第3話 何と美味しいものが多いのでしょうか!!

 坂上様はどこかへご連絡されるとかで素魔法すまほうとか言う物で話しておられます。


 とにかくではありますが、わたくしが異世界から来たと信じて頂けたようでございますわ。

 そこで西田様に色々聞いておりますと、この世界と前の世界の決定的な違いが分かりましたの。


 前の世界でございましたように、人の能力により使える魔法が違うと言うことが無いのでございますわ。

 と言いますか、この世界の皆様は魔法がお使いになれませんのよ。


 でもそのおかげで、どのような魔法が使えるかということで生活水準とか貧富の差が出来ることが無い平等の世界なのでございましょう。


 魔法が無い代わりに生きて行く方法として自然の理を利用した道具を使うようでございます。

 これはこれで皆様は便利に生きて行けるようでございます。

 坂上様が使っております素魔法すまほうも便利な道具のようでございます。

 物凄く離れた相手とお話が出来るようでございます。

 そう言われますと、先ほどテレビ電話とか言われる機能でわたくしをお話相手の素魔法すまほうに映すとか言われておられました。


 このようなことが魔法が使えなくとも可能であるとは、自然の理の研究を進めることができますと、前の世界でも可能では無いかと考えてしまいますわ。

 少し大儲けの匂いが致しますわ……まぁ帰れたらの話でございますわね。


 ただ、良いことばかりでは無いみたいでございますわ。

 色々な道具が有って誰でも生活に必要なことは出来るようなのですが、その代わりお金は必要らしいく、そのことで色々なことが起こるようでございます……


 カーシャのお腹がなった……

「まぁ、わたくしとしたことがはしたないですわ、少しお腹空きましたので、保存食の乾燥肉を食べてもよろしいでしょうか?……」

 そうお尋ねいたしましたら、西田様はいきなりわたくしにお尋ねになるのでしたわ。


「好きな食べ物はありますか?」


「困りましたわね、そう聞かれるのでありましたら、教えしないわけには行きませんね、"ブミャ肉の煮込み"でございますわ!!」


「ブミャ?ブミャあ?……」

 あら、西田様が変な顔してございますわ?


「えっ、もしか致しますとブミャがこの世界には存在しないのでございますか?」


「え、えぇ、すいません、そんな動物はこの世界にはいません・・・・」


「お肉が好きなら、とんかつとか唐揚げとかで良いですかね?

 僕買ってきますから待っていてください」


 そう聞いて驚きましたわ、騒ぎがございましたのは深夜なのでわよ、それから1時間近く経っておりましてよ……

「この世界、このような深夜の時間に開いている店がございますのですか?」


「コンビニなら空いてますよ……」


「一緒に行きたいですわ!!……」


 あれ?、西田様の目が点になりましたわ?

「えっ、それはチョット不味いかも……」


「大丈夫ですわ、大人しくしておきます、お願いでございます」


 色々誠意をもって頑張ってお願い致しましたら、最後は西田様に付いて行くことになってのでございます。


「深夜でございますのに本当に明るい道でございますね、街灯とか言っておられましたが、これが電気とか言うものなのでございましょうか?」


「そうです、色々な方法で電気を作っているんですよ、その電気で色々なことが出来るんですよ」


「あっ、あそこにあるのがコンビニです」


 見ると平屋の小さな店があった、夜やけど店の中は電気というものでこうこうと明るく照らされていて昼間のようやった。


「これがパスタでこっちが麺類、この辺りが弁当類でお菓子の類もありますよ、そうそうお茶、いや飲み物も必要ですよね」


 パスタと麺類?どっちも長い食べ物が入っておりますわ、何が違うのでしょうか?

 前の世界では見たことも聞いたことも無いカテゴリーの食べ物が沢山並んでおりましたわ。

 そのうえ、どれも信じられないような透明で軽い容器に入ってございます、これは後で返すのでございましょうか?


「この容器も電気で出来ているのでございましょうか?」


「容器はプラスティックです、合成樹脂と言って化学製品です」


「化学製品?何でございますか?それ?……」


「説明すると長くなりますから、今日は説明しませんが、とりあえず夜食を選びましょう……」


 選べと言われましても、どれも食べたことが無い食物でございまして、迷ってしまいましたわ。

 飲み物も、やはり柔らかいガラスのような透明の容器(多分これもプラスティック)の容器に入ってございました。


 そうそう、果汁水はこの世界ではジュースとか言うのでございます、西田様は炭酸入りと言う物をお求めになられましたので、私も真似を致しましたわ。


 こっちに来る少し前から色々ございましたので実はへとへとでございます、そう言う意味では、はしたないとは思いましたが、思いっきりしょくすることにいたしまして、弁当とか言うのを買って頂いたのです。

「とんかつ弁当とか言っておられましたが、この茶色い食物がとんかつなのでしょうか?」


「そうです、これは豚肉を揚げたものです」


「豚肉でございますか?ブミャ肉のような響きでございますね、しょくするのが楽しみでございますわ」


「でも不思議ですね、カーシャさんの言葉は我々には分かるし、逆に我々の言葉をカーシャさんは理解できている……」


わたくしの言葉はカリンナ地方の方言でございますし、貴方様のお話になっておられます言葉は前の世界の標準的な言葉に近く問題なくお話が出来るようでございます」


「そうでございますね、言葉が通じて安心しております、通じなかった場合、わたくしは今頃どうしていたのでございましょうか?」


 そのとき、電柱と教えられた柱の陰に怪しい霊が居るのを見つけましたの。

「西田様そっちにあんまり寄らないでくださいませ……」


「なぜ?」


「見えませんか?、悪霊がそこに居るのでございますわ……」


「悪霊?、そんなものはこの科学技術が発達した世の中にが居ないよ……」


 西田様、科学技術が発展しているのが何の理由になるのか分かりませんが?悪霊は居ないと言われましたわ。


 ……そこに居るますのに。


 見えませんと信じない?

 そう言えばそのようなお方は前の世界でもおられましたわ。


 ◆   ◆


 弁当とか言う物を買って帰って来ましたら、また驚いてしまいましたわ。


 何がというと、「ちんです、ちん……」


 西田様が先ほど買って来た弁当をレンジとか言う物に入れて少し致しますと「ちん」とか音がいたしまして……


 熱々の食べものになりましたのです……はい、それはもう大騒ぎいたしましたわ。

「先ほどまでは冷たかったのですわ、火が出て温まるわけでもないし焦げてもおりません、一瞬でございますわ、一瞬で温かくなったのでございます!!」


 この世界に来て始めて食べる食べ物「とんかつ弁当」の味でございますが……

 なんとブミャ肉の煮物をはるかに凌駕する美味しいものでございました。

 そして温め具合もよろしく、このご飯とか言う物はパンとはまた違いまして、とんかつというおかずとマッチしており絶品の味でございます。


 西田様が驚くような顔をしてわたくしが食べるのを見ておられました。


 こちらの世界に来てから始めて食べるご飯でございますし、また食べたことも無い食事でございますからね、ちょとはしたない食べ方だったのでございましょう(あれ、あれ…)。


 ただ、炭酸入りのジュースなるものはとても美味しいのでございますが電気が流れているような刺激がございました。

 この世界の人はよほど電気が好きなのでございましょう……


 最後にデザートとかいうおやつを頂きました。

 シュークリームとプリンとかいうお菓子を買って頂いたのでございます。


 これがまた、何ということでございましょうか?

 本当に罪な甘さで体がとろけてしまいそうでございましたわ。


 そんなことを言っている内に坂上様がなんか言ってこられました。


「君を迎えに本署から有本さんが来るから一緒に行ってくれ」


「拘束とかされるのは困りますが……」


「大丈夫だ、話を聞きたいだけだそうだ、美味しいケーキもあるらしいから」


「それではしょうがありませんね、この世界のケーキと申すものをしょくしに参りましょうかね」


 今大量に食したばかりなのにと言わんばかりに西田様があきれたような顔をしてわたくしを見ておられましたわ……

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別世界のカーシャ 茶猫 @teacat

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