第6話 二人きりの夜
ある日の夜の事 ――――
「あれ?裕斗……と…女の人?」
二人がマンションのエレベーターに乗って行く姿。
裕斗は、女の人に肩を貸してもらうような状態であり、見た所によると泥酔状態だったのが伺えた
部屋は知られたくないと言っていた裕斗が女の人と?
私は疑問に抱きつつも次のエレベーターを待っていた。
~裕斗 side ~
「裕斗……相変わらず変わらないんだから。元恋人同士だし良いよね?」
俺は、目を覚ました。
すると、目の前には女の人の姿があり俺の洋服が気付けば乱れていた。
「えっ!?ちょ、ちょっと! 何考えてんだよ!」
「良いじゃない!元恋人同士なんだから、H位良いでしょう!? 裕斗」
「ふざけんなっ!そういう問題じゃねぇだろっ!?俺は、お前のせいで……」
キスされた。
「ねぇ、裕斗。せっかく再会したんだから、この際、より戻そうよ!」
「断るっ!帰ってくれっ!帰れよ!」
俺は、彼女を何とか追い出した。
そんな私は自分の部屋の前にいた時の事だった。
「………………」
「裕斗っ!」
「帰れよ!」
「やだ!帰らないっ!」
言い合う二人。
「あのっ!」
私は二人の間に割って入る。
「何よ!」
「他の住人の迷惑になりますっ!」
「うるさいわねっ!他人のあんたには関係ないでしょう?退いて!」
次の瞬間、グイッと私の肩を抱き寄せられた。
「悪い!マジ帰ってくんねーかな?」
≪裕斗……≫
「俺、今、彼女と付き合ってんだ!」
「嘘よ!私の方が断然良いじゃない!私の方が全然イケ……」
裕斗は私の眼鏡を外した。
「………………」
女の人は言葉を失った。
「悪い……俺、彼女に一目惚れして何度も何度も猛アピールして要約、彼女と付き合う事が出来たんだ」
「………………」
「彼女、美人だし過去に色々あって恋愛したくない位まで傷ついてんの分かって……彼女を裏切る気ないし後々、結婚も考えているから」
ドキッ
≪け、結婚!?≫
「今日も彼女に無理言って参加させてもらったんだ。だから帰って欲しい……それから……二度とここには来ないで欲しい……」
「………………」
女の人は仕方なく帰って行った。
裕斗は私を部屋に入れる。
「悪い……巻き込んで……」
「……ううん……」
私は裕斗を無意識に抱きしめた。
それに応えるように裕斗も私を抱きしめ返した。
ドキン
「大丈夫?……裕斗……」
「大丈夫じゃないかも……傍にいて……欲しい……怜華……」
抱きしめ合った体を離し、私の両頬を優しく包み込むように触れ、優しい眼差しで見つめられる中、何処か切なそうにしている裕斗の表情が放っておけなかった。
「……裕斗……」
私は裕斗にキスをした。
「……怜華……」
「……ごめん……えっと……やっぱり部屋に……」
背を向け部屋を出ようとドアノブに手を掛けた。
グイッと背後から抱きしめられたかと思うと振り返らせ私の唇を奪った。
ドキン
「裕……」
唇が離れたかと思うと、言い終える前に、すぐに唇を塞がれ何度もキスを繰り返す。
≪いつもの裕斗じゃないみたい……≫
≪だけど……酔ったら、キスする裕斗だし…≫
「悪い……飲んでて……酔ってるから……」
「キスが止まらないの?」
「えっ?」
驚いたかと思うと、頬笑む裕斗。
ドキン
私の胸が高鳴る。
「……そうかも……でも……今日は……俺の我が儘言っていい?」
「うん」
「お前と一緒にいたい……だから……部屋に戻るなんて……言わないで欲しい……怜華……」
ドキン
「裕斗……分かった……一緒にいてあげる……」
とは言ったものの、裕斗の部屋に入るのは初めてだ。
奥に入って行く裕斗は、振り帰る。
「怜華?」
「……ごめん……えっと」
「来な」
私の手を握り部屋にあげた。
私の胸はドキドキ加速する。
「せっかくだし……お互いの過去話さないか?怜華」
「裕斗……」
「無理には聞かないけど、怜華には俺の過去話そうと思う」
「……うん……」
「俺さ……今まで何人かと付き合ってきたけど…正直良い恋愛してないんだ」
「…………」
「相手に本命いたり、二股とか三股とか普通にされてて……」
「……うん……」
「一番最悪な事が押し倒されて、逆強姦(レイプ)っつーの?男が女をっていうのはあるけど、女が男をっていうのありなのか?ってマジビビって……」
「……裕斗……」
「……運悪く元カノ(彼女)と合コンで再会するし……」
「じゃあ……さっきの……」
「……元カノ……原因になった……相手なんだ……」
「えっ!?」
「それから、将弥と合コン参加するも…楽しめなくて酔ったらキス魔化するの分かって…場の盛り上げ役で俺の恋愛事情を知ってる本当に信頼出来る男友達と行く事にしたんだ」
「そっか……」
「部屋知られたくない理由もそこにあって……お持ち帰りされたんじゃ元も子もないから」
「そうだったんだね……」
「もし怜華が帰って来ていなかったら……俺……怜華の事受け入れられなかったかもしれない。……ただでさえ……今も精神状態不安定なのに……」
「……裕斗は……私よりも辛い過去があったんだね……私は……受験真っ只中…ストーカー行為されていた人に強姦(レイプ)されそうになって……未遂だったとはいえ…あの暗い夜道の恐怖感が未だに引き摺っているんだと思う。だから眼鏡掛けて容姿隠して恋愛も出来なくて…今を至っている」
「怜華は……学生の頃から目立ってたんだな?でも…逆に良かったかもな」
「えっ?」
「お前、絶対に今以上傷付いていたと思う」
「裕斗…」
「なぁ…怜華…俺だけのものになって欲しい…」
「えっ?」
「俺…合コン行くのはもう辞めるから怜華も参加しないでくんねーかな?」
「…裕斗…?」
「怜華が、眼鏡忘れて合コンから帰ってきた時……男が怜華の後を追ってきた時、スッゲー妬いてる俺がいた」
「裕斗…」
裕斗はキスをする。
ドキン
再びキスをすると、そのまま倒していく。
裕斗は既にさっきの事件があって洋服がはたけている為、素肌が見え隠れしている。
私の胸はドキドキ加速する中、裕斗は何度もキスを繰り返す。
「…裕斗…」
「…悪い…」
裕斗は私から離れ始める。
私は裕斗を止めた。
「良いよ…」
「怜華…」
「裕斗に…私の……全部(すべて)……委ねて良い?」
「…怜華…」
私の名前を呼ぶ裕斗の眼差しが今までにない優しい眼差しに私の胸はざわつき、今、このチャンスを逃したら私達の関係は何も変わらない気がしていた。
確かに今の関係も悪くないけど私にとっては特別に近くて、もっと裕斗を知りたくて触れたくて仕方がなかった。
「裕斗が私を変えて……私…変わりたい……」
「…分かった…俺がお前の全部(すべて)受け入れるから…不安とか心の中の思い素直に言ってくれても良いから……俺と頑張って1つになろう…怜華…」
「うん……」
私達はキスをする。
俺は怜華に応えてやりたかった。
今までずっと、異性に対しての心の中の不安と恐怖と闘い色々と入り混じった心の辛い思いを全て取りのぞいてやりたかった。
彼女と1つになった時、彼女は涙を流した。
「…裕斗…ありがとう……」
「怜華…今までずっと辛かったろ?良く頑張って来たな…俺がお前の事、大切にしてやるからずっと傍にいな」
「……うん……」
彼女は抱きつき、俺の耳元で
『あなたが好き』
そう言った。
俺は彼女に応えるように
『好きだ…愛してる』
と、そう伝えた。
隣人の彼は ハル @haru4649
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