ショートショート集

帰ってきて

最近妻はよく僕の前から消える。一緒にいたと思ってもふと見るといない。

あの日以来からそんなことが多々ある。

ある日妻と一緒に買い物へ出かけた。楽しく会話し合って、次は何を食べよう。どこにへ行こうかな。などと言ってお互いワクワク気分で話していた。

そんな時、俺の目に強い光を感じて眩しくて一瞬何も見えなかった。横にいた妻に

『眩しくて一瞬何も見えなかったよ』と言おうかと思ったが居たはずの妻はそこにいなかった。僕は慌てて必死に必死に妻を探した。

もしかして僕が一瞬何も見えなかった間に拐われたのではないかと、、

冷や汗が止まらない。

街中を走っていたら妻らしき後ろ姿が見えた、僕はすぐさま声を掛け『今までどこにいたんだ！』と息を詰まらせながら言うと、

妻は後ろを振り向いたと同時に目に涙をいっぱいにしていた。『あなた、帰ってきて。』僕はその言葉を謎に思い訳が分からなかった

そしてまた次の瞬間妻は消えた。

『おい！どこにいるんだ！頼むからどこにも行かないでくれ、、、』

『ここにいるのに...先生いつ夫は帰ってくるのでしょうか。』

『さぁ、あなた達2人で出掛けた時、彼はトラックに跳ねられて脳に障害がでたのでしょう

彼はこのままずっと自分の世界にいるんですよ。』