第五話 日本国内

人工メガフロート都市 江戸が造られたことにより国内の農工業は少しづつ元の勢いを取り戻そうとしていたが元の経済活動に戻るには相当な時間が必要なのは明らかだった。

その為経済産業省は国内の工業の活発化を促すためこの時代の技術でもギリギリ再現が出来る工業製品の制作を各業者に依頼。それを持参し、国交を結んだ各国へ代表団を派遣することを考えていた。


そして、日本皇国議会。


「我々の隔絶した技術力がある以上、国外への出国を許可し手っ取り早く経済力による世界秩序の構築、これを行うべきなのではないですか」

「それには世界の治安情勢が適しているとは言い難い状況です、ですが経済の回復は目下の課題でありそのための代表団派遣を検討しています」

「我々は転移前、自由貿易体制によって築かれた貿易によって成り立った海洋貿易国家であります。その体制を回復すべく、我が皇軍を使った日本主導の世界平和パクスジャポニカを作る必要があるのでは。総理、どうお考えですか」

名前を呼ばれた総理は溜息を吐いてから、席を離れた。


日本国内の工業、産業は大打撃を受けるなか、最も深刻な影響を受けたのは株式市場であった。海外トレーダー達がいなくなり通信関係が全滅。転移後すぐさま大阪、東京の市場は即座に封鎖、凍結された。

それらの回復は恐らく数か月後になると予想されていた。

国民生活は最悪といってもいい状態であり、現代社会にて生活をしていた人々は次々と抗議するデモに参加していった。

お金がない、食べれない、仕事がしたい、仕事がない、仕事ができない。

こう訴える人々は段々を数が増え最大のデモでは10万人にも及ぶ人々が政府に対し抗議した。

これに対し、政府は一時的な措置として各種法律を施行し政府の強権化を図り強力な対策を取ることが出来るようになった。従来の政府ではあり得ないであろうがそこは政治力に富む日本共和党らしく根回しなどの政治工作によってこれを実現させた。

日本皇国内閣総理大臣 日塔 漣は臨時の記者会見を開き国民へ向けて今後の政府方針を語った。


「現在我が国は戦後最大の転移という危機を迎えております。それによって生じた混乱や生活の困窮を受け、政府としてまず各家庭への一時給付金として十万円を支給します。これは現在計画されている代表団の派遣が成功すれば輸出入が始まり三か月後にはこの状態から脱却できると考えます。また臨時政府雇用を開始し政府主導の計画などの人材として、一時的にでも多くの雇用を生み、一時でも早くの国民生活の回復を目指していきたいと考えます」








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ジパング ~東洋の列強~ 海野快斗 @kaitounno

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