天使と悪魔
渋谷かな
第1話 天使と悪魔
「暇だな。」
「退屈ですね。」
ある所に天使と悪魔がいました。天使の名前はエルエル。悪魔の名前はデビデビ。どちらも可愛いマスコットキャラクターです。
「後一人、契約を取れれば今月のノルマを達成できるんですけどね。」
「いいな、天界は。悪魔にはノルマはない。地獄の無限契約の刑だぜ。また邪神様がお怒りだ。はあ・・・・・・。」
天使と悪魔は契約件数のノルマに苦しんでいる所から親しくなり、今では二人で共同して人間と契約を取るようになりました。
「今回の人間は面白いといいですね。」
「そうだな。三角関係とかいいな。」
「どうして?」
「だって少なくても一人は悪魔になるからな。ケッケッケ!」
誰の心にも天使と悪魔を飼っている。君はどちらの声に耳を傾ける?
「光! 好きだ! 俺と付き合ってくれ!」
16才の高校1年生の高橋暗(クライ)は同じく16才の高校1年生の鈴木光(ヒカル)に告白した。
「ごめんなさい。私、聖(ヒジリ)が好きなの。」
「ガーン!」
しかし光は聖が好きだったので、暗は光にフラれる。
「聖! あなたは私のことをどう思っているのよ?」
「そうだ! 俺との友情を壊すつもりか!」
「ええー!? 僕には光も暗も友達だから、どちらも選べないよ!?」
僕は佐藤聖(ヒジリ)。16才の高校1年生。光と暗は幼馴染の大切なお友達だった。この関係を壊したくない僕はどちらかを選ぶことはできなかった。
「面白くない! 煮え切らない男ですね。」
「それなら俺が面白くしてやろう。ケッケッケ!」
その様子を見ていた天使と悪魔が何やら仕掛ける。
(おい! 暗!)
「なんだ!? 声が聞こえる!?」
(俺は悪魔だ。おまえの心に直接呼びかけている。)
「悪魔!?」
(そうだ。俺の名前は悪魔デビデビだ。光のことが好きなんだろ? 力づくで手に入れてしまえばいいんだよ! 怖かろうが諦めさせようが、女はついてくる生き物だ! 好きなら手に入れちゃえよ!)
悪魔デビデビは暗の心にささやきかける。これが本当の悪魔の囁き。
(やめなさい!)
「今度はなんだ!?」
(私は天使です。)
「天使!?」
(脅したり暴力で光を手に入れても、光の心は手に入らなくなりますよ? それでもいいんですか? ちゃんと誠意を持って女の子には優しく接しなさい。)
天使エルエルも暗の心に呼びかける。これが本当の天使の救い。
「俺は頭がおかしくなったのか!? 天使と悪魔の声が聞こえるなんて!?」
暗は天使と悪魔の間で葛藤する。
(いいのか? 暗。 おまえが光を奪わないんなら、俺が悪魔の力で聖と光の二人を交通事故に合わせて殺してしまってもいいんだぜ?)
「なに!? やめろ!? 悪魔!? 二人には手を出すな!? 聖も光も俺の大切な友達なんだ!?」
(契約成立だな。)
暗は悪魔と契約する。
(ズルい!? 脅すなんて!?)
(ズルい? 悪魔の俺には最高の誉め言葉さ。ケッケッケ。)
暗は聖と光の命を助けるために悪魔に従うことに決めた。
「こい! 光! 今日からおまえは俺の彼女だ!」
「キャアアアアアアー!? 助けて! 聖!」
強引に腕を掴み嫌がる光を連れていこうとする暗。
「ええ!? いったい僕はどうすればいいんだ!? 光も暗も大切な友達なのに!?」
(相手は悪魔に魂を売りましたよ。)
「あれ? 変な声が聞こえる。」
(変な声ではありません。私は天使エルエルです。)
「天使!?」
聖には天使エルエルが舞い降りる。
(あなたのお友達は悪魔に唆されて光を連れていこうとしていますよ。)
「なんだって!? 悪魔!?」
(そうです! 悪魔は悪い奴なんです! いいんですか? このまま何もしないと大好きな光は悪魔と一生暮らすことになり毎日泣きながら生きていくことになりますよ。)
「そ、そんな!? 光を助けたいけど・・・・・・何の力もない僕にはどうすることもできない。」
自分の無力さに落胆する聖。
(大丈夫です! 私と契約すれば、今なら悪魔と戦える天使変身セットの天剣衣を無料でプレゼント中です!)
「無料! はいはい! 天使と契約します!」
庶民で貧乏な聖は無料という言葉に弱かった。
(良かった! 今月の天使契約数もノルマ達成です! これで女神様に怒られないで済む! アハッ!)
天使エルエルは優秀な保険のおばちゃん・・・・・・ではなく、優秀なオレオレ詐欺師でもなく、優秀な天使であった。
「いでよ! 僕の天使の翼!」
神々しい光の中から天使の翼が現れる。そして翼は天使の輪っか、羽、剣、白い衣になり聖に装着していく。
「これが天剣衣!?」
「天使騎士の誕生です! アハッ!」
「ダサい!? 戦いが終わったらリメイクしよう。」
聖は、まるで天使の様な姿を残念がった。
(そんなことはどうでもいいから、早く光を助けに行ってくださいよ!)
「そうだった!? 光!」
天使に言われて光を助けに行く聖。
「待て! 暗! 光は渡さないぞ!」
天使の姿になった聖が現れる。
「聖!? プッ、プププッ!? なんだ!? そのダサい恰好は!? ワッハッハー!」
「笑うな!? 僕だって好きでこんな格好をしている訳じゃない!?」
聖は暗に天使の姿を笑われる。
「クスクスクス。ごめんなさい。やっぱり私は暗についていくわ。だって聖のその恰好がダサいんだもの。ワッハッハー!」
「そんな!?」
光を助けるつもりが、天使の姿をした性で聖は光の心を失った。
「どうしてくれるんだ!? 天使の格好の性で光の心を失っちゃったじゃないか!?」
(私は悪くありませんよ! 天使騎士のその恰好は神様公認の天使の正装です! 悪いのは悪魔に魂を売った光です!)
天使は自分は悪くないと言い張った。
「例えダサいと言われても、僕は光を取り戻す!」
聖は新しい決意で暗と戦うことを決意する。
(向こうは天使の使い化したか。なら暗、おまえも悪魔騎士にしてやろう。)
「悪魔騎士!?」
「名前までカッコイイ!」
暗と光は悪魔騎士という言葉に安心した。
(さあ! 叫ぶのです! いでよ! 悪魔騎士の悪剣衣と!)
「おお! いでよ! 悪魔騎士の悪剣衣!」
禍々しい暗闇の中から悪魔の羽、悪魔の尻尾、悪魔の剣、悪魔の黒い衣が現れ暗に装着していく。
「おお! これが悪魔の騎士か!?」
「カッコイイ!」
黒光りの悪魔騎士の姿はカッコ良かった。
「いや~、悪魔で本当に良かったな。」
「全くだ。」
悪役の方がカッコイイことはよくある。
「でも、悪魔の三角尻尾は女の子じゃないと可愛くないわね。」
光は不満を持っていた。
「勝負だ! 暗!」
「こい! 悪魔の力を見せてやる!」
いよいよ佐藤と高橋の天使と悪魔の代理な戦いが始まる。
「くらえ! 暗! これが僕のエンジェル・アタックだ!」
「何を!? 返り討ちだ! デビル・スラッシュ!」
お互いに天使と悪魔の必殺技を撃ち合う二人。
「ウワアアアアアー!?」
「どうやら俺の方が強かったみたいだな。ワッハッハー!」
高橋が佐藤を吹き飛ばして勝ち誇っている。
「クソッ!? 僕は負けるのか!?」
吹き飛ばされて悔しがる佐藤。
「負けるものか!? 僕は絶対に光を取り戻すんだ! ウオオオオオオー!」
立ち上がる佐藤。
「なに!? 聖のどこに力が残っているというのだ!?」
倒したはずの佐藤が立ち上がって来て戸惑う高橋。
「分かるまい! 悪魔に魂を売ったおまえなんかにはな! 僕、絶対に自分の正義を貫くぞ!」
「うるさい! おまえに俺の何が分かる!? 俺が何を守ろうとして悪魔になったかも知らないくせに!?」
再び佐藤と高橋は対決する。
「今度は負けないぞ! 天使騎士の最大の技で倒してやる! 必殺! エンジェル・ブレイク!」
「どんな攻撃でも悪魔が負けることはないのだ! デビル・ボンバー!」
佐藤と高橋の必殺技が炸裂する。
「ウワアアアアア!?」
今度は両者が吹き飛ばされる。
「ま、まさか聖がここまでできるとは!?」
「相打ちか!?」
気合を入れた佐藤と高橋の実力は互角だった。
「やるな! さすが暗だ!」
「おまえこそ! 聖の分際で!」
戦っているが元は共立ちの二人は相手を称え認め合う。
「ワッハッハー!」
天使と悪魔に違えども佐藤と高橋の仲は良かった。
「こらー! おまえら! 敵とじゃれるな!」
その時、戦っているのに仲良しな佐藤と高橋に喝を入れる鈴木の声がする。
「え!?」
「光!?」
佐藤と高橋は鈴木を見て目を疑った。
「なんだ!? その恰好は!?」
「まるで魔女じゃないか!?」
「そう、その通り! 私も悪魔と契約したんだ! エヘッ!」
悪魔と契約した鈴木は、魔女のほうき、魔女のバニガール衣装、魔女の尻尾、魔女の杖を装備していた。
「あなたたちが戦っても盛り上がらないので、私が悪役を買って出ることにしたの。」
「そんなアホな!?」
「斬新すぎる!?」
鈴木の行動力に佐藤と高橋は唖然とした。
「さあ! あなたたち! 私と勝負よ!」
次回につづく。
天使と悪魔 渋谷かな @yahoogle
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