和な笑みをキープしている。
「大隊長...もう少し、まともな態度を取るべきではないでしょうか。ふふふ...。」
はっと、目を見開き、さも今気づきましたばりに口に手を当てるネフィ。
すごくわざとらしい。
疲れすぎて、当てつけのようだ。
「タイヘン、しつれいシマシタ!
チェラスで働きすぎてしまったようです〜。
魔王とも、緊張の中、交渉して〜。
精神的にも肉体的にも?疲労が蓄積されてしまったみたいでして〜。
まぁ、たぁいへんっ!頭がボーっとしてきちゃったみたぁーい。
このまま、ここにいると倒れちゃうかもぉー。
アレックス補佐も、さっきから(サブイボがたって)震えてますし、熱が出ちゃうかもしれ〜ないで〜す。
騎士は、健康が資本ですよねぇ。
なーのーでー、報告するべきことは終わったので、休暇に入らせていただきます!」
言いたいことを言って、ネフィはビシッと敬礼すると、アレックスの腕を鷲掴みサッサと退室して行った。
そして、そこにはポカンと唖然としたハミルトンだけが執務室に残された。
強引だったが、アレックスもネフィの暴走に感謝した。
話せないものは話せないのだ。
報告すべきことは全て話したから、あとは、上層部で対応を考えてくれ。
きっと、エバンズ団長がまた会議を長引かせるだろうなと、アレックスとネフィは同じことを考えていた。
元薬剤師の俺が異世界に転生して薬師になる話〜猟奇的幼なじみに振り回され解熱鎮痛剤をひたすら作る下僕になります〜 香 祐馬 @tsubametobu
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