11月20日 あなたは大丈夫だと伝えたい。

今日は母親の誕生日です。非常にめでたいことですし、日ごろの感謝の気持ちを込めてネット上からメッセージを送ります。きっと母に伝わることは無いでしょうが。

母よ、お誕生日おめでとうございます。


さて、このように誕生日というものは、その人の誕生日に合わせて、日ごろの感謝の気持ちを伝えるイベントです。誕生日の本人は、人から祝われても祝われなくても、この365日、頑張って生き抜いた自分自身を褒めてあげて良いという日です。もしもあなたが今日誕生日だというのであれば、こんな文章を読んでいないで自分のことを祝ってあげてください。


誕生日というものは、こんな風にシンプルで良いと思うんです。誰かが誕生日ならおめでとう。自分が誕生日なら自分にお疲れ様というメッセージで良いと思います。


ところが、最近はなんだか複雑怪奇な解釈が流行しているようです。なんでも、その特殊な方々は、誕生日=「自分のことを産んでくれた母親への感謝を伝える日」だという解釈をするのだそうです。いや、これはちょっとこじつけすぎていませんか?母親への感謝は、母の日、母の誕生日で良いではありませんか。


この理屈でいくと、僕の母は今日、自分の子供が自分のことを祝ってくれているというのに、自分は自分で母親をお祝いすることになってしまいます。そうなったら僕のお祝いは、そのまま母を通過しておばあちゃんまで届いてしまいそうです。いや、おばあちゃんはおばあちゃんで長生きしてくれてありがとうという気持ちは毎日あるのですが、今日の誕生日は誰なんだと、テーマがぶれてしまうわけです。


これはまるで、料理を作ってくれた友人を褒めたいのに「いやいや、本当に素材がいいからさ」とすごい恐縮されてしまった時と似た感じです。僕のお祝いは友人から流通経路を伝って農家さんに伝わってしまいました。もちろん農家さんへの感謝の気持ちもあるのですが、それはまた別のお話です。僕が感謝を伝えたいのは料理を作ってくれたあなたですよということです。


つまり、僕が言いたいのは、あなたはあなたを祝って大丈夫ですよ、ということです。家族があなたの誕生日に、お母さんを祝おうとし始めても騙されてはいけません。それはプレゼント代を節約しようとしています。


あなたの誕生日はあなたが1年間頑張って生きた証です。たとえ誰も祝ってくれる人がいなかったとしても僕がお祝いします。この文章を誕生日に読んでいるあなた。誕生日をちょっと過ぎたけど最近誕生日だったあなた。


おめでとうございます。今年も生きていてくれてありがとう。次の1年間であなたに幸せがあることを祈って、お祝いのメッセージとさせていただきたいと思います。

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不条理こそ人生の理 岩佐洋介 @iwasayousuke

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