あとがき

 無事描き終えて、率直な感想は「よかった」です。

 元々このお話は私の小説家としての集大成として書くつもりでした。そのために、まずは医療系以外の創作で腕を磨いて、ある程度実績を積んでから最後の最後にドーン、とこのお話を発表しようと思っていました。

 しかしいくら研鑽を積んでも全く受賞、入選も至らず、やはり自分の力はこんなもんかと自信を失っておりました。

 となると、このお話「天使のあいさつ」が表に出ることなくお蔵入りになってしまうところでした。でもそこで思ったんです。


「どうせ終わるなら、もう書いちゃえ」って。


 そんな思いで書き始めました。ちょうど清原 果耶さんが主演を務める「透明なゆりかご」も観て、「あー、これわかる〜。自分も早く書きたい!」とモチベーションアップさせたものです。

 しかし残念なことにエタり(連載するモチベーションを失い)ました。構想は常に最初からあり続けたのですが、桐生医師の素性が判明するあたりで急に筆が止まってしまったのです。なぜでしょうか、今でもよくわかりません。

 おそらく、実際に書いてみてもつまらない文章しか出てこない、つまり理想があるのに現実の力が追いついていかない、中間クラスのアマチュア小説家によくある(と思っている)病気みたいなものでしょうね。

 続けて書いているときはそこそこ言葉があふれるように出てくるのに、しばらく休んでしまうと、怠けた体でスポーツを始めようとするときのように全然うまくいかないんです。でも頭ではこうしたい、とかこうできる、という理想があるものだから、そのギャップに落ち込み、書きたくなくなってしまうのです。

 このままじゃどうしようもない、と思ったとき考えを変えてみることにしました。


「カッコ悪くてもいい! 下手な文章であっても、書かないよりはマシ」


 そう自分に言い聞かせて書いてみました。

 こうして山を乗り越えたかに見えましたが、それでも少しすすんだだけ。連載というレベルまでには至りませんでした。

 そこで一つ事件が起きました。それはいつも応援してくださっていた、いとうみこと様が長編を完結させたのです。いとうみこと様も同じような状況でした。途中まで書き、途中で止まったにもかかわらず、見事復活を遂げ、完結させたのを見て、自分のモチベーションも上がりました。


「カッコ悪くてもいい! とにかく完結させるぞ!」


 と燃えました。こうして山を越えると、面白いようにすらすらと文章が出てくるようになりました。こうして完結させるとそれ自体に感無量というか、自分で自分を褒めてあげたくなります。

 他の方の完結に、みなさん「完結お疲れ様でした」と声をかけられることがあります。それはまさに同じ気持ちを知っているからでしょう。一つの作品を完結させることがどれだけ大変か、経験のある方にはお分かりになると思います。

 

 何はともあれ、ここに辿り着くまでにたくさんの方の支えがありました。皆様のおかげで、ここで登場した多くの主人公たちに命が宿りました。代わって感謝差し上げます。本当にありがとうございました。

 続編は気が向けば書くかもしれませんが、今のところは構想はほとんどありません。もしその時が来て、ご縁があれば是非よろしくお願いいたします。


 ありがとうございました。

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天使のあいさつ 木沢 真流 @k1sh

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