02 (終)

 起きた。


「よお、起きたか?」


 全身が、だるい。


「ここどこ。私は誰」


「ここは戦場。お前は調停監視員」


「なぜ寝ていた?」


「近くで炸裂弾が爆発したから」


「嘘だ。身体は全体的にだるいけど、痛みや損傷がない」


「そりゃあ、まあ、ゲームだからな」


「ゲーム?」


 身体を、なんとか起こす。


「ゲーム中だよ、ゲーム中」


「あ、ゲームか」


 ゲーム中に寝落ちとか。まじか。


「どうなってんの?」


「もうぐちゃぐちゃ。調停監視員いないんだもの」


「ごめんて」


 だんだん、記憶が戻ってくる。


「調停監視員ね。はいはい」


 私は。


 機械NPC


 人ではない。


「身体がだるいって言ってたけど、お前、身体あんの?」


「ないよ。NPCだもん」


 今度作ってもらおうかな。


「え。私、身体だるいって言ってた?」


「うん。寝ながら言ってた」


「どんな夢だったんだろう?」


 思い出せない。


「夢はみるんだな。NPCなのに」


「夢ぐらい見させてよ」


 再び、戦場に戻っていく。


 それが、NPCのやるべきことだから。

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機械、疲れるだけの夢 春嵐 @aiot3110

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