第14話 アキラとサラ
マリアとルイは暗い処置室の前で待っていた。
マリアはずっと祈っていた。
20分、30分
ドアが開いてアキラが出てきた。
「検査したけど、大丈夫だよ。でも、アルコールは飲んではいけないね。今日みたいになる。目が覚めたら伝えて。ルイ、親御さんに連絡する?」
「いや、いいだろう、おばあちゃんに連絡するよ」
そう言ってルイは席を立ってちょっと離れた所で電話をかけ始めた。
マリアはホッとして体の力が抜けたようだった。
「良かった!良かった!アキラありがとう!アキラ、アキラ、何そのヒゲ!」
マリアの目が思いっきり開いている。今まで見えていてもサラが心配でそれどころじゃなかった。アキラの髭に今気づいた。
「20歳も老けて見える。やめてお願い、しばらく見なかったら、髭!。せっかくの超ハンサムが台無し。お願い、約束して、今度会う時は髭がないって」
「ハハハハ、マリア、ダメかな。男らしいし、頼りがいがあるように見えない?患者さんが安心すると思うんだけどね」
「ハハハじゃない!アキラは髭が無いのがアキラだから」
マリアは真面目に怒った顔をしている。
どうしても譲れない!という気迫がある。
ルイが戻ってきた。
「アキラが大丈夫と言うなら大丈夫だから、親御さんには後日機会があったらおばあちゃんから話すって」
「うん、それが一番だな。帰っていいけど、目が覚めて不思議がると思うから」
「私のベットで、休んでもらう。目が覚めるまで起きとくし、何かあったらすぐ連絡する」
「それがいい、マリア頼んだよ」
「それから」
アキラがルイとマリアをじっと見て言った。
「オレ、サラと結婚したいと思った」
ルイとマリアが顔を見合わせた。
2人とも言葉が出ない。
「本当にわかるんだな。間違いなくこの子だって」
アキラは顔が真っ赤になった。
髭で隠れているところもきっと真っ赤になっているだろう。
「ちょっと、だったら、絶対に今日!髭切ってね!」
マリアがアキラの髭をつまんで引っ張った。
「わかった、わかった」
サラ 奥田亞子 @himawari1214
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。サラの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます