第10話 12月、いよいよ進路決定!!

12月の三社面談は、中学校3年生にとっては期末、中間テストも出ていて、その他に志望校を決定する業者の学力診断テストなんかも終了していて、担任と父兄と最終的に受験校を決定する大事なものです。で、これは私が思いっきりアッパーカットを食らった話になります。

この外国人生徒は小学校1年生から、日本の学校にいて、フツーの成績を取っており、さほど問題なく中学校に進んで、やっぱりフツーの成績を取っていました。なので、小学校から彼を見ていた私は、これなら普通に父兄が望む中堅どころの公立高校に入れると思っていたのです。

ところが、よりにもよって、12月に彼の在校する中学校に行ってみると、まさかの大どんでん返しが起こっていました。この外国人生徒はフランスに従兄がいるのだそうです。で、この従兄がこの生徒に、「どうせなら、フランスで高校行けば?フランス語とスペイン語って似てるから、君には楽勝だよ。」と話したのだそうです。で、何事も簡単に考えるラテン系の少年は、「僕はフランスで進学するから、もう日本での学力テスト受けません!」と親と担任に宣言し、マジで2学期最後の、それも受験校を決定するのに必要な学力テストをすっぽかしたそうです。私はこの件をこの子の父親から聞いて、断固として反論したのです。「良いですか?フランス語って、いくらラテン語族でスペイン語と似ていても、息子さんは今の時点で書くことも話すこともできないですよね?その上、フランスの地理も歴史も分かってないのに、今から突然フランス行って、普通に高校進学できると思いますか?」その反論に一理あると思った父親が、私に12月の三者面談に入るように要請してきたのです。

で、三者面談では、よりにもよって一番大事なテストをすっぽかしてしまったので、定時制を受験する方向になりました。残念です。この子の学力なら普通にやっていれば中堅どころの公立に問題なく受かっただろうに。

後日談ですが、この生徒無事に定時制受かりました。ところが昼間何もせず、夜に勉強と言うのがなじめず(まあ日本人でも定時制無事卒業するのは至難のわざですが)、ドロップアウト!次に通信制高校に通いだしました。これはやはり定時制同様、日本人でもかなり根気がないと無事卒業までこぎつけません。大丈夫なんだろうかと思っていましたが、数か月後に父親に会うと、今度は本国に帰って高校に行ってるそうです。私はガックリしてしまいました。いくら本国でも、彼は本国の地理も歴史も、ましてや学習に使う語彙もないのに、本国で高校進学

??予測ですが、おそらく本国でもベースがないので、学習について行くのは難しいのでは?結局こちらに戻ってくるのではないでしょうか?そして中卒の学歴で、本人は通訳ができる、と思うのでしょうが、日本の通訳は学歴社会。大卒の通訳と競争せねばなりません。

フランスの従兄とやらが、大それた考えさえ吹き込まなければ、この生徒は普通に公立高校に進んで、大学にも進学できたように思えます。それからなら、通訳としてやっていくには問題は少なかっただろうに。。。。。。。今頃何をしているのか心配な生徒です。


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今日もへっぽこ通訳が、行く!学校編 蕗子・フェレール @ferrerfukiko

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