第4章 ふたり、これから
一人娘の結婚式を無事に終え、私と圭吾さんは家に帰ってきてから、2人で肩を寄せ合ってソファに座っていた。私は、圭吾さんの肩に頭をもたれかけて、圭吾さんは私の頭にもたれかけている。
疲れも感じるけれど、なんとなく幸せなまどろみの時間だ。
うちの3兄弟は久しぶりに顔を合わせたということで、3人でご飯を食べてくるらしい。おそらく、私たち夫婦に気を使ってくれたのだろう。
「あや。ウエディングドレス、似合っていたね。」
「そうだな。でも、ともみの方が綺麗だったよ。」
「えー。本当に覚えてる?」
「覚えてるよ。なんかもっと、自分の結婚式って色々感じるのかと思っていたけれど、ただただともみが綺麗だったことしか覚えてないな。」
「私は、圭吾さんの隣をずっと歩いていけることが嬉しかったな。」
「一緒に歩いてみて、どう?」
「すごく幸せ。まあ、4人も子供産むとは思ってなかったけど、でも全部圭吾さんとだったから、今日まで歩いてこれたなって思う。」
「よかった。ともみの幸せのために頑張ってきたから。最近はさ、早く良輔と幸也、独立しないかなーなんて思ってるよ。」
「なんで?」
「ともみと2人きりの生活をもう一度したい。」
「なにそれ。」
ふふっと笑い合うと、圭吾さんは私の肩に腕をまわした。もう数えきれないほど圭吾さんに抱きしめてもらってきたけれど、圭吾さんの腕の中にいる瞬間が、一番幸せだ。
圭吾さんも私も年をとって、色々なことがあった。途中、くじけそうになることだってあった。でも、ただの一度だって、圭吾さんの手を離そうと思ったことはない。
これからだって、何が起きるか分からない。圭吾さんの顔を見たくなくなる日だって来るかもしれない。だけど、圭吾さんとだから、今、この瞬間に明日も圭吾さんと歩いていこうって決意できるんだ。
私、圭吾さんと結婚して本当によかった。私は、私の人生を選んできたから幸せ者なんだ。
「ともみ。これからもずっと一緒にいような。」
「もちろん。」
「愛してる。」
「私も、愛してる。」
圭吾さんが私の額に額をくっつけたので、私は鼻先で圭吾さんの鼻をくすぐった。ほほ笑み合ったあと、優しい口づけを交わした。
連理のあなた【完結】
3番目のあなた【カクヨム版】 茂由 茂子 @1222shigeko
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