第7話ハッピーorサッド
薄くなっていく意識の中確かに見えたただ一つの不幸せが生じない選択肢。それは、私とこの体、ふたつの意識をひとつの根源にすること。
目を覚ますと、私は天界にいた。目の前には複数の知らない神達と……太陽神、美の女神がいる。
「これから何を言おうとしてるか分かっているか?」
「『はい、もちろんです父様』」
「そうか……お前はもうここにいていい存在じゃなくなった、更に下界への過度な干渉は二回目だ」
え? 何を言っているのかが全く分からない。
「そうだな、覚えていないだろう。二十年ほど前おかした過ちの記憶は消した。天界追放の前に今一度知るといい」
頭に手を置かれ、抜け落ちていた空白がたくさんの色で埋め尽くされていくのがわかった。あぁ、頭の中にある全ての記憶と合わさり理解した。というか、あの子のお母さんだったんだ……
「『全部……分かりました』」
胸の中で多くの色が陣地取り言わんばかりにうずめ気合う、今はただ歯を食いしばり涙を抑える。
「分かったっていうのは……受け入れたのか? ほんとに? 少し時間を与える。五分だ。ちゃんと使え」
父なりの考えだろう。私は一度あの時を思い起こすことにしたのだった――
――「時間だ。ただ今から天界追放する」
時間だ。もう行かなきゃね。あの二人はよろしくやってるかな? やってるよね絶対! 自分を楽にするための言い訳じゃない。二人はきっと幸せになる。私は……どうなるんだろう。悪いことしたから虫とかかな。そんなことを考えているうちに意識はふっと消えた。
◆◇❖❖◇◆
「あなた、あんな別れ方で良かったの?」
「言い訳あるか?」
「質問に質問返さないでよ。でも、良くなかったのね」
「なんでそうって言いきれるんだい?」
「だって、あなた……泣いてるんですもの」
でも、私はわかる。あなたが隠し事をする時に頬をかくその仕草。今回は、私が許す許さない以前に、どうなってもしらないわよ。わざわざ、あの子に下界への未練を思い出させて意思に反した天界追放をしたことで、時間軸は大きく過去に動いた。根源も元に戻り、時間はちょうど二十年……もうっ!優しいんだから!そんなあなただから好きなんだけどっ……
◆◇❖♢❖◇◆
放課後の教室、今日の掃除は四人だ。僕と仲良しな女の子三人。そのうち二人は双子なんだけど、凄い真反対な容姿。例えるなら太陽と雪かな? それとものすごく清楚さを感じる彼女……まあ、ちょっとわけアリなので今日は(昨日もだけど)掃除を休ませてもらおう。
「「「こらぁ! 待てぇー!」」」
げ。
「三人から同時期に告白受けたからって何一人だけ気まずくなってるのっ!」
「ほんとにもう!」
「早く誰にするのかきめてよねっ!」
「君達も少しは僕の気持ちも考えてよぉー!」
◆◇❖♢❖◇◆
そうして追いかけっこをする彼等の帰路に、出会いの角は……もうない……
彼と彼女、彼女と女神、そして女神と彼 輝常 @Orusha
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