稀人オークの裏設定(ネタバレ注意)

 本当に久しぶりの雑記、というか作品の更新が出来ていないのでこうしてカクヨムで書くこと自体二か月ぶりです。

 読んでくださっている皆様お久しぶりです。


 で、今日は何かというと。

 最近石野二番さんから「稀人オークと三十路の乙女」、その「稀人」の設定を使った二次創作をしていただいています。

 これがほんとに面白くて。本編で私がほとんど触れていない、「稀人」のキッツイ部分をゆるやかに突いて来てくださるので、すごくお勧めなんです。


 ※石野二番さんの「この地に生きる稀人たち」はこちらです↓

 https://kakuyomu.jp/works/16817139555593823097



 が、同時に出てくるのが「稀人」の裏設定問題。一応本編でも書いている事ながら、明記はしていないので齟齬が出てしまうところがちょちょこあって。

 直接お話してちょっとずつ埋めているんですが、これまとめてみたら面白いかな、と思い立って書いてみる事にしました。


 まず前提からいくと、本編では「稀人」の存在が証明されてから十年程、しかもユウイ(結衣)の問題が起きたため、存在は秘匿され、研究はあまり進んでいないという設定になっています。

 それを踏まえて、本編では出て来ないけれど密かに設定していた内容が、大きく二つあります。



 まずは一つ目。

 これが一番大きいですが、稀人の出現時に一番近くにいる人は、実は召喚者で、稀人自身も召喚者を引き寄せています。

 雪江が物語のラストで、明確ではないながら気が付いてるのがこの事実です。

 しかもこれこそが、実は稀人出現の第一条件なのです。召喚者と稀人の引き合う力、これが最初にあって、それ以外の条件は全て抑止力となっています。


 召喚者と稀人はそれぞれ、何かしらの強い望みを持っていて、その望みが合致して、かつ他の三つの条件が揃う相手と引き合います。

 この時、召喚者が当の稀人を知っているかどうかは無関係で、本人に召喚したという意識はないので、対面した時保護者にならない場合もあります。

 が、基本的には心の底で求めている相手。なのでだいたいはその場で稀人を保護する事になります。


 雪江の場合はトラウマを克服して誰かと人生を共にしたい、と(トラウマゆえに気付いていないわけですが)本心では思っていたし、ザグルは自分の存在・生存を強く求めてくれる誰かの、真に望む願いを叶えたい、という希望があります。

 結衣は戦いのない世界で、普通の女性として生きたい、と願うと同時に、想い人がいるため恋はしないと決めていました。これに対して春馬教授は、再婚するつもりはないけれど一人は寂しくて、せめて子供がいれば、と思っていました。

 つまりこの二組とも、ちゃんとその条件を満たしているのです。


 これは稀人と召喚者ならだいたい時間がたって、お互いの事を知っていく過程で気付くことです。

 では何故明らかになっていないのか、と言うと、これに気が付く稀人と召喚者は、まずその事実を隠すためです。

 これが公にされれば当然、意識して召喚する事も可能なのでは、と思う人間が現れると予想できるからです。

 それを良しとするような人は、まず召喚者にも稀人にもならないという事でもあります。



 二つ目は公にされている二番目の条件、「人に愛される事」の内実。

 これ、実は反対の方が条件で、「出現しても危険だと判断されない事」というものなのです。

 しかもこちらは召喚者以外の、創作のキャラクターを知っている人間たちの判断。先に言った通り、召喚者は条件の合致する稀人を呼んでいるだけなので、本人が知らない稀人も現れるわけですが、一番ブレーキを掛けているのがここなのです。


 つまり、人間以外の出現は非常に少ないのです。本人の性格がどうであれ、出現すれば何かしら不都合が起きると予想できるためです。

 妖精、妖怪、モンスターなどの架空の存在、オーバーテクノロジーの人造生命などは、性格がどうあれ大抵はこの出現条件に阻まれて出て来ないのです。

 ついでに言ってしまうと、創作の言語で喋っていると実際に書かれているキャラクター。意思疎通が非常に困難だと思われて、やっぱり出てくるのは稀です。


 なので、出現した稀人をざっと見て判断できるのは、おおむね「人に愛される者」だということだけになります。

 実際には隠れたこの条件があるので、ザグルや結衣の出現は異例、その二人が揃って同じ町にいると言うのはもはや驚異です。

 呑気な話なのに結衣とザグルの接触を警戒されているのは、こういう事情があったりします。なんなのあいつら会わせて大丈夫なの?って思われてます。



 これ以外にもチマチマ話した事はありますが、稀人そのものに関してはこの二つが大きいところかな、と思います。

 そんな話聞いてないよ、って石野さんにも突っ込まれそうな話ですが、今思うとかなり凝った設定にしてあったなぁと自分でも思います。

 恋愛ものとして読むにはちょっとやっぱりアレなのかなぁ、でも現代ファンタジーはジャンル違うしなぁ、と、いつも置き場所に困る話です。

 そのうち自分でもこの設定を利用して、本格的に現代ファンタジーにしてもいいかもですね。

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しらすの雑記 しらす @toki_t

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