山脈にて

我が前に凍てつく山脈の険しさに、

私はただ白い息を吐き出し、

岩を掴む手は冷気に切れ、

道の長さに靴は血に満たされ、

目は眠気と痛みに霞むも、

先を歩むより他に無し。


北極星ポラリスは昇りて私を導き、

詩神は我が耳に大いなる歌を囁き、

強壮なる朋友らが共に歩む時もあれど、

気づけば我が身の他に人影は無し。


凍てつく山脈の尾根に至りて、

私は常春の地を見下ろす。

静かなる忘却の河レーテーの岸に、

猫達のあるいは戯れ、あるいは眠る草原を。


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神意:クトゥルー神話詩集【2021.3.15 ラヴクラフト命日企画】 アーカムのローマ人 @toga-tunica

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