第9話への応援コメント
僕は切なさより強い恐怖を感じました。
全体的には文体が洗練されており、非常に読み応えがありました。
一方でストーリーも文章の美しさも手伝って趣がありました。
では、なぜ僕は恐怖を感じたのかというと、ストーリーを客観的に見過ぎてしまったからだと思います。
つまり僕自身の問題であり、五味千里様のストーリーテリングが悪いわけではありませんのでご安心ください。
僕が興味深いと思ったのは3つ、『燈籠』、投影、真実の愛です。
まず、太宰治の『燈籠』は、貧しく惚れっぽい女性が年下の学生に恋し、お節介を焼こうとして盗みをはたらいたすえに、自分は不要な存在だったことに気づき、自身の不幸せな生活を正当化する話です。
これは、本作の惚れっぽい主人公や相手に拒絶される点で対応しており、それを踏まえた上で読むと非常に面白いです。
次に本作の男が見せる弱さですが、僕はこの描写を疑ってしまいます。
果たして男は本当に弱さを醸し出していたのか?
もしかしたら本当に弱いのは主人公であり、自分を相手に投影しているのではないか?
そう考えると、“折角依存するなら、物言わぬ煙草なんかより言葉を話せて触れ合える私に依存した方がよっぽど健康的じゃないかしら”という独白が恐ろしく感じてしまいます。
主人公は男に依存しており、それが健康的であると正当化している。僕はそう考えてしまいます。
最後に本作のテーマだろうマーガレットすなわち「真実の愛」に関しても恐ろしさを感じてしまいました。
主人公は真実の愛を知っており、それを与えることができていると思っているのだろうが、実際それは『燈籠』同様お節介である。
本作の男はこれを負担に感じ、主人公から去っていきます。
“心から愛せても、それはただの錯覚で僕のエゴイスティックな感情の延長線上じゃないか”
このセリフは主人公に対する皮肉のように感じました。
きっと男は遺書に「女性とは恐ろしいものです。『愛』という名の権威を振りかざし、男を操作しようとするのです」というような内容を書いていそうだと想像してしまいました。
“私はいつまでも、待っています”という最後の語りは、男を再び地獄に引きずり降ろす様子を予期させます。
拡散的思考がぐるぐる回り出して、このような冗長な感想になってしまいました。申し訳ございません。
しかし、僕の感じたものと五味千里様が意図したものが異なるのは、描写が精巧だからだと思います。
素敵な作品を紹介してくださり、ありがとうございました。
作者からの返信
ありがとうございます!小説以外が忙しくて返信遅くなりましたが、本当に感謝します。
まず、恐怖を感じたとのことですが、今まで何度かそういう感想を抱き、「へー、メンヘラっぽいからかなぁ」ぐらいに思ってたんですが、今回いただいたコメントでようやくはっきりしました。ありがとうございます!
そして太宰の『燈籠』を触れていただいたと思いますが(それもありがとうございます。出した甲斐がありました笑)、本作の感想ももしかしたら、『燈籠』に対する感想のように二極化するものなのかな、と。例えば、『燈籠』で主人公が警官からの尋問で発狂する場面は、恐らく強い同情か、強い狂気を感じると思いますが、本作でも同様に「依存するなら〜」というところはそういう感じなのかなと。
また、真実の愛に関しては二人を対立して描いているため、八話が皮肉となるか、九話が祈りにみえるかもまた各読み手に委ねられるかな、と。
結局、二人にあるのはそれぞれのエゴとの距離の違いかもしれませんね。主人公はエゴを信仰するまでに陶酔していて、いってしまえばお節介で盲目的。対して西浦はエゴを極端に嫌って、臆病なところもあるかもしれません。「真実の愛」というのをどう見るかはわかりませんが、二人とも遠かったのかもしれません。
最後に、とても嬉しいコメントありがとうございました!ここまで自分の作品を分析してもらえるとは思わなかったので、色々勉強になりました!本当にありがとうございます。
第9話への応援コメント
五味さん! 企画に参加いただきありがとうございます。
本当に文章がお上手ですね……。いつも圧倒されながら読んでおります。
愛の大きさに優劣はないけれど、与えられた愛に対する許容量に差があったのですね。人を愛するのも人に愛されるのも、どちらも難しい事だなと感じました。
作者からの返信
新代さん!ありがとうございます!勿体ないお言葉ばかりです!
なんか、愛を届けることも、愛を受け取ることも、愛という感覚を肯定することから始まる気がして、それが苦しい人も、その人のためにまた別の人が苦しくなることもあるのかなって、思います。
私は新代さんの自主企画でデビューしたようなものなので、今後もちょくちょくお邪魔させていただきます!
第9話への応援コメント
最初のモノローグから、主人公がなにか鮮烈な裏切りにあったのかと
ハラハラしながら読み進めさせて頂きました。
最後を読んでたしかに彼女にとってはそうだったのだと。
互いを愛し愛されないか、なのではなく、
2人の関係は、窓辺のマーガレットを愛せるか否か、だったのかと
その比喩の深みにじわっと来ました。
甘いかもしれませんが、この2人が心からぶつかり、互いのマーガレットを
愛でる安かな時間が持てるよう、願ってやみません。
作者からの返信
ありがとうございます。嬉しい限りです。分かりにくい比喩ばかりですが、伝わって良かったです。愛を愛することは、人によっては限りなく勇気が必要なことかもしれません。ですが、そこを一歩踏み込んで、その先に生きてほしい。そんな願いを込めたつもりです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。
編集済
第9話への応援コメント
他の方が既に、様々に応援コメントされているので、私は短めに……
とてもよかったです。
他の方のコメントでも触れられていましたが、昔々に読んだ太宰治の「人間失格」を思い出しました。
文体の柔らかさが、内容の重さを程よく包み込んでいます。
素晴らしかったです。
別件なのですが、「自殺志願者青年B」、いつも興味深く読ませてもらっています。
静かに読んでいて、すみません。
あちらは、変な茶々を入れるのは、逆に失礼かなと思っています。
これからも更新、お待ちしています。
ありがとうございました。
……けっこう長くなってしまいました。
すいません……。
作者からの返信
ありがとうございます。太宰と比べられるなんて恐れ多いですが、嬉しすぎる賛辞です。
また、「自殺志願者青年B」のほうも、ご拝読ありがとうございます。
どんな読み方でもこうして読んでいただける事実自体が嬉しすぎます!変な茶々も、静かに読むのもいつでもウェルカムです!笑
コメントありがとうございます。
第9話への応援コメント
面白かったです。冒頭の独白から、どんな酷い関係があったのかと思い読み進めましたが、こういう訳だったのですね。
彼との過去(関係)を思い出しながら綴られる日記、出す宛のない手紙、みたいな印象を受ける、主観の強い面白い構文でした。
現在から過去へ遡る日記形式の叙述トリックを読んだことがあるんですが、細かくシーンと話を区切るなら、叙述トリックに仕立ててみるのも面白そうです^ ^
ありがとうございました!
作者からの返信
ありがとうございます!
主観を強く押し出そうとは思ってたので伝わったようで良かったです。叙述トリックのような頭の良いことができるかわかりませんが、試みとしては面白いかもしれません。話を区切ったままにするときはちょっと試してみます。
ありがとうございます!
第5話への応援コメント
企画から来ました!
全部読みましたが感想はここに書きます!
一人称表現で文力も丁度良く、読みやすかったです。
彼→男→奴→貴方→西浦くんと変化する呼び方から場面ごとの主人公の気持ちの変化が伝わります。
1話では恨む気持ちが出ていると感じましたが、最終話ではいつまでも待っていると未だ愛し続けているという感動的なラストで、思わず「わぁ…」と感服しました。
全体的に綺麗な文章で自信を持ってカクヨムコンに出していいと思います!
そして書籍化…いや、実写にしてもらいたいです。
もちろん星はつけます!
これからもお互い頑張りましょう!
作者からの返信
ありがとうございます!
呼び方の変化は少し工夫したところでしたので読み取っていただき嬉しいです!
そして、実写化なんて…私には勿体なさすぎる言葉です。
悠様の作品も是非読みにいきます。素晴らしい企画をありがとうございます。勉強になることばかりでした。
第9話への応援コメント
悠様の読み合い企画から来ました。
5話まで…という事でしたが、最後まで一気に読んでしまいました。お互いに思い合っているのだけど、不器用な部分や素直になれない部分があって…、若い頃の真っ直ぐでほろ苦い恋心に胸を打たれました。
純文学調の作品はあまり読まないのですが、とても丁寧かつ綺麗な表現で読んでいて心地良かったです。
例えや比喩的な表現の多い印象でしたが、分かりやすい答えをズバズバ書くよりも、読み手サンが様々な事を想像しながら楽しむことが出来るのでこれはこれで良い味になっているのだなぁ…と楽しみながら読ませて頂きました。
こういう作品が評価されて日の目を見ると良いなぁ…と思います。応援しています。素敵な作品をありがとうございました(>_<)
作者からの返信
コメントありがとうございます!
いや…勿体ないお言葉、ありがとうございます。本当に感謝です。これからも精進いたします。
田山様の作品も読みに行きたいと思いますのでその時はよろしくお願いします。
第9話への応援コメント
読み合い企画から失礼します。大変楽しく読ませていただきました。
以下、感想です。
キャラクターを喋らせずに、読ませる地の文の力を感じました。
特に1話で気になる引き付けをさせられて、同じ物書きとして悔しさすら覚えます。
引き付けられた分、後半の畳みかけに期待したのですが独白の部分が目立ち、ラストのパンチが弱いように思いました。
また、短編を読んでみたいので期待しております。
作者からの返信
ありがとうございます!
後半の畳み掛けが弱いという点については仰る通りだと思います。最後の方が説明的になってしかもわかりずらいかな、と。もう少し表現や見せ方を改良しなければならないかもしれません(それとも展開として、ですかね)。
貴重なご指摘ありがとうございます!短編は他にも書いてますので気が向けば。
第9話への応援コメント
そうか、これは彼女の恨みではなく、悲嘆と渇望の物語だったんですね。
彼がいつか戻ってきてくれるといいのですが⋯⋯。
さて、最後の誤字というか字抜け報告です。
貴方が愛を信じれるようになったら→貴方が愛を信じられるようになったら
ここまで地の文がしっかりされていると、いわゆる『ら抜き言葉』がものすごく目立って見えてしまうので、とてももったいないです。
素敵な物語を、ありがとうございます。
カクヨムコン、応援しています!
作者からの返信
ありがとうございます!
今訂正しました!本当にありがとうございます!最後まで読んでくださっただけでなく、ここまで指摘くださるのはありがたい限りです!お褒めの言葉も自分には勿体ないものです。今後はより言葉に繊細になって精進致します。
お礼を何度言っても足りません。本当にありがとうございます!
編集済
第5話への応援コメント
悠さまの読み合い企画からお邪魔しました。
とりあえず、ここまでの感想です。
確かに、この男は人を惹きつける魅力を纏っていますね。魔性の男と言えるかも。
この先も気になるので、そのまま拝読しますね。
さて、ここまで読んで惜しいなと感じた部分。それは、一文がちょっと長くなりがちかなというところです。一文にいくつもの要素を盛り込んでしまうと、内容がイマイチ頭にしっかり入ってこないことがあるんですよね。たとえば
さて、八畳もない簡素な空間と、白雪の落ちる音が煩わしい時間を持て余した私は、ついに痺れを切らして奴に連絡を寄越しました。
ここを
八畳もない簡素な空間。外では白雪の落ちる音。そんな煩わしい時間⋯⋯それを持て余した私は、ついに痺れを切らして奴に連絡を寄越しました。
こんな感じで一文一要素にしたほうが、なんとなく画が頭に浮かびやすいと思うのですが、いかがでしょうか。
五味千里さまは地の文が巧みでいらっしゃるので、これを読者に画として見せられるようになったらさらに強いだろうな⋯⋯。そう思い、差し出がましいとは存じながらも書いてみました。
追記。
ごめんなさい。うっかりしました。
先ほど挙げた例文の最後に「連絡を寄越しました」とありましたが、「寄越す」という言葉は受け取る側が使うべき言葉です。なので、単純に「連絡をしました」もしくは「連絡をしてしまいました」のほうが良いかもしれません。
作者からの返信
ありがとうございます!
一文一要素ですか、勉強になります。また本作を見直して文を修正したいと思います。本当にありがたいです!鬼無里さんの小説も読みに行きます!
編集済
第9話への応援コメント
読み合い企画からきました。
内容はとてもいいと思います。なんていうか、とってもいいです。
けれど最後まで読んだあとに第1話から読み返すと、些か怨みが強すぎるとも感じました。いち読者としては、この感情は怨念ではなく悲嘆に近いものだと感じたので、読んだひとに「どう伝わってほしいか」という指針を立てて、それに沿って表現するといいと思います。
個人的な要望でもあるんですが、一話完結にしてみてはいかがでしょう。第9話まで読んでみましたが、きっと最後まで読まれていないんだろう、そう思いました。
原因としては、一人称で話を進めていくにあたって主人公の感情が前に出すぎてしまい、出来事に焦点が合いにくいことが挙げられます。
個人的にはとりあえず◆マークなどで場面を変えるなどして、一話完結の短編にすることをお奨めします。
もの凄く関係ない話ですが、ぜひ梶井基次郎の短編集を読んでみて下さい。この作品に基次郎のなんとも形容しがたいような感覚に似たものを加えると、作品にさらに重みが増すとおもいます。
マーガレットの花言葉は「真実の愛」。いったい私は、この内容にマーガレットを持ってくるというのがとても好きです。
では、これからも良きカクヨムライフを!
作者からの返信
ありがとうございます!
1話の件ですが、確かにそうだと思います。彼女が持つのはあくまで悲嘆的な感情であると思います。なので少し訂正します!ありがとうございます!
1話完結の話ですが、目から鱗でした。その手があったか!という感じです。この企画が終わったらやってみたいと思います(5話まで読むようにとなっているので)。ありがとうございます!
梶井基次郎の作品は檸檬ぐらいしか読んだことないので短編集買って読んでみます!
適切なアドバイス、ありがとうございます!本当にありがたいです!
編集済
第6話への応援コメント
はじめまして
公平な読み合い企画から来ました。
最後まで興味が持続し、読み通せました。
面白かったです。
一体何があって相手を悪魔とまで言うことになったのだろう、という興味の本質部分は語られなかったのですがそれは言わぬが花なのかも知れません……と思いつつも、まさにそこを読みたかったな、と思いました。(好きになった理由が主人公側の内面にしか書かれていないので、逆もまた然りなのかなという予想が立つので、欠陥だとは思っていません)
マーガレットの記載だけは花言葉に疎いわたしにはなんの意味かわかりませんでした。
(花言葉は調べても色々意味が出るので結局わからない。このあたりの広がりが花言葉の良さなのかも知れませんね)
返信を受けて追記
まだ未完なのですね。承知しました。完結したら必ず読みに来ます!
作者からの返信
コメントありがとうございます!
この話は意味怖とかの類ではないのでここから起承転結の転以降という形となり、彼女が奴を憎むきっかけが出てきます(ちょっとネタバレ?かもしれませんが)。
是非最後まで読んでいただけるとスッキリするのかなといった感じです。
第9話への応援コメント
自主企画さんかありがとうございます!
愛とは難しいものだなと感じました。伝えたつもりが伝わっていなかったり、自分にとっては何気ないことが相手には重荷になっていたり。
西浦君が彼女の想いに向き合う日がくるまでには時間がかかりそうだなと思いました。
綺麗な文体で書かれた独白。とても素敵でした。
作者からの返信
返信遅くなり、すみません!素敵な自主企画、ありがとうございます!
そうですね。意外と世の中で成り立っている愛し合うというものは、複雑なパーツの組み合わせで出来上がっていて、奇跡に近いものなのかもしれません。そういう意味で、意外とこの話みたいなことはありふれた話なのかもしれません。
重ねてとなりますが、自主企画とご拝読、ありがとうございました。