ジャパロボ 魚屋さん 1

渋谷かな

第1話 魚屋さん1

スマホ連動型、オンライン・ニューアーケードゲームが登場した。

その名も。


「ジャパロボ! ロックダウン!」



時代の背景


新型コロナウイルスでゲームセンターが次々と倒産して消えていった。

その跡地に運び込まれたのが、フル密閉型のコクピットだった。

そのゲームの名前は、ジャパロボ。


ジャパロボは、オンラインゲームである。

データはクラウドで完備。

プレイヤーはIDとパスワードでログインできる。


プレイは自宅でスマホでも、ニューゲームセンターでもリアルに誰でも遊べるゲームである。ゲームセンターのコクピットに乗り込めば別料金はかかるが、振動や戦闘の緊張感などのリアルな体感が味わえる。


ジャパロボはeスポーツに採用されている。


オリンピック種目。

全国ジャパロボ大会。

インターハイ。

箱根駅伝ジャパロボ・・・・・・。


一番のポイントは、ジャパロボのゲームで獲得した賞金は現実世界のお金に交換できるということだ。そのため多くのユーザーを獲得することができ急速に発達していった。おかげでジャパロボは失業者対策に一役買っている。日本政府公認の合法的なゲームである。



 まず暗いコクピットから始まる。

「ID、パスワード入力! ログイン開始!」

 ログインが認められるとコクピットが明るくなる。

「ジャパロボ! 起動!」

 コクピットに少女が座っていた。

「美空あゆ! ジャパロボ! 行きます!」

 ジャパロボがゲームの世界に降臨した。


「あゆ、今日の相手は強いかな?」

 一緒にジャパロボにログインした友達の幸田ひばりが聞いてくる。

「さあね。」

「釣れないね。相変わらず。」

「どんな相手でも破壊しまくるのみよ! キャッハッハー!」

 あゆはかなり精神を病んでいた。


 ジャパロボは、車に手足をつけたスタイルである。武器はビームライフル、ビームサーベル。それと車に変形しての体当たり、通称、ひき逃げである。

 しかし、カスタマイズ機能が実装されたことによって、核爆弾、ハイメガ粒子砲、メガバズーカランチャーなどの高出力圧縮型兵器が導入された。要するに何でもありである。


「じゃあ、あゆちゃん、行ってくるね。」

 ブリっ子をするあゆは戦場に出撃する。

「いってら・・・・・・。」

 呆れながら身をくるひばり。

「ああ、また街が一つ壊滅するのね。はあ・・・・・・。」

 ひばりは深いため息をついた。


「今日のステージは渋谷か。地元じゃん。」

 ジャパロボのステージは渋谷。場所はランダムに変わる。

「死ね!」

 そこに他のプレイヤーのジャパロボがビームサーベルを振り回しながら現れる。

「死ぬのは、おまえだ!」

 遠距離の近づいてくる相手に対して、あゆはビームライフルで応戦する。

「なに!? 魚のビーム!? まさか!? おまえが戦場の魚屋さん!? ギャアアアアアアー!?」

 あゆの放った魚光線のフィッシュ・ビームは敵のジャパロボに命中。

「やったー! 一匹撃破だぜ!」

 ジャパロボのゲームの中であゆは、戦場の魚屋さんとして有名であった。


「素人は突進してくるし、小賢しいのはビルの影に隠れているのよね。」

 これ大大戦やMMOゲームの基本的な戦術。現在の渋谷エリアの参加者は20万人。ジャパロボは全世界で好きな時に好きな都市で誰でも戦える。

「炙り出してやる!」

 あゆはビームサーベルを握り出力を最大にする。

「渋谷の街なんか! 三枚におろしてやる!」

 あゆはビームサーベルから拡大されたビームの斬撃を飛ばし始めた。

「ドカーン!」

 新しめの高層タワーのスクランブルスクエアが攻撃を受けて倒壊していく。

「ドカーン! ドカーン! ドカドカドカ! ドカーン!」

 ヒカリエ、ストリーム、セルリアンタワー、スクランブル交差点、東急百貨店、西武百貨店、109などあっという間に破壊されていった。渋谷の駅前は一瞬で火の海に化した。

「えっと、生存者が5万人と。私は一瞬で15万人を倒したのね! キャッハッハー!」

 ビルの倒壊に巻き込まれ他のプレイヤーのジャパロボはほとんど大破していなくなる。この都市破壊計画により、あゆは賞金と経験値を一気に集めるのだった。

「今夜は回転寿司ね。アハッ! さあ、ログアウトしようっと。」

 そして、あゆのポリシーは勝ち逃げである。

(ムッ!? ビーム!?)

 ログアウトしようとしたあゆにビームが飛んできた。瞬時に感じ取りかわすあゆ。

「誰だ!?」

「私のことを忘れたとは言わせないぞ!」

「おまえは!? 安室えりか!?」

 何やら因縁のある二人。

「生きていたのか!?」

「おまえの手口は熟知しているのでな。ビルの影などには隠れないのだよ。」

「やるようになったな。」

 過去の戦いから大人数対戦で隠れることに価値はないとえりかは知っている。

「今度こそおまえを倒す! 魚屋は築地に返れ!」

「何を!? 今は豊洲って言ってるだろうが!」

 プチン。その時、あゆのジャパロボがゲームの世界から消えた。

「逃げたな!? 卑怯者!?」

 えりかはゲームの世界に一人取り残される。


「上手い! ゲームで稼いだお金で食う寿司は上手い! オヤジ! 大トロもう一丁!」

「恥ずかしいから、パッドに話しかけないで!?」

 あゆとひばりは回転ずしを堪能していた。

「せっかく奢ってやっているのにひばりはノリが悪いな。」

「おまえ、私がカスタマイズした武器のおかげで勝てていることを忘れるなよ。もう武器を貸してやらないぞ。」

「ごめんなさい。ひばり様も大トロを食べましょうね。いくらにうにも食べましょうね。アハッ!」

「分かればよろしい。私たちは友達だからね。」

 あゆとひばりは大の仲良しであった。

 つづく。

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