第6話ハピポの本領発揮
静かなお寺に救急車のサイレンがこだまする。
救急隊員に医者の男性が身分を明かし、帝国病院に向かう様に指示する。
「そこは私の友人がやってる専門病院だ、今から私が行くと伝えてくれ。」
隊員が病院に電話で確認しているところにそう伝えた。
「君も乗りたまえ、彼氏なんだろ。」
医者の男性が勇樹に言う。
「…はい!」
救急車に乗り込む二人。
「妙子、すまん。久しぶりの夫婦水入らずだったのに。」
「大丈夫よ、あなた。こうなる事は医者の妻としてわかってる事よ。…君、夫は有名な心臓外科医だから大丈夫よ。」
そう夫人が言うと、救急車のハッチが閉まる。
夫人を後に救急車はサイレンと共に、その場を後にした。
「…これは、ポイントが期待できるわね。」
夫人がぼそりとつぶやく。
この夫人、実は、ハピポのヘビーユーザーだった。
ポイントを消費して心臓のトラブルで、救急の患者が出る場所をハピポを消費して教えて貰い、そこに世界屈指の腕を持つ心臓外科医の夫を連れて行く。
わかってやる事だが命が助かるかどうかは医者次第、そこには企みが入る余地が無く、ハピポのグレーゾーンの部分だ。
もちろん、夫は最高の医師だ。
助かる可能性は他者よりはるかに高いだろう。
そうなると、そこに介入した夫人のハッピーポイントは大きいはずだった。
「今度は何を叶えて貰おうかしら。」
夫人はそう言うと、タクシーを止めて乗り、行き先を告げると観光地に消えていった。
──病院の一室。
沢村はるなは偶然、倒れた場所に世界屈指の心臓外科医が居合わせ、奇跡的に助かった。
それは本当に奇跡としか言いようがない。
誰が聞いてもみなそう言うだろう。
勇樹という証人もいる。
順番待ちの患者が沢山いる様な心臓外科医に、自分が緊急で順番を飛び越えて助けて貰ったのだ。
「…ハピポ様々だなぁ。」
病院のベッドで横になったまま、はるなはつぶやいた。
「ちょっと、危なかったけど…。」
1人苦笑いするはるな。
実は、はるなは現場に世界屈指の心臓外科医が来る事をわかっていた。
自分が助かるには奇跡にすがるしかない。
だが助かるにはポイントが、足りない。
なら、助けれる人がい合わせる中で倒れれば、助けて貰えるかもしれない。
一種の賭けだった。
自分の持っているポイントを消費して、その場所を知り、倒れた。
寺好きだったのは偶然だった。
本当に興奮し過ぎて、死にかけたのは誤算だったが、それもプラスに働いたのだから結果的には良かった。
「これで、私は大丈夫!」
安心するとぐっすり眠るはるなであった。
─エピローグ─
「総理、今日の国会、法案通ると良いですね。」
連日徹夜で書類作りに奔走した秘書の1人が恰幅の良い威厳のある男性に聞いた。
「通るさ、ポイントも使ったしな。」
「え?」
「何でもないよ。それでは行こうか。」
「はい!」
「この法案が通ったらもっとポイントが入るな…。」
嬉しさに恰幅の良い男性はステップを踏んでみせた。
ハッピーポイント貯めませんか? 西の果てのぺろ。 @nisinohatenopero
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