#06
椿ヶ丘学園の文化祭は、11月に行われる。
生徒だけで行われる申し訳程度の地味なもので、学外からお客さんを呼ぶことはない。二日に渡って行われ、一日目については午前中まで授業がある。
教室内で売店を行うE組で、私はお菓子を作って持って行く係になった。
文化祭当日、私の作ったパウンドケーキを宮原くんがしげしげと眺めて買っていった。
朝8時10分に家を出ると、家を左にちょっと曲がった角のところで宮原くんに会える。
「おはよ!」
「おはよ!」
私たちは挨拶を交わすようになった。
母はあれから、私のことをブスだと一切言わなくなった。
ブスで、頭が悪くて、デブ。
私の外見だとか、成績に変化があったわけではない。ダイエットは始めたけれどそんなに体重は減っていない。相も変わらず自信もない。端から砕けてしまっている自信を取り戻すのには時間がかかるのかもしれない。
でも、本当に重要なのは、外見だとか、成績だとかじゃないのかもしれない。
それらのせいにして、自分の殻に勝手に閉じこもっていた自分が変わることなのかもしれない。
私は恋をしてよかったと思っている。
宮原くんを好きになってよかった。
ブスは恋しちゃいけません! 江野ふう @10nights-dreams
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