【ＬＢＤ〔ラブ・ボーイ・ドール〕商品化研究所】ＢＬ

☆完全ではないＢＬ計画のネットモニター②

　博士は、ＬＢＤ〔ラブ・ボーイ・ドール〕の股間を撫でながら言った。

「そこで、本社は男性型ラブドールの開発方針を『ＢＬ腐女子』の購買ターゲットに向けた、ＢＬ特化ラブドールに変えた」

「ＢＬですか」

「アンケートでＢＬの、会話、抱擁、キス、愛の言葉の囁きを要望する女性の声は多かったが………生々しい男同士のセックスを、じっくりと見たい女性の要望は全体的には少なかったからな。

だから、開発段階でソレと」

　博士は助手の股間を指差す。

「固くなっているソレとジョイントする穴は、最初から排除した……ＬＢＤは、ＢＬのプロセスだけを腐女子が楽しむラブドールだ。

題して──『完全ではないＢＬプロジェクト』」

「なんとなく、開発主旨はわかりました。固くなってはいませんから………それで、自分は何をすればいいですか？」

「これから、あらかじめ募集しておいた女性モニターに向けて、タイムフリーのネットモニターを発信して感想や意見を書き込んでもらうから。

君はそこのパソコンで女性モニターの意見集計をしてくれ………今後の商品開発に役立てるから」

「わかりました」

「それじゃあ、はじめるぞ………ＬＢＤ『アルファ』『ベータ』目を覚まして上体を起こせ」

　博士の言葉に、両目を閉じて仰臥してい二体の ＬＢＤが目を開けて、上体を起こした。

「『アルファ』『ベータ』台から降りて、互いに向かい合って立ちなさい」

　二体のタイプが異なる男性型ラブドールが、向かい合って立ち。

　互いの顔を眺める。

　博士がラブドールに指示を出す。

「愛の言葉を言いなさい」

　アルファとベータが、入力されていた言葉を相手に向かって囁く──言葉のバリエーションは、購入した女性客がパソコンやスマホを使って自由に増やせるようになっている。

「愛している」

「愛しています」

　博士から次の指示が出る。

「抱擁して、互いの体を撫で回して愛撫しなさい」

　アルファとベータが、抱き合って互いの密着させた体を撫で回す、背中やヒップが男同士の手で撫で回される──これは、標準装備されているプログラムで、撫で回し方や体のどの部位をどんな具合に触るのかは。

　購入後に女性ユーザーが自由にプログラムを増やして、愛撫バリエーションを加えるコトができる。

　博士の次の指示。

「男性型ラブドール同士でキスをしなさい」

　アルファとベータが唇を重ねて、プログラムされていた喘ぎ声を発する。

「んんっ………んぁ」

「はぁ………んんっ………んっ」

　互いの口に舌を出し入れしている、ＬＢＤから視線をパソコンの画面を見ている助手に移して博士が助手に訊ねる。

「固くなって………じゃなかった、女性モニターからの反応はどうだ？」

「スゴい数のコメントが集まっています、多くの女性が商品化を望んでいます。発売されたら、予約しても購入したいそうです………同じ腐女子仲間と別々のタイプを共同購入してカップリングさせたいとも………カップリングってなんですか？」

「わたしも詳しくは知らん、後で検索して調べてみよう………他にモニターからの気になったコメントはあったか？」

「数名の腐女子から、裸だと目のやり場に困るから、服を着せてネットモニター流して欲しいと」

「そうか、じゃあアルファとベータに着衣させて。モニター行為を仕切り直して行おう………男性型ラブドールの衣服も平行して販売すれば、着せ替え人形の感覚で女性は購入するからな──でっかい、着せ替え人形遊びだ」

　数分後──裸から着衣させて、台に横に並んで座らせたアルファとベータに、少し胸元をはだけさせた格好で愛撫やキスをさせて。

　博士は商品開発のモニターを再開した。　

「んんっ………はぁペチャ」

「んんっ………愛している………んんっ」

　キスを続けている、ＬＢＤを見ながら博士は思った。

（完全ではないＢＬって………いったいなんだ？）

～おわりにゃ～